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キツネのお面(1)
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「1、2、3、4、5・・・もういいかい?」
「・・・。」
大きな桜の樹の方向を向いて数を数えている男の子が一人。
隠れている相手に問いかける青い着物の男の子。
返ってこないと分かっていても、もしかしたらと小さな期待を込めて問い掛ける。
「・・・。」
やっぱり返ってこない。
また皆、男の子を仲間外れにして何処かに行ったんだ。
可哀想な青い着物の男の子。
男の子は皆との約束通り、20まで数えると桜の樹から離れ、探し始めた。
誰もいない境内を男の子は探している。
ガサガサガサと草をかき分ける。
だけどそこには誰もいない。
キョロキョロキョロと境内の軒下を覗いてる。
だけどもやっぱり誰もいない。
ユラユラユラと男の子、元居た桜の樹に寄りかかる。
誰もいないと分かっていても男の子は探してる。
友達と思っている、友達と思われていない子供達を。
強い風が吹いたんだ。
桜の花びらが舞い散った。
男の子、桜の樹の後ろ、誰かの気配を感じたよ。
笑顔で振り向く男の子。
「み~つけ・・た・・・。」
男の子は固まった。
後ろに居たのは知らない子。
というより、キツネのお面を被った子。
「キミは誰?」
男の子は驚いたが、すぐに戻ったよ。
キツネのお面の子はただただ黙ってる。
男の子、知らない子でも良かったんだ。
だってこれでもう、独りじゃなくなるから。
「僕はカンジ。キミの名前は?」
カンジはお面の子に笑顔を向けた。
「・・・ギ・ギンコ。」
お面の子、小さな声で呟いた。
カンジは嬉しい気分でいっぱいになった。
問いかけに答えが返ってきたのだから。
カンジはギンコのお面について聞いたけど、ギンコは黙ったまま。
カンジ慌てて聞くのをやめた。
「ギンコは何処の子なの?」
カンジは見えないギンコの顔色を伺いながら問いかけた。
ギンコはそんなカンジを見て吹き出した。
「大丈夫だよ、うちはいなくならんから。」
ギンコのその言葉にカンジはドキッとした。
カンジとギンコは、時が過ぎるのも忘れて話をした。
もう空が青からオレンジ色に染まっていた。
カンジはギンコにさよならを言って、家の方へと歩き出した。
「カンジ、また明日ね。」
ギンコの声に振り向いたカンジ。
だけどもうギンコの姿はそこにはなかった。
桜の花びらがヒラヒラヒラと舞い落ちている。
いつもなら寂しい気持ちになるひとりぽっちなのに、今日のカンジは嬉しい気持ちで心がいっぱいになっている。
だってね、ギンコは明日も会う約束をしてくれたんだよ。
それと僕の名前を呼んでくれたから。
「・・・。」
大きな桜の樹の方向を向いて数を数えている男の子が一人。
隠れている相手に問いかける青い着物の男の子。
返ってこないと分かっていても、もしかしたらと小さな期待を込めて問い掛ける。
「・・・。」
やっぱり返ってこない。
また皆、男の子を仲間外れにして何処かに行ったんだ。
可哀想な青い着物の男の子。
男の子は皆との約束通り、20まで数えると桜の樹から離れ、探し始めた。
誰もいない境内を男の子は探している。
ガサガサガサと草をかき分ける。
だけどそこには誰もいない。
キョロキョロキョロと境内の軒下を覗いてる。
だけどもやっぱり誰もいない。
ユラユラユラと男の子、元居た桜の樹に寄りかかる。
誰もいないと分かっていても男の子は探してる。
友達と思っている、友達と思われていない子供達を。
強い風が吹いたんだ。
桜の花びらが舞い散った。
男の子、桜の樹の後ろ、誰かの気配を感じたよ。
笑顔で振り向く男の子。
「み~つけ・・た・・・。」
男の子は固まった。
後ろに居たのは知らない子。
というより、キツネのお面を被った子。
「キミは誰?」
男の子は驚いたが、すぐに戻ったよ。
キツネのお面の子はただただ黙ってる。
男の子、知らない子でも良かったんだ。
だってこれでもう、独りじゃなくなるから。
「僕はカンジ。キミの名前は?」
カンジはお面の子に笑顔を向けた。
「・・・ギ・ギンコ。」
お面の子、小さな声で呟いた。
カンジは嬉しい気分でいっぱいになった。
問いかけに答えが返ってきたのだから。
カンジはギンコのお面について聞いたけど、ギンコは黙ったまま。
カンジ慌てて聞くのをやめた。
「ギンコは何処の子なの?」
カンジは見えないギンコの顔色を伺いながら問いかけた。
ギンコはそんなカンジを見て吹き出した。
「大丈夫だよ、うちはいなくならんから。」
ギンコのその言葉にカンジはドキッとした。
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だけどもうギンコの姿はそこにはなかった。
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いつもなら寂しい気持ちになるひとりぽっちなのに、今日のカンジは嬉しい気持ちで心がいっぱいになっている。
だってね、ギンコは明日も会う約束をしてくれたんだよ。
それと僕の名前を呼んでくれたから。
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