(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん

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混乱してます

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マーク兄様が言った。
「鈍いとは思ってたけど、ここまで聞いてもわからないアリスもすごいな? ほら、ルイスも、落ち込むな」

え、また落ち込んでるの? 見た目は、美しい無表情のままだけど。
じっと観察してみる。
あ、瞳が、なんか訴えかけてきているわ!

なんだろう? なにかしら?
クイズみたいで、もやもやするわね。

思わず、マーク兄様を見た。通訳お願い!

私の意図が伝わったみたいで、
「二人とも、言葉をつかえ。会話をしろ。俺をとおすな」
と、マーク兄様が面倒そうに言った。

マーク兄様に仕切ってもらったら、早いのに…、なんて思いながらも、美しい無表情の顔に目をむける。

と、ルイス殿下の瞳が強く輝いた。
なんだか覚悟を決めたように見えた。

今から何か言うのかしら? 
 
知りあって8年。はじめて、ルイス殿下に興味がわいてきたわ。

すると、ルイス殿下は、私をしっかりと見つめてきた。
そして、言った。

「俺はアリスが好きだ。愛してる。アリスと結婚するためなら、何でもするつもりだ」

「…」

その場が静まり返った。

頭が言葉を理解できない。言われたことが何度も頭をまわる…。そして、理解したとたん、

「えええええ!!!」
思わず、私は絶叫してしまった。

マーク兄様は、
「8年もしゃべらなかったのに、しゃべったら、ド直球すぎてびっくりしたわ。ふりはばがすごいな…」
と、つぶやいた。

「…いつから? まったく、そんな気配もなかったのに…」
混乱したまま、私が口走った。

すると、ルイス殿下の顔がほんのりと赤くそまる。
それだけで、無表情の美貌が、あたたかみのある無表情に変化した。

すごいわね、美形って。いろんな無表情を表現できる可能性があるなんて…。

と、どうでもいいことに思考が逃げてしまう。

ルイス殿下は、あたたかみのある無表情のまま、私の目をとらえる。
なんか、心臓がバクバクしてきた。

「初めて会った時、好きになった。父に頼み込んで、婚約をとりつけた。8年間、月一回のお茶会が、俺の至福の時だった」

はあああ? あの、修行のようなお茶会が? 初めてあった時って、私が号泣した時よね?

ブハッと、マーク兄様がふきだした。

「ルイス、重すぎるだろ。なんか、おもしろいな…」
そう言って、笑い続けている。

いやいや、笑ってる場合じゃいないよ。

結局、頭が混乱しすぎて思考がとまってしまった私。

「いろいろ、考えさせてください」
そう言うと、逃げるように部屋へ戻っていった。
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