(第2章連載中)だれか溺愛見せてください。ちなみに、溺愛を見たいだけで、溺愛してもらいたいわけではありません。

水無月あん

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第二章

みんなで一緒に

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「ええと、ジャンさん…。なんでいるの?!」

びっくりしている私の顔を見て、ジャンさんが、楽しそうに微笑んだ。

「ぼくもロジャン国へ行くことになったんだ。ほら、以前話したでしょ。うちの店舗があって、ぼくが経営に関わってるって。急遽、学園を休学して、2週間、研修に行くことにしたんだ。アイシャに伝えたら、一緒に行こうと誘ってくれて」

思わず、アイシャを見る。

「うちの馬車は余裕があるから誘ったの」

「おい! 俺は、さっき断られたよな?」
不機嫌そうな顔でアイシャに文句を言うラルフ。

「そりゃあ、そうでしょ。ラルフと違って、ジャンは爽やか男子だから、馬車に乗っても圧迫感がないの。ラルフだと圧で空気が薄くなるし、リリーが危険にさらされるから」
アイシャが平然と言う。

また、この二人、雲行きが怪しくなってきた…。

「圧が強いのは、そっちだろ?! それに、俺がそばにいれば、リリーは安全だ」

「何言ってるの?! 昨日のラルフを見てたら、リリーのそばに一番置いてはいけない人物よ!」

二人がにらみあう。

そこへ、うちの両親がでてきた。

ぴたりとにらむのをやめ、素敵な雰囲気に外面を整える二人。
うん、やっぱり、二人とも似てるわ…。

「アイシャさん、ご迷惑をかけると思いますが、リリーをよろしくお願いします」
お母様が心配そうにアイシャに声をかける。

アイシャは、
「リリーのことは、私に、おまかせください」
そう言って、自信にあふれる笑みを見せた。

両親はそんなアイシャの様子に、ほっとしたようだ。

「ラルフ君も見送りにきてくれたんだね。わざわざ悪いね」
お父様が言うと、

「いえ、ロジャン国まで送っていきますので、ご安心ください」
と、これまた、力強く言うラルフ。

いかにも貴公子といった微笑みを浮かべている。

二人とも、さっきまで言い争ってたとは思えないよね?

「あら、そちらの方は?」
お母様が、ジャンさんに目をとめて聞いた。

「はじめまして。トルイド伯爵家のジャン・トルイドと申します。家の事業の研修に参加するため、行きの馬車にご一緒させていただくことになりました」

「私たち、同級生なんです」
アイシャが付け加える。

「トルイド伯爵家と言えば、手広く事業をされてますものね。ロジャン国にいらっしゃるなら、心強いわ。
それに、ラルフ君が送ってくださるのも安心だわ。みなさん、リリーをよろしくお願いしますね」
と、頼み込むお母さま。

そして、爽やかな笑顔で答える三人に、安心した様子の両親。
私への信用度とは全然ちがうわね…。

そして、やっと、馬車に乗り出発。
アイシャと私が隣にすわり、私の前にラルフ、アイシャの前にジャンさんがすわった。

8人乗りと言っていたけれど、4人だけなので広々している。内装も豪華だ。

「アイシャのおかげで、豪華で快適な馬車旅だわ! でも、ラルフはロジャン国まで行って、すぐ帰るんでしょ? 大変すぎるけど、大丈夫なの?!」

「そうよ、今からでも降りて帰りなさいよ! まだ、出発したばかりだし。リリーは私がついてるから、ラルフがいなくても大丈夫よ」
アイシャが挑むような目で、ラルフを見た。

「誰が帰るか! 宿は近くにとったから、学園が始まるまでの3日間滞在する。留学先のリリーの行動範囲を確かめておかないと、安心できないしな」

「えっ?! そんなに泊まるの?!」
私が驚いて声をあげる。

「嫌なのか?」
ラルフのエメラルド色の瞳が私を射抜く。

「嫌じゃないけど…、びっくりして…」
とまどいながら私が答えると、今度は、ジャンさんが口を開いた。

「ラルフ、ロジャン国のことは、ぼくがよく知ってるから、リリーの留学先でのことは、ぼくが確認しておくよ。 安心して帰っていいからね」

「だから、帰るわけないだろ! それに、ジャン! 急に休学して研修に行くなんて卑怯だろうが」
エメラルド色の瞳が鋭く光る。

「なにが卑怯なの? 使えるものは使わないとね」
そう言って、ジャンさんが意味ありげに微笑んだ。

ジャンさん…、腹黒さがにじみでてますよ?

ジャンさんとアイシャをにらむラルフを見ていると、昨日のラルフが嘘のようだ。
お姫様だっこや、王子様ばりの手にキスだなんて…。

思い出しても恥ずかしくなる。

でも、良かった。今日もあんな感じなら、どうしていいかわからないもんね。

やっぱり、昨日のラルフは、何かに憑依されてたのかもしれないわ…。
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