5 / 120
【一章】異世界でプラモデル
4.シルヴィアの家へ向かおう
しおりを挟む
一息ついたら背中がマジで痛いことに気付いた。さっきまでは脳内物質ドバドバで痛みを感じてなかっただけのようだ。
でも初回ボーナスで貰ったポーションを飲んだら一発で治った。異世界すげぇ。
ちなみに獲得したアイテムはスマホ操作で具現化できた。
「助けていただき、心より感謝申し上げます」
馬車の中、助けられた女の子は俺に対し三つ指ついて深々と頭を下げた。
俺はというと女の子の真正面で正座をしながらガッチガチに緊張していた。
俺なんてクラスの女子とだってまともに話したこともないのに、こんなアイドル顔負けの金髪美少女に面と向かって畏まられたら緊張するさ。
「い、いえ。その……助かったのは俺も同じと言いますか、なんと言いますか……」
伏せていた視線を少女へと向け、俺はしどろもどろながら返答する。すると俺の顔を真っ直ぐと見つめていた少女と目が合った。
突然のことに俺はドキッとしてしまう。
パッと見でわかってはいたが改めてまじまじと見ると、とんでもない美少女である。
歳は十代半ばぐらいだろうか、俺よりちょっとだけ年下のように見える。胸元まで伸びる長く美しい金髪。どちらかと言えば可愛い系の顔立ちだが、そのコバルトブルーの双眸からはどこか凛とした雰囲気も感じられる。
こんな女の子が日本にいたら100人中100人が思わず二度見するだろう。それほどの存在感を放っていた。
「あの、どうかされましたか?」
「はひっ!? あ、いえそのとても可憐で見とれてしまったと言いますか……」
「まあ、お上手ですね。ありがとうございます」
俺としてはお世辞のつもりではなく、つい本心がポロっと言葉に出てしまったのだが、彼女はその手のことは言われ慣れているのか常套句として受け取った様子だった。
「……では改めて自己紹介させていただきますね。私はシルヴィア・ヴァイシルト。ヴァイシルト家の一人娘です」
そして彼女は咳払いを一つはさみ、自己紹介を始めたのだが、この世界に来たばかりの俺はヴァイシルト家なんて言われてもまったくピンとこない。物凄い名家なんだろうか。
よくわかってないけど詳しく聞くのも失礼な気がして、とりあえずそのま話を続ける事にした。
「俺の名前は相模――あ、いやケイタ・サガミって言います」
シルヴィアの名前から察するに、多分日本とは違って姓名の読みが逆になる外国スタイルだろう。
俺もそれに合わせて自己紹介をした。
「ケイタ様ですね。あまり聞かない珍しいお名前ですが、どちらの出身なんですか?」
うっ。出たよ、異世界で聞かれて困る質問俺的ナンバーワン。
正直に異世界から来ましたって言うと、頭がおかしい人と思われるかもしれない。この世界の常識がわからない以上、迂闊な返答は控えるべきだろう。
さて、何て答えるかな。
「あー……えと、実は名前以外の記憶がなくて。目覚めたらこの山にいたんです」
とりあえず記憶喪失っていう設定にしておこう。そうしたらこの世界の常識を知らなくてもおかしくないし、こちらとしても聞きやすくなるからね。
「まあ……! そうだったのですね。それはさぞかし心細かったでしょう。――あっ、そうです! よろしければぜひ我がヴァイシルト家にお越しくださいませ。お礼もしなければなりませんしね」
こちらとしては願ったり叶ったりだ。この後行き先もないし予定もない。この山を抜けるにしてもシルヴィアらと一緒にいたほうが遥かに安全だろう。
今後のことは人里に降りてから考えればいいしね。
「すみません。ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「 決まりですね。ではしばらくの間よろしくお願いいたしますね、ケイタ様」
そう言ってシルヴィアはにこっと微笑んだ。
その笑顔があまりにも純粋で眩しすぎたので、俺は顔を赤くしながら目をそらした。
でも初回ボーナスで貰ったポーションを飲んだら一発で治った。異世界すげぇ。
ちなみに獲得したアイテムはスマホ操作で具現化できた。
「助けていただき、心より感謝申し上げます」
馬車の中、助けられた女の子は俺に対し三つ指ついて深々と頭を下げた。
俺はというと女の子の真正面で正座をしながらガッチガチに緊張していた。
俺なんてクラスの女子とだってまともに話したこともないのに、こんなアイドル顔負けの金髪美少女に面と向かって畏まられたら緊張するさ。
「い、いえ。その……助かったのは俺も同じと言いますか、なんと言いますか……」
伏せていた視線を少女へと向け、俺はしどろもどろながら返答する。すると俺の顔を真っ直ぐと見つめていた少女と目が合った。
突然のことに俺はドキッとしてしまう。
パッと見でわかってはいたが改めてまじまじと見ると、とんでもない美少女である。
歳は十代半ばぐらいだろうか、俺よりちょっとだけ年下のように見える。胸元まで伸びる長く美しい金髪。どちらかと言えば可愛い系の顔立ちだが、そのコバルトブルーの双眸からはどこか凛とした雰囲気も感じられる。
こんな女の子が日本にいたら100人中100人が思わず二度見するだろう。それほどの存在感を放っていた。
「あの、どうかされましたか?」
「はひっ!? あ、いえそのとても可憐で見とれてしまったと言いますか……」
「まあ、お上手ですね。ありがとうございます」
俺としてはお世辞のつもりではなく、つい本心がポロっと言葉に出てしまったのだが、彼女はその手のことは言われ慣れているのか常套句として受け取った様子だった。
「……では改めて自己紹介させていただきますね。私はシルヴィア・ヴァイシルト。ヴァイシルト家の一人娘です」
そして彼女は咳払いを一つはさみ、自己紹介を始めたのだが、この世界に来たばかりの俺はヴァイシルト家なんて言われてもまったくピンとこない。物凄い名家なんだろうか。
よくわかってないけど詳しく聞くのも失礼な気がして、とりあえずそのま話を続ける事にした。
「俺の名前は相模――あ、いやケイタ・サガミって言います」
シルヴィアの名前から察するに、多分日本とは違って姓名の読みが逆になる外国スタイルだろう。
俺もそれに合わせて自己紹介をした。
「ケイタ様ですね。あまり聞かない珍しいお名前ですが、どちらの出身なんですか?」
うっ。出たよ、異世界で聞かれて困る質問俺的ナンバーワン。
正直に異世界から来ましたって言うと、頭がおかしい人と思われるかもしれない。この世界の常識がわからない以上、迂闊な返答は控えるべきだろう。
さて、何て答えるかな。
「あー……えと、実は名前以外の記憶がなくて。目覚めたらこの山にいたんです」
とりあえず記憶喪失っていう設定にしておこう。そうしたらこの世界の常識を知らなくてもおかしくないし、こちらとしても聞きやすくなるからね。
「まあ……! そうだったのですね。それはさぞかし心細かったでしょう。――あっ、そうです! よろしければぜひ我がヴァイシルト家にお越しくださいませ。お礼もしなければなりませんしね」
こちらとしては願ったり叶ったりだ。この後行き先もないし予定もない。この山を抜けるにしてもシルヴィアらと一緒にいたほうが遥かに安全だろう。
今後のことは人里に降りてから考えればいいしね。
「すみません。ではお言葉に甘えさせてもらいます」
「 決まりですね。ではしばらくの間よろしくお願いいたしますね、ケイタ様」
そう言ってシルヴィアはにこっと微笑んだ。
その笑顔があまりにも純粋で眩しすぎたので、俺は顔を赤くしながら目をそらした。
3
あなたにおすすめの小説
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる