狂気の最凶復讐鬼 ~最強の魔法を開発したので、勇者も聖女も両親も、いじめた奴らを全員嬲り殺して、殺して、殺して、殺して、殺すことにする~

輪島廻

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第一章 復讐の焔は村を包み込む

4、自分の過去を語れる相手

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 ルーシャは引きこもった。
 しかし、遊んでいたり、無為に時間を潰していたわけではない。
 ブラックとシエットへの、復讐方法を考えていたのだ。

 まず、根本的な問題として、ルーシャには戦う力がない。
 これをどうにかしなければ、復讐以前に戦うことすらできない。

 そして、戦う為には特訓が必要だ。真の強者は、幼い頃から特訓を重ね、その絶技を体に染み込ませている。
 それは一朝一夕で身に付くものではない。

 ならばどうするか?
 魔法を、調べて調べて調べ尽くす。それを理論的に最適化し、他人の技よりも優れたものを作り出す。

 魔法は、そこまで研究が進んでいない。というのも、魔法という存在自体が不安定すぎて式に起こすことができないのだ。
 その、長い年月を掛けても多少しか進んでいない研究を進めるなんてことは、並大抵なことではない。

 しかし、確実に時間が掛かる方法を採っていれば復讐心が薄れていってしまうかもしれないし、そもそも、自身が時間を使うということは、相手にも同じだけの時間を与えているということになる。
 恐らくブラックに時間を与えれば、復讐心を全てエネルギーに変えたルーシャと同等かそれ以上の成長を遂げてしまうだろう。幼くして魔法使いになった彼の才能は、伊達じゃないのだ。

 そこまで決まれば、魔法を調べ始めるだけだ。
 ルーシャの適性魔法は、物理魔法、生命魔法、生体魔法と三種類魔法がある中の、生体魔法だけだった。

 生体魔法とは、生物の体、あるいは存在に干渉する魔法だ。
 体の形を変える変身魔法や、筋力を上げる強化魔法がこれに含まれる。
 三種類の魔法の中でも最もマイナーかつ扱いの難しい魔法だ。
 普通、人はあまりこれを使いたがらない。

 しかし、ルーシャはこれを幸運だと思っていた。
 この魔法を極めれば、ブラックとシエットに殴られてできた顔面の凹みを、治すことができる。
 因みに、この凹みは傷というよりも、ブラックの魔法によって本来の存在からねじ曲げられてしまっている。その為、回復魔法を始めとする生命魔法では治すことができない。
 顔を殴るだけで形が変わるなんて明らかに異常だ。そのことから、ルーシャにも魔法が使われたのだということは推測できた。

 そして、ルーシャは次々と魔法を開発していった。
 二年が経過し、一七歳になったルーシャは、最早生体魔法を極めたと言っても良いほどの実力を持っていた。

 手始めに、ブラックとシエットにつくられた傷を治してみることにした。研究の末に最適化することに成功した生体魔法を使うと、顔が光り輝き、本来の姿へと戻っていく。

 ルーシャは二年間、この魔法を理論上に興すことには成功しても、決して使わなかった。
 生体魔法を極めるという目的を達成するまで残しておくことにしたのだ。これはルーシャなりの決意の表れ。
 しかし、魔法の研究が終わり、復讐に乗り出すときにこの顔ではあまりにも不便だ。そろそろ使ってしまっても良いだろうと、そう考えたのだ。
 ルーシャの復讐心はもう揺るがない。顔が元に戻っても、この復讐心は薄れないだろうと思っての判断だった。

 そして、その日、ルーシャは実に二年ぶりに涙を零した。

 ▼

 戦うすべは身に付けた。
 ならば、次は戦略を練るのだ。

 生体魔法を極めたとはいえ、ブラックは、近接戦闘も、物理魔法も、生命魔法も、生体魔法も、全てを使える化け物だ。
 戦略もなしに勝てる相手ではない。

 しかし、戦略の立てようがない。
 ルーシャはブラックのことを何も知らないのだ。正確には、知っていたつもりだったが、本当のブラックがわからなくなった。

 ならば、ブラックの情報を集めなければならない。
 幸いにも、生体魔法は人の情報を集めるのに適している。
 この魔法を使えば、人が存在する位置を特定したり、逆に見つからないように気配を消したりと、バレないでストーキングをすることができる。

 そこまで分かれば、実行に移すだけだ。
 その日からルーシャはブラックのストーキングを開始した。

 そして、ストーキングは案外簡単に進むことになる。
 生体魔法による感知がルーシャの予想通りに性能を発揮し、また、ブラックを一度も気取られることなくつけることができたのだ。
 その結果、一つの有力な情報を手に入れられた。
 ブラックは、村の不良達と連んでいる。

 その情報を手に入れたルーシャは、その不良達のうち一人、細い男に接触し、生体魔法でその存在を一時的に消した。勿論記憶を抜き取った上で、だ。
 そして、自身がそいつに変身し、ブラックや不良達と繰り返し接触した。

 そんなことを繰り返したある日、ルーシャは家に帰る前に変身を解いた。
 両親には、こんなことをしているのは内緒なのだ。
 顔が変わっても変わらず接してくれた両親に心配をかけることなんて、ルーシャにはできなかったのだ。

 しかし――

「なっ……」
「……え?」

 ――ルーシャは聞いてしまった。男の声を。

 そちらを見ると、丸々太った男がいた。

 気付くとルーシャは殴りかかっていた。
 決定的な瞬間を見られた上に、それは自分が全裸のときだったのだ。

 口から次々と出る罵倒は、男の言葉でピタリと止まった。

「ところでどうして男の格好なんてしてたんだ? あれ、変身魔法だろ?」

 自分の表情が硬くなるのを、ルーシャは感じた。

「なぁ……。何があった? どうしてこんなところにいる?」

 そして、ルーシャはその声に理解する。
 ――ああ、こいつは同類だ、と。

「……このオーラ……アンタも同類のようね……」

 気付くとルーシャは、自分の過去を語り始めていた。

 ――もしかしたら、こいつなら、顔以外も見てくれるかもと思って。
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