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第7章:地獄のテスト期間、恋も勉強も赤点確定!?
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ずっと吉沢の様子をうかがっていたら、ついに絶好のタイミングが訪れた。
吉沢が弁当箱を洗いに席を立つ。その瞬間を逃すまいと、俺も教室を飛び出した。
「吉沢!」
廊下を抜けて、洗い場の前で追いついた。情けなく裏返った声が、自分でも嫌になる。
「――なんだ?」
吉沢は、手を止めないまま蛇口をひねる。
「えと……お前に話したいことがあって……」
流れる水音が、やけに耳に響いた。
言葉を探しているうちに、背後から人の気配。
ぐずぐずしてたら、また誰かに吉沢を持ってかれる。
焦るほどに喉がつまって、声が出ない。
「あの……放課後――」
そこまで言いかけた時、「吉沢ー!」と階段の上から三年の先輩の声が飛んだ。
「来月の学外ボランティアの参加日程決めたいんだけどー!」
「今いきます!」
吉沢は手早く弁当箱の水気を切ると、小さな手提げにしまった。
その背を見ながら、俺は思わずため息を吐く。
やっと捕まえたのに、これかよ。
仕方ない。ここは一旦引き上げよう――そう思った時。
「ん」
突然、その手提げを押しつけられた。
教室に運んどけってことか?
まあ、それくらいなら別にいい。
大人しく受け取って踵を返したところで、背後から吉沢が言った。
「ちゃんと中身、見ろよ」
「……?」
なんとなく予感がして、俺は教室に戻らず屋上へ向かった。
ここは人気がなくて、俺のお気に入りの場所だ。
屋上へ続く階段の踊り場で、言われた通り手提げの中を覗く。
弁当箱の他に、一枚の紙切れが入っていた。
”放課後、部室で。鍵は俺が預かってる”
「これって……」
朝から吉沢の周りをうろちょろしていた俺のことなんて、とっくにバレていたんだろう。だから、あいつはわざと一人で弁当箱を洗いに行ったんだ。
「なんでもお見通しかよ」
口にした途端、小さな笑みがこぼれる。
以前の俺なら、行動を見透かされてるなんて、バカにしやがってって腹を立てていたかもしれない。でも今は、吉沢相手なら嫌じゃない。
俺みたいな卑屈で、嘘つきで、学校ではろくに声もかけられないような情けないやつを、吉沢はそれでも見てくれている。俺の方から話しかけたいと思った気持ちを、きっと吉沢は受け取ってくれたんだ。それだけで、少しだけ――自信が湧いた。
「ほんと俺ってジメってんなぁ」
今回ばかりは俺から行動を起こそうって思ってたのに、また完敗。いつになったら、この王子様の鼻をあかせるんだ。いや、きっと一生そんな日は来ない。吉沢のくれたメモの裏に”わかった。俺からちゃんと話す”と書き足すと、弁当箱の下に戻した。
今度こそ誠意を見せる。
そう、心に固く誓っていたのに――。
「……なんでこんな時に限って日直なんだよ!!」
放課後担任に仕事を押し付けられて、ようやく気付いた。黒板を見れば、日直のところに確かに自分の名前が書かれている。職員室に集めて持って来るように言われたプリントを束ねて、学級日誌に数字を書き込む。ちなみに相方の女子には今日一度も声かけられてねぇし、多分もう帰ったんだろう。
だからと言って、目くじらを立てる必要はない。クラスで空気の俺には、こんなことは日常茶飯事だ。
日誌とプリントを抱えて教室を出る時、すれ違った吉沢に俺は視線を上げないまま告げる。
「先に部室行っとけ。終わったらすぐ行く」
返事が聞こえたかもわからないまま、俺は廊下を全力で駆けた。
吉沢が弁当箱を洗いに席を立つ。その瞬間を逃すまいと、俺も教室を飛び出した。
「吉沢!」
廊下を抜けて、洗い場の前で追いついた。情けなく裏返った声が、自分でも嫌になる。
「――なんだ?」
吉沢は、手を止めないまま蛇口をひねる。
「えと……お前に話したいことがあって……」
流れる水音が、やけに耳に響いた。
言葉を探しているうちに、背後から人の気配。
ぐずぐずしてたら、また誰かに吉沢を持ってかれる。
焦るほどに喉がつまって、声が出ない。
「あの……放課後――」
そこまで言いかけた時、「吉沢ー!」と階段の上から三年の先輩の声が飛んだ。
「来月の学外ボランティアの参加日程決めたいんだけどー!」
「今いきます!」
吉沢は手早く弁当箱の水気を切ると、小さな手提げにしまった。
その背を見ながら、俺は思わずため息を吐く。
やっと捕まえたのに、これかよ。
仕方ない。ここは一旦引き上げよう――そう思った時。
「ん」
突然、その手提げを押しつけられた。
教室に運んどけってことか?
まあ、それくらいなら別にいい。
大人しく受け取って踵を返したところで、背後から吉沢が言った。
「ちゃんと中身、見ろよ」
「……?」
なんとなく予感がして、俺は教室に戻らず屋上へ向かった。
ここは人気がなくて、俺のお気に入りの場所だ。
屋上へ続く階段の踊り場で、言われた通り手提げの中を覗く。
弁当箱の他に、一枚の紙切れが入っていた。
”放課後、部室で。鍵は俺が預かってる”
「これって……」
朝から吉沢の周りをうろちょろしていた俺のことなんて、とっくにバレていたんだろう。だから、あいつはわざと一人で弁当箱を洗いに行ったんだ。
「なんでもお見通しかよ」
口にした途端、小さな笑みがこぼれる。
以前の俺なら、行動を見透かされてるなんて、バカにしやがってって腹を立てていたかもしれない。でも今は、吉沢相手なら嫌じゃない。
俺みたいな卑屈で、嘘つきで、学校ではろくに声もかけられないような情けないやつを、吉沢はそれでも見てくれている。俺の方から話しかけたいと思った気持ちを、きっと吉沢は受け取ってくれたんだ。それだけで、少しだけ――自信が湧いた。
「ほんと俺ってジメってんなぁ」
今回ばかりは俺から行動を起こそうって思ってたのに、また完敗。いつになったら、この王子様の鼻をあかせるんだ。いや、きっと一生そんな日は来ない。吉沢のくれたメモの裏に”わかった。俺からちゃんと話す”と書き足すと、弁当箱の下に戻した。
今度こそ誠意を見せる。
そう、心に固く誓っていたのに――。
「……なんでこんな時に限って日直なんだよ!!」
放課後担任に仕事を押し付けられて、ようやく気付いた。黒板を見れば、日直のところに確かに自分の名前が書かれている。職員室に集めて持って来るように言われたプリントを束ねて、学級日誌に数字を書き込む。ちなみに相方の女子には今日一度も声かけられてねぇし、多分もう帰ったんだろう。
だからと言って、目くじらを立てる必要はない。クラスで空気の俺には、こんなことは日常茶飯事だ。
日誌とプリントを抱えて教室を出る時、すれ違った吉沢に俺は視線を上げないまま告げる。
「先に部室行っとけ。終わったらすぐ行く」
返事が聞こえたかもわからないまま、俺は廊下を全力で駆けた。
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