狂気の最凶復讐鬼 ~最強の魔法を開発したので、勇者も聖女も両親も、いじめた奴らを全員嬲り殺して、殺して、殺して、殺して、殺すことにする~

輪島廻

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第一章 復讐の焔は村を包み込む

9、復讐の焔は村を包み込む

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 ソータがパチンッ! と指を鳴らす。
 次の瞬間、立ち尽くすだけだった火の壁が、動き始めた。広場を中心にして、段々縮小していく。
 轟音を放ちながら四方から迫ってくる火炎の巨壁は、動けない村人達に恐怖を与えるのに十分な迫力を持っていた。

「ひっ! ひぃ! 助けて!」
「来るなっ! 来るなあぁぁあああああ!」
「止めろ! やめてくれ! 止めてください!」

 村人達がそれを認めた瞬間、広場は叫喚に包まれる。
 しかし、迫る壁が止まることはない。

 自分の身のことばかり考えていた村人達は、しばらくしてあることに気付く。
 ――家が、物が、財産が、焼かれていく。
 ――過去の思い出が、未来への希望と夢が、炎に飲み込まれていく。

 それを見た村人達は、絶望に打ち震える。
 故郷に思い入れがない人なんて、ソータくらいだ。
 少なくとも、ここにいる誰もが、暴れまわる炎に蹂躙されていく故郷を見て、顔を絶望色に染めた。

 ソータはそれを見て嗤う。

「やめてぇ! 家には夫に貰った指輪があるの!」
「街に出る為に金を貯めたんだ! それを焼くなんて許さないぞ!」

 叫び散らす村人達に返すのは、無言という名の無慈悲。壁の勢いは変わらない。
 火の壁は、家を焼き、地面を焦がし、村全体を貪っていく。

「はっ、ははっ、俺の家が……」
「もう俺の人生は終わりだ……」
「もう自分の体を売るしか……」

 その炎が村の半分以上を燃やしたとき、既にそこにあるのは諦めだけだった。
 ソータに懇願することも、壁の進行を止める為に躍起になることもせずに、ただ弱々しく諦めの言葉を口に出すだけ。
 そんな様子が、ソータの復讐心を満たしていく。

「さて、第三段階に移行しよう」
「そろそろ潮時ね」

 もう一度、ソータはパチンッ! と指を鳴らす。
 すると今度は、動き続けていた火の壁がその動きを止める。
 その場にいる全員の目に、希望が浮かべられる。これで終わるかもしれないという、儚い希望が。

 ソータは、今までに一度でも自分に害を為した人間の顔を、全て覚えている。
 その人数が数十人まで増えても、忘れることなんてとてもできなかった。
 そして遂に、苦痛の記憶と共にソータの中に眠っていたそれが役に立つ時がきた。

 ソータは広場を見渡す。

 一人、男を見つけた。勇者がいるのを良いことに、一緒になってソータを散々痛めつけた人物だ。
 ソータは彼に近付いていく。
 束の間、肩の力を抜いていた彼の顔が、二度ふたたび恐怖を帯びる。尻を引きずって、手だけで後退ろうとしているのが滑稽だ。

 だが、ソータの目的はこいつじゃない。男の横を通り過ぎる。
 その途端、男の顔に滲んでいた恐怖が、またも、安堵に変わる。
 しかし、それは一瞬で崩れ去り、今度は絶望に染まる。
 彼には、ソータが何をするつもりなのかが分かってしまったのだろう。

 ソータは、男の後ろに転がされていた女性に目を向ける。
 男と一緒に逃げてきたことから推測するに、男の妻、あるいは彼女なのだろう。どちらにせよ、大切な人なのは間違いない。

 ソータの目がギラリと光り、瞬間、女性の顔が歪む。
 ソータはその反応を見ながら、彼女の腕に熱エネルギーを集めていく。当然の帰結として、その腕が火に包まれる。

「ひいぃぃいああああああああああああああああ!」

 叫び声が、広場に響き渡る。
 その場にいる全員が息を飲む。
 そして、男の目から涙が溢れる。

「おい、おい、大丈夫か? おい!」

 相変わらず焼かれている女性に、男は繰り返し呼び掛ける。
 しかし、火力は強まるばかりだ。

「おいっ! おいっ! おいぃ!」

 男の声が途切れたのは、火が消えた時だ。
 その時、既に女性の両腕はあるべきところに存在していなかった。

 そして、ソータは、女性の服を全て破り捨てる。

「!? まさか! もうやめてくれ! 彼女は大切な人なんだ!」

 ソータは内心で彼を嘲笑う。大切だからこそ、犯すのだろうと。
 ソータの目的は、自分が気持ち良くなることではない。ただ、女性を寝取って、男に精神的な傷を負ってもらうことが目的なのだ。

 行為が終わると、女の体は壊れ、男の精神もボロボロになっていた。
 涙と鼻水と小便を垂れ流し、壊れた女の体を抱く男。ソータはそこに近付いていって、女だけを燃やし、灰にかえす。
 腕の中から瞬時に消え去った女。彼女が居た腕の中。そこを呆然と見る男の頬を、涙が伝った。

 男には、最後まで苦しんでもらう。そこまでして、初めてソータの復讐は達成される。

 ▼

 一方のルーシャも、同じことをしていた。
 腕を焼く訳ではなく、生体魔法で両腕を消す、寝取る相手が女ではなく、男になっているという違いはあるものの、やっていることは殆ど同じだ。

 焼くのではなく消すというのは一見地味だ。
 しかし、腕がなくなったのに痛みを感じない、腕がなくなったのに絶叫しないという違和感と気味の悪さが恐怖に転じ、焼くのと同等以上の精神ダメージを与えることができる。

 ルーシャはうるさく喚き散らされるよりも、静かに絶望する姿を見る方が、好きだ。
 その点でも、この方法がルーシャに合っているといえる。

「さて、そろそろ全員だな」

 ソータのそんな声を聞き、ルーシャは周りを見渡す。
 そこには多くの死体と、うずくまって絶望している人間だけが存在していた。

「これで最後だ」

 三度みたび、ソータが指を鳴らす。
 二度ふたたび、動き出す火の壁。

 ――そして、復讐の焔は村を包み込む。

 数十もの断末魔を耳に入れながら、ソータとルーシャは、故郷の村だった場所を、後にした。
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