ラプラスの悪魔

抹茶氏

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一章【魔王勇者編】

真言の魔女

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時雨達がミネルヴァの転移魔術によって零番隊から出ていった後の事。
「来客なんて珍しいわね。今度はどうやって入ってきたのかしら」
「分からんが、俺の予想だと若月時雨を追って来たんだろう。彼女には特別な何かがある気がする。それにあの聖剣の事だって」
「もー、そんなことより来客をこのまま中に入れるんすか」
「入れるわけ無いだろ、ミネルヴァ。お前が片付けとけ」
「はいはい、じゃあ行ってくるわね」
「若月時雨の事だが、お前が首を絞めた時どうだった」
「普通の反応でしたね表面上は」
「詳しく聞かせてもらおうか」
「普通の人は首を絞められたら、抵抗をする。ここまでは若月時雨もしていました。でも、目がね。普通じゃなかった。俺じゃなくてもっと遠くの、言葉では表せないような何かが」
「そうか。若月時雨の過去について調べてこい明後日までにな」
「了解」
ーーーーーーーー
暗く長い廊下が続いている。この先に来客がいるそう。
「あら、見つけたわ。こんにちは大勢いるのね」
来客は一人ではなく、魔物が何十体もいた。
「…ここに若月時雨という女が来なかったか」
「来ていたわ、でももう帰ったわよ」
「ッチ、気づかれたか。情報を貰って感謝するが、お前はここで死ね」
「私が簡単に死ぬと思っているの」
「魔女の血でな。お前も俺等の仲間にする」
魔女の血に触れると普通の人は魔物化してしまう。普通の人ならば。
「もう、黒の服だったから良かったけど、白の服だったら赤くなったじゃない」
「何だとお前にも適性が?」
「適性?何を言っているのかわからないけど"私達は人間、魔女の血で魔物にはならない"」
「お前こそ何を言って、」
「ここは一体、俺は」
「な、何で裸?!」
アダムの後ろにいた魔物たちはいなくなり、代わりに人が大勢いた。いや、魔物化した人が元に戻ったのだった。
「ど、ういう事だ」
「じゃあ君達は地上に戻してあげるね。ハイ」
魔物化していた人達はミネルヴァの魔術によって転移させられた。
「…やってくれたな」
「貴方は、昔から変わってないわね」
「昔だと」
「イヴちゃんのことは私も残念だったわ」
「何で知って」
「でも、残念だったのはその後の貴方よアダム。魔女の力でこの世界に復讐しようとしていたのは知っていたけど、関係のない人間を巻き込んでまでするなんてイヴちゃんは悲しむわよ」
「お前に、何が分かるってんだ!俺の、俺の大切で大事な家族が、喰われたんだ!人間に!関係のない?罪のない人間なんて、この世界には存在しないんだよ。だから俺は魂をかけてでもこの世界を破壊する。そしてやり直すんだ魔物の世界に」
「うーん、何を言っているのか。貴方も元は人間だったでしょう。それに今の魔王知らないの?」
「魔王だと」
「今の魔王はね人間だよ。それも人間サイドについているから、魔物の世界も時間の問題」
「魔王が人間?!そんな話でたらめだ!」
「あら、貴方は魔物の世界を作ると言っておきながら今の魔物の世界を知らないのね」
ーーーー
(おいおい、いったん落ち着け、あの女は俺を惑わそうとしている。確かに俺は今の魔物の世界を知らない。だが、相手の言う事をそのまま受け入れるべきではない。俺のこの目で見るまでは)
「…お前の言ったとおり、俺は知らない事が多い。だが、お前の言う事を鵜呑みにすることも出来ないな」
「いったん冷静になって考えたのね。このまま魔物の世界を作るのを止めてくれたら良かったのに。仕方ないここで貴方を消さないとね」
「俺だって今のうちにお前を消さないと、いけないみたいだな」
アダムとミネルヴァの戦いが始まると同時にアダムは魔術によって強化された素早さでミネルヴァに向かって移動し、一撃で仕留めるために頭を狙った。
「楽に死なせてやるよ」
「"アダムは私に指一本も触れることが出来ない"」
ミネルヴァの一言でアダムは、止まらなかった。
「今の俺には効かない!」
「なるほど、今の貴方はただの魂なんですね」
そしてそのままミネルヴァの首を飛ばした。辺り一面がミネルヴァの首から溢れ出る血でいっぱいになった。
「…この程度でよく魔女なんて名乗れたな。真言の魔女ミネルヴァ」
アダムはミネルヴァの死体を見て完全に死んだのを確認し、この空間から出ようとしていた。が、
「あら、もう帰っちゃうの?私はまだ元気よ」
死んだのを確認したはずが、ミネルヴァは何事もなかったように生きている。
「真言の魔女。ただの人間と思っていたがバケモノか、さっきお前が死んだのを確認したんだけどな」
「ええそうね私はただの人間ではないわ。貴方がさっきから言っている真言の魔女と言うように魔女の名が私にはあるの。だからね"私は死ぬことがあっても数分後には何事もなかったように元に戻る"のよ」
「マジもんのバケモノだなお前。魔物より魔物しているぞ」
「褒め言葉として受け取っておくわね。あと貴方、忘れ物しているわ」
ミネルヴァの手には指とどこの部位か分からない骨が数本あった。
「忘れ物?それの…ぐがぁっ!そ、れは」
アダムは急に訪れる激痛に倒れそうになり、手で身体を支えようとするが、その手には指が無かった。あまりの激痛で手の感覚がなくなっており、気づかなかったのか。
「どうやって、いつの間に!」
「私は補助魔術のエキスパートよ。誰よりも補助魔術に詳しくて、その危険な使い方だって知ってる」
ミネルヴァは笑顔で指と骨を持ってゆっくり警戒せずに近づいてくる。死ぬことのない自分、激痛で動けないアダム。完全に舐めている。
「君は魔術の才が無いから特別に教えてあげるね。『鈍足』(スロウ)ぐらいは知ってるよね。『鈍足』は極めている人なんていないけど、極めたら部分的に使えるようになるんだ。『鈍足』」
すると、時雨が使ったときは人全体に『鈍足』の効果があったが、ミネルヴァが使うと。
アダムの指がまだある方の手に『鈍足』の効果がある空間が出来た。
「そして今度は、指だけに『鈍足』」
すると今度は指だけにかなり強い『鈍足』の効果がついた。
「仕上げにこの腕を動かすと、」
「や、止めろ。止め、、い」
「…魔女を舐めるからこんな目に合うんだよアダム」
ミネルヴァがアダムの腕を持ち上げると、『鈍足』にかかった手はゆっくりだがついてきている。問題は指の方だ。強い『鈍足』によってミネルヴァが動かした速さに指がついていけず、きれいに取れてしまった。
「がぁあ"ーーーーーー!!」
「貴方はすぐに死んでしまった妹しか魔女を知らないみたいだから教えてあげる。魔女の中でイヴちゃんの次に優しいのは私。それ以外は見ただけでも殺されちゃうかもね。…じゃあ指と骨は返すから私の『乱数転移』(ランダムテレポート)でどっか行ってね。バイバイ」
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
気づけばここは何処かの森の中だろうか、寝ている間に魔術で自己回復をしていたらしいがまだ指が7本無い。
あの真言の魔女が言っていた、2番目に優しい?のは本当のようだ。本気で俺を殺そうとしていたのならば、指とかではなくて腕ごと。体の中の骨ではなくて内臓、心臓だって取れていただろうな。
「真言の魔女…」
殺されかけたが情けをかけられた。
この世界で知られている魔女の一人に妹以外で初めて会ったが自分とは能力の強さが全く違う。そもそも妹の能力を知らないけど、イヴもこれほどの能力を持っていたのだろうか。それにあの魔女をあと何人も相手にしないといけないなんて、
「それでも俺は諦めきれない。この世界を壊すために……ごめんな、この身体結構ボロボロにしてしまったな。お前、明日も学校あるのにな」
ーーーーーーーー
ーーーーーーー
「戻ったかミネルヴァ。どうだった」
「久しぶりにあの子の顔が見れてよかったわ。結構痛めつけてしまったけど、殺してないし、多分あの子も目標を変えないと思うわ」
「そうか、それは残念。きっとあいつはもっと強くなってお前たちの、いや若月時雨の最大の敵になるだろうな」
「お前たちのってガイアは戦わないんすか」
「ふふ、俺に敵はいないよ」
「きゃーかっこいい(棒)」
「お前後で訓練場に来い」
ーーーーーーーー
「ここまで送ってくれたらもう大丈夫。ありがとう金色君」
「まぁこれでも一応、王国騎士で勇者だからな。じゃあな。次はお前の家まで送ってやるよ」
「俺はいいって」
「仕事なんだ、快く受け入れてくれ」
「じゃあ、ありがたく受け入れるよ。またな時雨」
「あっそう言えば金色君の聖剣の名前って何?」
「あー、前にちょっと言ってしまったんだけど。本当は言わないほうが良いって上司に言われちゃって。だから俺の聖剣の名前は教えれないし、君の聖剣の名前も聞かない。それでいいか」
「わかった、ありがとう。引き止めて悪かったわ」
「うん、また明日学校で」
結局金色の聖剣の名前分からなかったな。前に一度何か言っていた気がするから、思い出したらそれでいいかな。
家に帰って、冷蔵庫の中にある食材で今日のご飯を作る。そしてそれを一人で食べる。
「静かだな」
あまりにも静かすぎるのでテレビを起動して、何か情報を見ようとした。そして最初に出た情報が衝撃だった。
内容は今まで行方不明になっていた数十人が裸の状態で、怪我なく無事に帰ってきたというものだった。
「どういう事、この行方不明者ってアダムに」
次の瞬間『ラプラスの悪魔』から連絡が頭によぎった。
(緊急招集だ。皆集まってくれないか)
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