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零章 旅人との出会い
少女の決意
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「村長いるか? あなたの娘に呼ばれたから来たんだが」
村長の家の扉を開ける。そして出迎えてくれたのは村長だった。村長の娘が出迎えるかと思い身構えていたが、そんなことはなく杞憂だったようだ。
「お待ちしておりました。例の品はあちらにございます」
村長はボタンを押し、本棚を動かした。すると本棚があった場所から階段が現れた。
「地下室か」
「はい、そうです。地下にて厳重に保管しています」
アランは村長の案内の元、例の品がある部屋へと続く階段を下りていく。そして複数ある部屋の内の一室に入った。すると、パタンと部屋の扉が勝手に閉じられた。
「少々、ソファに腰をかけてお待ちください。例の品が入っている箱を取りに行きますので」
部屋の奥にも扉があり、村長はその中へと入っていった。アランは遠慮なくソファに腰をかける。
「本当に厳重に保管しているみたいだし、大丈夫か」
少し経った頃、村長はこの部屋に再び戻ってきた。そしてアランの反対側のソファに座る。
「お持たせしました。これです」
村長が例の品が入っている箱をアランに見せるように開ける。しかし――――。
「どういうことだ?」
「どういうこととは?」
声を低くし、険しい眼差しをしていたアランだったが、村長は何がなんだか分からずきょとんとしていた。
「中に、何も入っていない」
「そんなことは……」と村長は呟き、ソファから立ち上がると、箱の中身をのぞき込んだ。そして見るやいなや、壊れた人形のように「なんで、なんで、なんで……殺さないで、殺さないで」と言い、その場で頭を抱え、床に座り込んでしまった。
アランは思わず舌打ちをした。そしてすぐに村全体に結界を張り、村全体を封鎖する。
「外に出てないといいんだが……」
村長を置き去りにし、アランは地下から地上へと向かった。そして地上に出るなり、魔法で例の品を探索する。
「……見つけた」
安心したのかアランは息を吐いた。そして準備運動を軽くしたかと思えば、例の品があるところへと走り出した。
同時刻、少女の手からは血がぽたりぽたりと地面へ流れ落ちていた。しかし少女はそんなことお構いなしに木を殴り続けていた。
「悔しい、悔しい、悔しい」
赤眼から雫がこぼれ落ちる。
ユースティアは己の弱さを憎んだ。今の自分の実力では完全に村を滅ばせないことは分かっていた。あの男がいる限り。
でもやり返す以外でこの怒りは消えそうになかった。
「あの男さえいなければっ! 今すぐにでもこの村を滅ばすのにっ!!」
怒り、憎しみが燃料となって魔力が高まり続ける。そして、今にも爆発寸前であった。
ユースティアは負の感情に支配され気づいていなかったが、魔力以外に能力も限界突破しそうな勢いであった。
能力は通常、命に関わるため最大限解放はできないようになっている。でも今のユースティアはろくに能力を扱えていないのに最大限解放に足を突っ込みつつある。
ユースティアは少し冷静になったのか、木を殴るのをやめ、うつむいた。
時間は数分にも満たなかっただろう。その後、一瞬、狂気じみた笑みを浮かべると、
「あはっ、もういい。この身がどうなろうと知ったこっちゃない。絶対に滅ばすっ!!」
怒りの籠もった瞳を宿し、決意する。その赤い目は、自暴自棄になどなっていなかった。腹をくくった戦士のような、覚悟を決めたような目をしていた。
その様子を金鳥はじっと観察していた。そして目を伏せると、アランの元へと飛んでいった。
村長の家の扉を開ける。そして出迎えてくれたのは村長だった。村長の娘が出迎えるかと思い身構えていたが、そんなことはなく杞憂だったようだ。
「お待ちしておりました。例の品はあちらにございます」
村長はボタンを押し、本棚を動かした。すると本棚があった場所から階段が現れた。
「地下室か」
「はい、そうです。地下にて厳重に保管しています」
アランは村長の案内の元、例の品がある部屋へと続く階段を下りていく。そして複数ある部屋の内の一室に入った。すると、パタンと部屋の扉が勝手に閉じられた。
「少々、ソファに腰をかけてお待ちください。例の品が入っている箱を取りに行きますので」
部屋の奥にも扉があり、村長はその中へと入っていった。アランは遠慮なくソファに腰をかける。
「本当に厳重に保管しているみたいだし、大丈夫か」
少し経った頃、村長はこの部屋に再び戻ってきた。そしてアランの反対側のソファに座る。
「お持たせしました。これです」
村長が例の品が入っている箱をアランに見せるように開ける。しかし――――。
「どういうことだ?」
「どういうこととは?」
声を低くし、険しい眼差しをしていたアランだったが、村長は何がなんだか分からずきょとんとしていた。
「中に、何も入っていない」
「そんなことは……」と村長は呟き、ソファから立ち上がると、箱の中身をのぞき込んだ。そして見るやいなや、壊れた人形のように「なんで、なんで、なんで……殺さないで、殺さないで」と言い、その場で頭を抱え、床に座り込んでしまった。
アランは思わず舌打ちをした。そしてすぐに村全体に結界を張り、村全体を封鎖する。
「外に出てないといいんだが……」
村長を置き去りにし、アランは地下から地上へと向かった。そして地上に出るなり、魔法で例の品を探索する。
「……見つけた」
安心したのかアランは息を吐いた。そして準備運動を軽くしたかと思えば、例の品があるところへと走り出した。
同時刻、少女の手からは血がぽたりぽたりと地面へ流れ落ちていた。しかし少女はそんなことお構いなしに木を殴り続けていた。
「悔しい、悔しい、悔しい」
赤眼から雫がこぼれ落ちる。
ユースティアは己の弱さを憎んだ。今の自分の実力では完全に村を滅ばせないことは分かっていた。あの男がいる限り。
でもやり返す以外でこの怒りは消えそうになかった。
「あの男さえいなければっ! 今すぐにでもこの村を滅ばすのにっ!!」
怒り、憎しみが燃料となって魔力が高まり続ける。そして、今にも爆発寸前であった。
ユースティアは負の感情に支配され気づいていなかったが、魔力以外に能力も限界突破しそうな勢いであった。
能力は通常、命に関わるため最大限解放はできないようになっている。でも今のユースティアはろくに能力を扱えていないのに最大限解放に足を突っ込みつつある。
ユースティアは少し冷静になったのか、木を殴るのをやめ、うつむいた。
時間は数分にも満たなかっただろう。その後、一瞬、狂気じみた笑みを浮かべると、
「あはっ、もういい。この身がどうなろうと知ったこっちゃない。絶対に滅ばすっ!!」
怒りの籠もった瞳を宿し、決意する。その赤い目は、自暴自棄になどなっていなかった。腹をくくった戦士のような、覚悟を決めたような目をしていた。
その様子を金鳥はじっと観察していた。そして目を伏せると、アランの元へと飛んでいった。
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