11 / 12
第一章 復讐の焔は村を包み込む
8、村人全員罠の中
しおりを挟む
ソータはルーシャと一緒に家から出る。
二人が一緒なのは、昨日自分の家を燃やしてしまったルーシャに頭を下げられたソータが、仕方なく部屋を貸した為だ。
両親は、ソータがかつて冒険者登録をした街、ローランに出掛けていたので、難なく部屋を貸すことができた。
今日は、遂に復讐をする。
ターゲットは村人全員だ。
見て見ぬ振りをしたり、間接的にでも勇者に協力したやつらを含めると、かなりの人数がソータやルーシャの心を傷付けたことになる。
そして、その家族や親しい友人達は、そいつらを絶望させる為の道具になる。
そう考えると、全員がそれに当てはまる。
ただ、この話には、ソータにとってのルーシャ、ルーシャにとってのソータという例外がいる。
勇者と大きな関わりがあったルーシャが直接的にも間接的にもソータへのいじめに加わっておらず、いじめられていたが為に復讐対象と親しくなかったことは、運命的と言っても良いかもしれない。
「それじゃ、始めるか……」
村中央にある広場まで来ると、ソータはそう宣言した。
ソータの口元がグニャリと歪む。
そして、火が発生する。
村を囲むように、円形に、火の壁が出来上がる。
火が発生するのに必要な条件は、可燃物、酸素、熱の三つが揃っていることだ。
そして、今回存在しなかったものは熱のみ。
脂肪魔法で、元々ソータの脂肪だったものを熱エネルギーに変換してしまえば、必要条件を全て満たすことができる。
さらに、一度火を起こしてしまえば、可燃物と酸素がなくなっても熱エネルギーと光エネルギーで擬似的な火を保つことができる。
慣れていないから最初にわざわざ自然の火を点けるが、慣れれば最初から擬似的な火を発生させることも可能だろう。
周りが騒がしくなる。
火の壁に気付いた村人達が家の中から出てきたのだろう。
しかし、既に火で村を囲まれている。逃げられる道理はない。
どんどん人が家から出てくる。中には、パニックになって、何かをを叫び散らしている人までいる。
その恐怖に歪む顔を見て、ソータは嗤う。
火の勢いを上げる。
それに恐怖心を煽られた村人達は、できる限り火の壁から離れようとして、村の中央に集まる。そこが広場ともなれば、尚更。
そしてそこに待っているのは、ソータとルーシャだ。
全てがソータの計画通りに進んでいく。
「おお、ルーシャちゃん! 良かった、無事だったんだね?」
二人が待つ場所に辿り着いた人達の一人が、ルーシャを見て喜びの声を発した。
果たしてそれは、過去にルーシャの治療を断った回復魔法使いだった。
ルーシャは白々しいその態度に苛立つ。
「はぇ?」
ルーシャが生体魔法で回復魔法使いの両足を消す。
「ルーシャちゃん!? 何をするんだい!?」
何をされたのか理解できていない回復魔法使いに、ルーシャは優しい声音で答える。
「生体魔法で足を消しただけですよ? 大丈夫です。他の人が来たらおじさん以外にも同じことをしますから」
「足を……消す……?」
おじさんは何を言っているのかわからないという様子で、首を傾げる。
しかし、頭で言葉を反芻し、だんだんと理解が追いついてきたのか、しばらくすると自分の足を見始める。
「え……? あ、え……?」
そして、ようやく言葉の意味を完全に理解したとき、一気に騒がしくなる。
「ひあっ! あ、え? ルーシャちゃん! どうしてこんなことをするんだい!? 有り得ない……。あの可愛いルーシャちゃんが……。もしかして……また偽物か!? おい! 本物のルーシャちゃんを返せよ! てか俺の足を返せよ! 人の足を盗って何が楽しいんだよ! 早く返せよ!」
こいつに恨みを持つのがソータだったら、その姿すら滑稽だと笑ったのだろうが、ルーシャはうるさくわめき散らすその姿を見て、不快だとしか思わなかった。
「黙ってろよ! クズッ!」
普段では絶対に使わないような汚い言葉で回復魔法使いに言い返しながら、今度は生体魔法で口を消す。
何も言えなくなった彼の目は、明らかに恐怖が刻まれていた。
しばらくして、未だ収まる様子のない喧騒の中、回復魔法使いの足が光り出す。
ようやく回復魔法を使うという発想に至ったのだろう。
かなりの魔力を注いだらしく、かなりの光を発している。
だが、これはただの回復魔法では元に戻せない。
そもそも回復魔法は、生命魔法に分類されることからも分かるとおり、生命を操って治るスピードを上げているだけだ。故に、治る傷でないと癒やすことはできない。
今回の場合、生体魔法によって根本から『存在』が書き換えられている為、同じく生体魔法で『存在』を元に戻さなければ、治療はできないのだ。
回復魔法が試されている間、喧騒はより勢いを増していく。
ようやく、人がたくさん集まってきたからだ。
ルーシャはその人達から、手際良く足を消していく。
そのまま転がされた村人達は、皆一様に怯えた目をしていた。
その中には、ソータをいじめた勇者の取り巻き達や、ルーシャの過去の友人達もいる。
彼らを見て二人は嗤う。自分達をいじめたやつらが、今度は足を消されて怯えながら転がっているのだ。滑稽と言う他ない。
「ルーシャ、そろそろ全員じゃないか?」
「少し待って……そうね、もう全員だわ」
ルーシャが生体魔法で周辺の生体反応を調べるが、この広場以外に反応はなかったらしい。
全員が自ら罠にハマりにくるなんてアホばかりだな。ソータはそう思いながら、復讐を次のステップに移す。
二人が一緒なのは、昨日自分の家を燃やしてしまったルーシャに頭を下げられたソータが、仕方なく部屋を貸した為だ。
両親は、ソータがかつて冒険者登録をした街、ローランに出掛けていたので、難なく部屋を貸すことができた。
今日は、遂に復讐をする。
ターゲットは村人全員だ。
見て見ぬ振りをしたり、間接的にでも勇者に協力したやつらを含めると、かなりの人数がソータやルーシャの心を傷付けたことになる。
そして、その家族や親しい友人達は、そいつらを絶望させる為の道具になる。
そう考えると、全員がそれに当てはまる。
ただ、この話には、ソータにとってのルーシャ、ルーシャにとってのソータという例外がいる。
勇者と大きな関わりがあったルーシャが直接的にも間接的にもソータへのいじめに加わっておらず、いじめられていたが為に復讐対象と親しくなかったことは、運命的と言っても良いかもしれない。
「それじゃ、始めるか……」
村中央にある広場まで来ると、ソータはそう宣言した。
ソータの口元がグニャリと歪む。
そして、火が発生する。
村を囲むように、円形に、火の壁が出来上がる。
火が発生するのに必要な条件は、可燃物、酸素、熱の三つが揃っていることだ。
そして、今回存在しなかったものは熱のみ。
脂肪魔法で、元々ソータの脂肪だったものを熱エネルギーに変換してしまえば、必要条件を全て満たすことができる。
さらに、一度火を起こしてしまえば、可燃物と酸素がなくなっても熱エネルギーと光エネルギーで擬似的な火を保つことができる。
慣れていないから最初にわざわざ自然の火を点けるが、慣れれば最初から擬似的な火を発生させることも可能だろう。
周りが騒がしくなる。
火の壁に気付いた村人達が家の中から出てきたのだろう。
しかし、既に火で村を囲まれている。逃げられる道理はない。
どんどん人が家から出てくる。中には、パニックになって、何かをを叫び散らしている人までいる。
その恐怖に歪む顔を見て、ソータは嗤う。
火の勢いを上げる。
それに恐怖心を煽られた村人達は、できる限り火の壁から離れようとして、村の中央に集まる。そこが広場ともなれば、尚更。
そしてそこに待っているのは、ソータとルーシャだ。
全てがソータの計画通りに進んでいく。
「おお、ルーシャちゃん! 良かった、無事だったんだね?」
二人が待つ場所に辿り着いた人達の一人が、ルーシャを見て喜びの声を発した。
果たしてそれは、過去にルーシャの治療を断った回復魔法使いだった。
ルーシャは白々しいその態度に苛立つ。
「はぇ?」
ルーシャが生体魔法で回復魔法使いの両足を消す。
「ルーシャちゃん!? 何をするんだい!?」
何をされたのか理解できていない回復魔法使いに、ルーシャは優しい声音で答える。
「生体魔法で足を消しただけですよ? 大丈夫です。他の人が来たらおじさん以外にも同じことをしますから」
「足を……消す……?」
おじさんは何を言っているのかわからないという様子で、首を傾げる。
しかし、頭で言葉を反芻し、だんだんと理解が追いついてきたのか、しばらくすると自分の足を見始める。
「え……? あ、え……?」
そして、ようやく言葉の意味を完全に理解したとき、一気に騒がしくなる。
「ひあっ! あ、え? ルーシャちゃん! どうしてこんなことをするんだい!? 有り得ない……。あの可愛いルーシャちゃんが……。もしかして……また偽物か!? おい! 本物のルーシャちゃんを返せよ! てか俺の足を返せよ! 人の足を盗って何が楽しいんだよ! 早く返せよ!」
こいつに恨みを持つのがソータだったら、その姿すら滑稽だと笑ったのだろうが、ルーシャはうるさくわめき散らすその姿を見て、不快だとしか思わなかった。
「黙ってろよ! クズッ!」
普段では絶対に使わないような汚い言葉で回復魔法使いに言い返しながら、今度は生体魔法で口を消す。
何も言えなくなった彼の目は、明らかに恐怖が刻まれていた。
しばらくして、未だ収まる様子のない喧騒の中、回復魔法使いの足が光り出す。
ようやく回復魔法を使うという発想に至ったのだろう。
かなりの魔力を注いだらしく、かなりの光を発している。
だが、これはただの回復魔法では元に戻せない。
そもそも回復魔法は、生命魔法に分類されることからも分かるとおり、生命を操って治るスピードを上げているだけだ。故に、治る傷でないと癒やすことはできない。
今回の場合、生体魔法によって根本から『存在』が書き換えられている為、同じく生体魔法で『存在』を元に戻さなければ、治療はできないのだ。
回復魔法が試されている間、喧騒はより勢いを増していく。
ようやく、人がたくさん集まってきたからだ。
ルーシャはその人達から、手際良く足を消していく。
そのまま転がされた村人達は、皆一様に怯えた目をしていた。
その中には、ソータをいじめた勇者の取り巻き達や、ルーシャの過去の友人達もいる。
彼らを見て二人は嗤う。自分達をいじめたやつらが、今度は足を消されて怯えながら転がっているのだ。滑稽と言う他ない。
「ルーシャ、そろそろ全員じゃないか?」
「少し待って……そうね、もう全員だわ」
ルーシャが生体魔法で周辺の生体反応を調べるが、この広場以外に反応はなかったらしい。
全員が自ら罠にハマりにくるなんてアホばかりだな。ソータはそう思いながら、復讐を次のステップに移す。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います
ゆさま
ファンタジー
ベテランオッサン冒険者が、美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされてしまった。生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれて……。
懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる