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4話 結婚相手を見つける姫
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「がっはっは~っ! 姉御っ、俺の負けだ! 完敗だ!!」
「あー、はいはい、わかったから、大人しくしてろっての」
自分に勝った相手だからなのか、「嬢ちゃん」から「姉御」に格上げされたようだな。
ってわけで、ぐちゃっとなったオウを、絶賛全竜全力治癒魔術中。
効率は悪ぃみてぇだが、膨大な竜の魔力なら「治癒」の魔術も、神聖術の癒手百人分ってとこか。
「なんか色々食み出してるからよ、『竜化』してくんねぇか」
人の死体は見たことあんが、ここまでぐちょぐちょなのは初めてだ。
臭いはまだ何とか我慢できっが、想像力って奴が勝手に仕事してくれやがってるのか、慣れが必要だ。動物や魔物は何度も捌いてきたってのに、人間の形してるってだけでこれだ。情けねぇったらありゃしねぇ。
「『人化』していたほうが、体が小さい分、治りが早いですからね。姫さまも手伝ってください」
「仕方がねぇなぁ。竜に比べりゃ微々たるもんだが、ねぇより増しか」
「ちょっ、待っ! 姉御……ごぎゃああああぁ~~っっ!!」
神聖術を使ったら、オウは陸に上がった魚みてぇにびくんびくんっしてんだが、これってあたしの所為なのか?
「どふ。神々は、竜種の敵でした。神聖力は、竜にとって毒と同じです」
「おびゃああああぁ~~っっ!!」
「それ、お嬢ちゃん。竜にとっては、半殺し、程度の傷じゃが、ぽっくり逝かれても困るでな、その辺にしておくのじゃ」
「体の半分以上が原形留めてねぇのに、これで半殺しなのか。『神竜大戦』じゃ酷ぇことになってたんだろうなぁ」
「こうなった時点で、あとは運に任せるしかありませんね。味方が戦っている間に自身で『治癒』。ですが大抵は、竜は『狂騒』に駆られているので、放っておかれて神々に止めを刺されてしまいます」
「神々の死に際ってのはどうなんだ?」
「良いのか悪いのか、あっさりしていますよ。小さな光の粒になって、空へと昇ってゆきます。神聖力、というか、神力を回収されると厄介なので、基本は光粒を焼却します」
「って、もう治ったんか、オウ?」
「んや、外側だけだな。中身はまだぐちょんぐちょんだ。二日くれぇは何も食えねぇなこりゃ」
あとは自分で治すのか、三竜がオウから離れる。オウ、って呼んだが問題ねぇみてぇだな。まあ、細かいこと気にするような性質じゃねぇんだろう。
ん~、オウとはちょっと喋り方が被んな。だからどうしたってこともねぇが。
「姫さま。『猫まんま』でも問題ないのでは?」
「にゃろう、人の頭ん中見るんじゃねぇ。でもなぁ、あんだけ、殺す! って息巻いちまったし……」
「殺すまでは生きているのですし、生きているのなら、楽しまないのは嘘です」
ぐっ、クロの奴、あたしを凹ませてぇのか?
珍しく積極的というか有意義というか、いや、誘惑のほうが合ってるか。
んー、あー、むー、……がーっ! ったく、クロに言われたままってのはムカつくが、自分の心には嘘がつけねぇっ!
猫どもっ! ここは竜がたくさんで怖ぇから、あたしにぴったりくっつきな!
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
何だか久しぶりねっ、にゃんこたちっ! 私の胸に飛び込んでらっしゃい!
「そういえば、アカンテもシロンも、私が猫を脱いでも気にしてなかったわね」
「ねぷっ! リップスさんはっ、脱皮してもリップスさんです!」
「お嬢ちゃんはお嬢ちゃんじゃからの。ふぉっふぉっふぉっ、クロッツェの言う、『猫まんま』の姫とやらも見てみたいがのぅ」
もう、二竜とも嬉しいこと言ってくれるわね。シロンの、「脱皮」というのはちょっとだけ引っ掛かるけど。
「猫万匹は、ーーそうね、もうちょっと勿体ぶっておこうかしら」
どうかしら、丁度いい猫の被りどころとかあればいいけど、青竜戦でやってみようかしら?
ととっ、まだ気持ちが昂ってるのか、青竜と戦うと決まったわけでもないのに、勇み足がすぎるわね。
「奈落は地下なのに、何で昼間のように明るいのかしら?」
気を落ち着けようと見回して、気になっていたことを尋ねる。
「ここぁ魔力溜まりって奴でな。魔力が濃いからよ、竜が、明るくなれ、って思っただけで、明るくなんような場所ってわけだな」
「あれだけバカスカ遣り合うことができたのも、奈落の魔力濃度のお陰です。地上では、自身の魔力しか使えませんので、もっと地味な戦いになっていたでしょう」
そうね、こんなこと言ったら「冥府」に堕とされそうだけど、地上だったらあんな楽しい戦いはできなかったわね。
「チャエンはもう、ブラフに気づいてるわよね?」
「おう! でもな、さすが姉御っ、やり手だ! クロっちの重てぇ球に潰されるまで、気づかなかったぜ! なんせ『天輪』も『古代文字』も最後まで何の効果もねぇ、見せ掛けだったしな」
ま、そういうことね。
「三大癒手」とか称えられている私だけど、それは人間の中では増し、というだけで、最高位神聖術なんて「至神」しか使えない術を使えるはずがない。
当然、あれは私じゃなくて、クロッツェがそれっぽいものを、再現、じゃないわね、偽装してくれたものよ。
ちょっと悪乗りしすぎたと、反省ーーはしてないわね。
やるときは徹底的に。本気なら、それを貫かないことが相手への失礼になる。クロッツェの言葉を一字一句思い出せるくらいに、指針としてきたもの。
「それでも私のことを、『姉御』と呼んでくれるのね」
「ん? 姉御は指揮官だったろ。よっぽどの馬鹿やらねぇ限り、手柄ぁ指揮官が持ってくもんだ」
うっ、そんな風に言われると擽ったいわね。気になってたことは他にもあるから、話を逸らすついでに聞いてみようかしら。
「クロッツェとシロンとチャエンは、三竜で戦ってたのよね? 『狂騒』の影響を受け難い幼竜は他にもいたでしょうに、ずっと三竜で戦ってたの?」
「『神竜大戦』が始まるまでは平和な時代でしたからね。次第に生まれる竜も減ってゆき、種族の危機とは縁遠いとあって、幼竜は二十竜ほどしかいませんでした。私たち以外の幼竜は、一言で言えば、牙が抜けたような幼竜でしたのでーー」
「ああ、無能な味方は有能な敵より恐ろしい、ということね」
「俺が前に出んのは、まぁ、性分なんだが。クロっちもシロっちも打撃って面じゃ温かったかんな、暴れんのが俺の役目だったってわけだな」
「ええ、実際、チャエンの武力がなければ、下級神は倒せませんでしたから。あともう一竜か二竜、赤竜か銀竜か、使えるのがいれば、もう少し楽だったのですが」
三竜以外の幼竜がどうなったのか。これは聞くまでもないわね。
中途半端に「狂騒」の影響を受けて、無駄死にとか犬死にとか、言葉は悪いけど早々に退場してしまった。
ーーあれ? 平和な時代に、幼竜が二十竜?
何かしら……、こうっ、もうちょっと、もう少しで、つながるっていうか……。
「ーー、……っ」
こうなったら、にゃんこたちっ、なんかそこら辺の「もゆもゆ」したよくわからないものを引っ張ってきてちょうだい!
なんて妄想してたら、やっぱりにゃんこは神の使徒なのかしら、あれだけ可愛いんですもの、神に愛されてたって不思議じゃないわ。
いえ、浸っている場合ではなくて。せっかくにゃんこが引っ張ってきてくれたんだから、しっかりつかんでおかないと。
そう、「五色の竜」よ。伝説、とまで言われている五竜。
竜の言い様から、「神竜大戦」で生き残った竜は、五竜で間違いない。そして、今も「五色の竜」なのよ。
そうなのよね、一竜も増えてないのよ。竜の感覚でも、「神竜大戦」から現代までは、それなりの期間だったはず。
五竜しか生存していないのだから、種族の危機に相当すると思うけど。
神々に勝利したことで、神々がいなくなったことで、そうした本能のようなものに縛られなくなったーー解放されたのかしら?
でも、それってーー。
「はっはーっ、次ぁアオっちだろ! 楽しみだぜ!!」
「四竜集まったことですし、それも一つの手段であるとは思うのですがーー」
「青竜に何かあるの、クロッツェ?」
思考を中断されちゃったけど、こちらも重要な話なので尋ねることにする。
「いえ、私はアオポンに会ったことがないのです。アオポンは『神竜大戦』に参戦しなかった、数少ない竜の一竜で、最後まで戦わずに生き残りました」
アオ…ポン?
いえいえ、人の、ではなくて、竜の、「人化」した際の名前を笑ったらいけないわ。竜も特に気にしてないようだし、ーーでも、名前はともかく、一風変わった竜だというのは確かなようね。
「戦うのが大嫌いとかかしら?」
三竜が会ったことがないのであればーーということで、アカンテを見る。
「『神竜大戦』のあとに、会ったことはないの。『神竜大戦』の前は、ーー見えたことがあったやもしれぬが、あの頃は竜がたくさんおったで、記憶にはないのぅ」
「なふ。僕もアオポンさんがどこにいるか知りません」
「……どこにいるのかもわからないの? 青竜ーーアオスメルニルフといえば、『五色の竜』の長とか思われてるのよね。『流転の門番』とか呼ばれて、『老い』や『季節』の象徴ーーだったかしら」
「わからんのぅ。わしらとの接触を嫌って、別の大陸にでも渡っておるのやもしれんな」
「どうします、姫さま。四竜で満足して、聖王国に向かいますか?」
それはそれで癪ね。
五竜で、と決めたんだから、初志貫徹よ! と言いたいところだけど、竜との旅が楽しいから、ずっと続けていたい、というのが本当のところなのよね。
でも、別の大陸となるとーー。
不味いわ。心臓が跳ねた。
竜の翼なら一っ飛びーーというわけにはいかないだろうけど、海流の影響で船旅二か月と言われてるから、一週間は掛からないかしら。
「なんだクロっち、気づいてねぇのか?」
「どきどき」が、「ぎとぎと」になってしまいそうなくらい未知の冒険物語に胸をときめかせていると、チャエンの呆れた声で現実に引き戻される。
「気づいていない、とは、何のことでしょうか?」
「俺ぁ、土とか大地とかと相性がいいかんな、こうやって地面に手ぇ突くとーー」
チャエンは手のひらを、戦闘後の土が剥き出しになった地面に触れさせると、横を向いた。
その方角はーー西?
シロンとアカンテと、北に行って。それからチャエンのいる東方に来たんだから。中央か西方、ということになるのかしら。
「地面に竜が触れてりゃ居場所がわかる。てぇか、ほんとにクロっち、気づいてなかったってぇのか?」
「ーーーー」
謎掛け、なのかどうか、クロッツェが考え込む。
「そーいや、姉御は王城にいたんか?」
「ええ、本来なら王宮か、お屋敷をもらってそこに住むのが通例なんだけど。『薔薇の姫』の人気が凄くて、危険だから王城に居室が与えられていたのよ」
「王城には、『五竜将』の一人と五色軍が常駐することになっていたので。不便、よりも安全が重視されていました」
そう、城は防衛のためにあるもので、居住性なんてものは二の次なのよ。
まだ幼い頃、クロッツェがいるから大丈夫ーーなんて頑是ないお願いをしちゃったこともあるんだけど、父さんも兄さんも首を縦に振らなかった。
「アオっちは、その王城の地下にいんぞ」
「……は?」
「さあ、姫さま。全竜でアオポンを狩りにゆきましょう」
クロッツェは、晴れやかな笑顔で私の手を取って引っ張る。
「せいっ!」
突き上げるように、後頭部に掌打を食らわせてやる。
「はぴ」
またぞろ、ふざけた声を上げながら、ばたんっ、と棒のようになって倒れる。
「凄いわね。それだけ近くにいながら、クロッツェに気取らせないなんて。ーーそれだけ強いってこと?」
「どう…なのじゃろうなぁ。わしは長の候補の選定をしておったでな、わしより強い竜がおれば、当然有力な候補となったわけじゃが、アオポンは引っ掛からなかったの」
「やふ。青竜は、魔力の流れの制御が得意な竜でした。アオポンさんも、そうなのかもしれません」
「ま、どっちにしろ、手間が省けて助かるわ。クロッツェじゃないけど、自分が住んでた場所の下にいたなんてーー、挨拶に伺わなくちゃいけないわね」
「よっしゃーっ! 姉御っ! まずは俺だ!! 俺一竜でやらせろっ!!」
「はいはい、わかったから。ちゃんとそれまでに体を治してね」
ちょっと騒がしいので、神聖力を注いで大人しくさせようとしたところで、重要なことを思い出した。
そうよっ、何で忘れてたのかしら! これは是非にも確認しないと!
「チャエン! 女になって!」
「あん? 女性体にか? 構わねぇよ」
立ち上がったチャエンは、シロンのときと同様に、あっさりと女性体になる。
「おー、まさに女戦士って感じね。でも、筋肉はちょっと減ったかしら。女としての魅力もちゃんとあるわね。ーーまあ、それはいいんだけど、そろそろ服を着てくれないかしら」
チャエンは全裸なので、誰か服を持っていないかと見回す。
見回したのには、別の理由もあって、竜の反応を確認してみたのよ。チャエンが男性体のときも女性体のときも、別段変化は見られなかった。
男でも女にでもなれるとなると、竜はどこを、何を魅力的なものとして感じるのかしら。
「チャエンは男性体に戻っていいわよ」
「姉御は男のほーが好きなんか? まぁ、俺も男の姿のほーが気に入ってる。筋肉は嘘吐かねぇからな」
「変な聞き方しないでよ。単純に好みの問題。一緒に旅するなら、そういうのは重要でしょ!」
不思議と女性体のほうが暑苦しさが上だった。
同姓であることと、あとは女戦士なんて見慣れてない所為なのかしら、チャエンの性格には男性体のほうがぴったりな感じがするのよね。
服は持っていたのか、チャエンは奈落の壁沿いから魔術で引き寄せる。
動き易そうな、農民というより農奴みたいな格好ね。こうして見ると、お姫さまのシロン、使用人のクロッツェ、下働きのチャエン、そしてーー。
「アカンテは女性体にならなくてもいいわ」
「まあのぅ、この歳になれば、男も女もあまり変わらんからの」
「というか、アカンテは女性体になれるのですか? 『性王』としての性質が沁み込みすぎて、男性体でないとしっくりこないのでは?」
「やめるのじゃっ、やめるのじゃっ」
「竜化」してたときと違って、「人化」はほんと、ぷるぷるね。
老竜の姿は、威厳たっぷりだったのに、老人の姿では、どうしてこんなことになっちゃってるのかしらね。
「それでは、話が纏まったところで、早々にアオポン退治に向かいましょう。大丈夫です。この度も私が皆さまを乗せて全力で向かいます」
「いいわよ、ゆっくりで。チャエンが全快しない内に着いちゃうと、治ってない状態で特攻しちゃうでしょ。それよりもクロッツェは、私たちの行動を察知したアオポンが、塒から移動しないような策を練ってちょうだいーーって、こらこら、聞いてるの、クロッツェ?」
「どうしました、姫さま? アカンテを引き摺ってきてください」
シロンとチャエンを荷物のように抱えた傅役が振り返る。いえ、もう傅役という呼び名もおかしいわね。
今は、旅の仲間……というのもしっくりこないわね。
まあ、いいわ、クロッツェはクロッツェだもの、そこら辺は気の向くままに適当でいいのよ。
「アカンテ。負んぶしていく?」
「ふぉっふぉっふぉっ、では、頼むとするかのぅ」
うっ、冗談で言ったのに、これじゃ断れないじゃないの。
でもまあ、こういうのも悪くないかしら。幸い、私は見た目に反して体力も力もあるし、アカンテもリンネのことを思い出すのかもね。
「リンネはのぅ、クロッツェのようにな、わしを荷物のように運ぶんじゃ。一度くらい、こうして大事に運んで欲しかったのじゃ」
それはリンネの照れ隠しじゃないかしら?
いえ、アカンテが気づいてないはずがないわね。案外、荷物のように運んだほうが、懐かしがってくれるのかしら?
「チャエン戦で頑張ってくれたし、出口までは長い道程だけど、最後まで遣り切ってやるわ」
老竜であるし、「竜化」しての戦いは負担になったのかもしれない。それを見せるアカンテじゃないから、ーーあれ? だからクロッツェは、アカンテだけを運ばずに残していったのかしら?
「あら、軽いわね。ちゃんと食べてるの?」
「基本は竜によってるでな。『人化』した状態では、いくら食べても太れんのだ」
それはまた。私と違って運動してない女性からしたら、羨ましい話でしょうね。
運動してないというのは、裕福な女性という意味ね。特に貴族の。市井人は、太れるだけ食べるなんて無理だもの。ミースも細かったし、子供たちにも、もっと栄養のあるものをたくさん食べさせてあげたかったーー。
ひょいっ。
「やめるのじゃっ、やめるのじゃっ」
物思いに耽っていると、背中が軽くなった。
「アカンテを背負っていたら、遅くなってしまいます。姫さま、さっさと行きますよ」
シロンがクロッツェの背中に移動したので、荷物のように抱えられて、じたばたしてるアカンテ。
クロッツェは、仲間に対する慈悲というものがないのかしら。
ああ、でも、そうだったわね。「五色の竜」の中でクロッツェが一番好きなのは、クロッツェだったもの。
ここのところ協力的だから忘れてたけど、そうね、クロッツェはこういうやつだったわ。
自分の楽しみが最優先。傍若無人というか生粋の人でなしーーああ、人じゃなくて竜だったわね。竜でなし、というのも、ちょっとしっくりこないわね。
「ーーっ」
どうしたのかしら。追いかけていく私の顔が笑みの形を作ってるけど、きっと勘違いね。
駆け出した私は、足取りも軽やかに、四竜を追い越していったのだった。
「あー、はいはい、わかったから、大人しくしてろっての」
自分に勝った相手だからなのか、「嬢ちゃん」から「姉御」に格上げされたようだな。
ってわけで、ぐちゃっとなったオウを、絶賛全竜全力治癒魔術中。
効率は悪ぃみてぇだが、膨大な竜の魔力なら「治癒」の魔術も、神聖術の癒手百人分ってとこか。
「なんか色々食み出してるからよ、『竜化』してくんねぇか」
人の死体は見たことあんが、ここまでぐちょぐちょなのは初めてだ。
臭いはまだ何とか我慢できっが、想像力って奴が勝手に仕事してくれやがってるのか、慣れが必要だ。動物や魔物は何度も捌いてきたってのに、人間の形してるってだけでこれだ。情けねぇったらありゃしねぇ。
「『人化』していたほうが、体が小さい分、治りが早いですからね。姫さまも手伝ってください」
「仕方がねぇなぁ。竜に比べりゃ微々たるもんだが、ねぇより増しか」
「ちょっ、待っ! 姉御……ごぎゃああああぁ~~っっ!!」
神聖術を使ったら、オウは陸に上がった魚みてぇにびくんびくんっしてんだが、これってあたしの所為なのか?
「どふ。神々は、竜種の敵でした。神聖力は、竜にとって毒と同じです」
「おびゃああああぁ~~っっ!!」
「それ、お嬢ちゃん。竜にとっては、半殺し、程度の傷じゃが、ぽっくり逝かれても困るでな、その辺にしておくのじゃ」
「体の半分以上が原形留めてねぇのに、これで半殺しなのか。『神竜大戦』じゃ酷ぇことになってたんだろうなぁ」
「こうなった時点で、あとは運に任せるしかありませんね。味方が戦っている間に自身で『治癒』。ですが大抵は、竜は『狂騒』に駆られているので、放っておかれて神々に止めを刺されてしまいます」
「神々の死に際ってのはどうなんだ?」
「良いのか悪いのか、あっさりしていますよ。小さな光の粒になって、空へと昇ってゆきます。神聖力、というか、神力を回収されると厄介なので、基本は光粒を焼却します」
「って、もう治ったんか、オウ?」
「んや、外側だけだな。中身はまだぐちょんぐちょんだ。二日くれぇは何も食えねぇなこりゃ」
あとは自分で治すのか、三竜がオウから離れる。オウ、って呼んだが問題ねぇみてぇだな。まあ、細かいこと気にするような性質じゃねぇんだろう。
ん~、オウとはちょっと喋り方が被んな。だからどうしたってこともねぇが。
「姫さま。『猫まんま』でも問題ないのでは?」
「にゃろう、人の頭ん中見るんじゃねぇ。でもなぁ、あんだけ、殺す! って息巻いちまったし……」
「殺すまでは生きているのですし、生きているのなら、楽しまないのは嘘です」
ぐっ、クロの奴、あたしを凹ませてぇのか?
珍しく積極的というか有意義というか、いや、誘惑のほうが合ってるか。
んー、あー、むー、……がーっ! ったく、クロに言われたままってのはムカつくが、自分の心には嘘がつけねぇっ!
猫どもっ! ここは竜がたくさんで怖ぇから、あたしにぴったりくっつきな!
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
にゃー。にゃ~。
何だか久しぶりねっ、にゃんこたちっ! 私の胸に飛び込んでらっしゃい!
「そういえば、アカンテもシロンも、私が猫を脱いでも気にしてなかったわね」
「ねぷっ! リップスさんはっ、脱皮してもリップスさんです!」
「お嬢ちゃんはお嬢ちゃんじゃからの。ふぉっふぉっふぉっ、クロッツェの言う、『猫まんま』の姫とやらも見てみたいがのぅ」
もう、二竜とも嬉しいこと言ってくれるわね。シロンの、「脱皮」というのはちょっとだけ引っ掛かるけど。
「猫万匹は、ーーそうね、もうちょっと勿体ぶっておこうかしら」
どうかしら、丁度いい猫の被りどころとかあればいいけど、青竜戦でやってみようかしら?
ととっ、まだ気持ちが昂ってるのか、青竜と戦うと決まったわけでもないのに、勇み足がすぎるわね。
「奈落は地下なのに、何で昼間のように明るいのかしら?」
気を落ち着けようと見回して、気になっていたことを尋ねる。
「ここぁ魔力溜まりって奴でな。魔力が濃いからよ、竜が、明るくなれ、って思っただけで、明るくなんような場所ってわけだな」
「あれだけバカスカ遣り合うことができたのも、奈落の魔力濃度のお陰です。地上では、自身の魔力しか使えませんので、もっと地味な戦いになっていたでしょう」
そうね、こんなこと言ったら「冥府」に堕とされそうだけど、地上だったらあんな楽しい戦いはできなかったわね。
「チャエンはもう、ブラフに気づいてるわよね?」
「おう! でもな、さすが姉御っ、やり手だ! クロっちの重てぇ球に潰されるまで、気づかなかったぜ! なんせ『天輪』も『古代文字』も最後まで何の効果もねぇ、見せ掛けだったしな」
ま、そういうことね。
「三大癒手」とか称えられている私だけど、それは人間の中では増し、というだけで、最高位神聖術なんて「至神」しか使えない術を使えるはずがない。
当然、あれは私じゃなくて、クロッツェがそれっぽいものを、再現、じゃないわね、偽装してくれたものよ。
ちょっと悪乗りしすぎたと、反省ーーはしてないわね。
やるときは徹底的に。本気なら、それを貫かないことが相手への失礼になる。クロッツェの言葉を一字一句思い出せるくらいに、指針としてきたもの。
「それでも私のことを、『姉御』と呼んでくれるのね」
「ん? 姉御は指揮官だったろ。よっぽどの馬鹿やらねぇ限り、手柄ぁ指揮官が持ってくもんだ」
うっ、そんな風に言われると擽ったいわね。気になってたことは他にもあるから、話を逸らすついでに聞いてみようかしら。
「クロッツェとシロンとチャエンは、三竜で戦ってたのよね? 『狂騒』の影響を受け難い幼竜は他にもいたでしょうに、ずっと三竜で戦ってたの?」
「『神竜大戦』が始まるまでは平和な時代でしたからね。次第に生まれる竜も減ってゆき、種族の危機とは縁遠いとあって、幼竜は二十竜ほどしかいませんでした。私たち以外の幼竜は、一言で言えば、牙が抜けたような幼竜でしたのでーー」
「ああ、無能な味方は有能な敵より恐ろしい、ということね」
「俺が前に出んのは、まぁ、性分なんだが。クロっちもシロっちも打撃って面じゃ温かったかんな、暴れんのが俺の役目だったってわけだな」
「ええ、実際、チャエンの武力がなければ、下級神は倒せませんでしたから。あともう一竜か二竜、赤竜か銀竜か、使えるのがいれば、もう少し楽だったのですが」
三竜以外の幼竜がどうなったのか。これは聞くまでもないわね。
中途半端に「狂騒」の影響を受けて、無駄死にとか犬死にとか、言葉は悪いけど早々に退場してしまった。
ーーあれ? 平和な時代に、幼竜が二十竜?
何かしら……、こうっ、もうちょっと、もう少しで、つながるっていうか……。
「ーー、……っ」
こうなったら、にゃんこたちっ、なんかそこら辺の「もゆもゆ」したよくわからないものを引っ張ってきてちょうだい!
なんて妄想してたら、やっぱりにゃんこは神の使徒なのかしら、あれだけ可愛いんですもの、神に愛されてたって不思議じゃないわ。
いえ、浸っている場合ではなくて。せっかくにゃんこが引っ張ってきてくれたんだから、しっかりつかんでおかないと。
そう、「五色の竜」よ。伝説、とまで言われている五竜。
竜の言い様から、「神竜大戦」で生き残った竜は、五竜で間違いない。そして、今も「五色の竜」なのよ。
そうなのよね、一竜も増えてないのよ。竜の感覚でも、「神竜大戦」から現代までは、それなりの期間だったはず。
五竜しか生存していないのだから、種族の危機に相当すると思うけど。
神々に勝利したことで、神々がいなくなったことで、そうした本能のようなものに縛られなくなったーー解放されたのかしら?
でも、それってーー。
「はっはーっ、次ぁアオっちだろ! 楽しみだぜ!!」
「四竜集まったことですし、それも一つの手段であるとは思うのですがーー」
「青竜に何かあるの、クロッツェ?」
思考を中断されちゃったけど、こちらも重要な話なので尋ねることにする。
「いえ、私はアオポンに会ったことがないのです。アオポンは『神竜大戦』に参戦しなかった、数少ない竜の一竜で、最後まで戦わずに生き残りました」
アオ…ポン?
いえいえ、人の、ではなくて、竜の、「人化」した際の名前を笑ったらいけないわ。竜も特に気にしてないようだし、ーーでも、名前はともかく、一風変わった竜だというのは確かなようね。
「戦うのが大嫌いとかかしら?」
三竜が会ったことがないのであればーーということで、アカンテを見る。
「『神竜大戦』のあとに、会ったことはないの。『神竜大戦』の前は、ーー見えたことがあったやもしれぬが、あの頃は竜がたくさんおったで、記憶にはないのぅ」
「なふ。僕もアオポンさんがどこにいるか知りません」
「……どこにいるのかもわからないの? 青竜ーーアオスメルニルフといえば、『五色の竜』の長とか思われてるのよね。『流転の門番』とか呼ばれて、『老い』や『季節』の象徴ーーだったかしら」
「わからんのぅ。わしらとの接触を嫌って、別の大陸にでも渡っておるのやもしれんな」
「どうします、姫さま。四竜で満足して、聖王国に向かいますか?」
それはそれで癪ね。
五竜で、と決めたんだから、初志貫徹よ! と言いたいところだけど、竜との旅が楽しいから、ずっと続けていたい、というのが本当のところなのよね。
でも、別の大陸となるとーー。
不味いわ。心臓が跳ねた。
竜の翼なら一っ飛びーーというわけにはいかないだろうけど、海流の影響で船旅二か月と言われてるから、一週間は掛からないかしら。
「なんだクロっち、気づいてねぇのか?」
「どきどき」が、「ぎとぎと」になってしまいそうなくらい未知の冒険物語に胸をときめかせていると、チャエンの呆れた声で現実に引き戻される。
「気づいていない、とは、何のことでしょうか?」
「俺ぁ、土とか大地とかと相性がいいかんな、こうやって地面に手ぇ突くとーー」
チャエンは手のひらを、戦闘後の土が剥き出しになった地面に触れさせると、横を向いた。
その方角はーー西?
シロンとアカンテと、北に行って。それからチャエンのいる東方に来たんだから。中央か西方、ということになるのかしら。
「地面に竜が触れてりゃ居場所がわかる。てぇか、ほんとにクロっち、気づいてなかったってぇのか?」
「ーーーー」
謎掛け、なのかどうか、クロッツェが考え込む。
「そーいや、姉御は王城にいたんか?」
「ええ、本来なら王宮か、お屋敷をもらってそこに住むのが通例なんだけど。『薔薇の姫』の人気が凄くて、危険だから王城に居室が与えられていたのよ」
「王城には、『五竜将』の一人と五色軍が常駐することになっていたので。不便、よりも安全が重視されていました」
そう、城は防衛のためにあるもので、居住性なんてものは二の次なのよ。
まだ幼い頃、クロッツェがいるから大丈夫ーーなんて頑是ないお願いをしちゃったこともあるんだけど、父さんも兄さんも首を縦に振らなかった。
「アオっちは、その王城の地下にいんぞ」
「……は?」
「さあ、姫さま。全竜でアオポンを狩りにゆきましょう」
クロッツェは、晴れやかな笑顔で私の手を取って引っ張る。
「せいっ!」
突き上げるように、後頭部に掌打を食らわせてやる。
「はぴ」
またぞろ、ふざけた声を上げながら、ばたんっ、と棒のようになって倒れる。
「凄いわね。それだけ近くにいながら、クロッツェに気取らせないなんて。ーーそれだけ強いってこと?」
「どう…なのじゃろうなぁ。わしは長の候補の選定をしておったでな、わしより強い竜がおれば、当然有力な候補となったわけじゃが、アオポンは引っ掛からなかったの」
「やふ。青竜は、魔力の流れの制御が得意な竜でした。アオポンさんも、そうなのかもしれません」
「ま、どっちにしろ、手間が省けて助かるわ。クロッツェじゃないけど、自分が住んでた場所の下にいたなんてーー、挨拶に伺わなくちゃいけないわね」
「よっしゃーっ! 姉御っ! まずは俺だ!! 俺一竜でやらせろっ!!」
「はいはい、わかったから。ちゃんとそれまでに体を治してね」
ちょっと騒がしいので、神聖力を注いで大人しくさせようとしたところで、重要なことを思い出した。
そうよっ、何で忘れてたのかしら! これは是非にも確認しないと!
「チャエン! 女になって!」
「あん? 女性体にか? 構わねぇよ」
立ち上がったチャエンは、シロンのときと同様に、あっさりと女性体になる。
「おー、まさに女戦士って感じね。でも、筋肉はちょっと減ったかしら。女としての魅力もちゃんとあるわね。ーーまあ、それはいいんだけど、そろそろ服を着てくれないかしら」
チャエンは全裸なので、誰か服を持っていないかと見回す。
見回したのには、別の理由もあって、竜の反応を確認してみたのよ。チャエンが男性体のときも女性体のときも、別段変化は見られなかった。
男でも女にでもなれるとなると、竜はどこを、何を魅力的なものとして感じるのかしら。
「チャエンは男性体に戻っていいわよ」
「姉御は男のほーが好きなんか? まぁ、俺も男の姿のほーが気に入ってる。筋肉は嘘吐かねぇからな」
「変な聞き方しないでよ。単純に好みの問題。一緒に旅するなら、そういうのは重要でしょ!」
不思議と女性体のほうが暑苦しさが上だった。
同姓であることと、あとは女戦士なんて見慣れてない所為なのかしら、チャエンの性格には男性体のほうがぴったりな感じがするのよね。
服は持っていたのか、チャエンは奈落の壁沿いから魔術で引き寄せる。
動き易そうな、農民というより農奴みたいな格好ね。こうして見ると、お姫さまのシロン、使用人のクロッツェ、下働きのチャエン、そしてーー。
「アカンテは女性体にならなくてもいいわ」
「まあのぅ、この歳になれば、男も女もあまり変わらんからの」
「というか、アカンテは女性体になれるのですか? 『性王』としての性質が沁み込みすぎて、男性体でないとしっくりこないのでは?」
「やめるのじゃっ、やめるのじゃっ」
「竜化」してたときと違って、「人化」はほんと、ぷるぷるね。
老竜の姿は、威厳たっぷりだったのに、老人の姿では、どうしてこんなことになっちゃってるのかしらね。
「それでは、話が纏まったところで、早々にアオポン退治に向かいましょう。大丈夫です。この度も私が皆さまを乗せて全力で向かいます」
「いいわよ、ゆっくりで。チャエンが全快しない内に着いちゃうと、治ってない状態で特攻しちゃうでしょ。それよりもクロッツェは、私たちの行動を察知したアオポンが、塒から移動しないような策を練ってちょうだいーーって、こらこら、聞いてるの、クロッツェ?」
「どうしました、姫さま? アカンテを引き摺ってきてください」
シロンとチャエンを荷物のように抱えた傅役が振り返る。いえ、もう傅役という呼び名もおかしいわね。
今は、旅の仲間……というのもしっくりこないわね。
まあ、いいわ、クロッツェはクロッツェだもの、そこら辺は気の向くままに適当でいいのよ。
「アカンテ。負んぶしていく?」
「ふぉっふぉっふぉっ、では、頼むとするかのぅ」
うっ、冗談で言ったのに、これじゃ断れないじゃないの。
でもまあ、こういうのも悪くないかしら。幸い、私は見た目に反して体力も力もあるし、アカンテもリンネのことを思い出すのかもね。
「リンネはのぅ、クロッツェのようにな、わしを荷物のように運ぶんじゃ。一度くらい、こうして大事に運んで欲しかったのじゃ」
それはリンネの照れ隠しじゃないかしら?
いえ、アカンテが気づいてないはずがないわね。案外、荷物のように運んだほうが、懐かしがってくれるのかしら?
「チャエン戦で頑張ってくれたし、出口までは長い道程だけど、最後まで遣り切ってやるわ」
老竜であるし、「竜化」しての戦いは負担になったのかもしれない。それを見せるアカンテじゃないから、ーーあれ? だからクロッツェは、アカンテだけを運ばずに残していったのかしら?
「あら、軽いわね。ちゃんと食べてるの?」
「基本は竜によってるでな。『人化』した状態では、いくら食べても太れんのだ」
それはまた。私と違って運動してない女性からしたら、羨ましい話でしょうね。
運動してないというのは、裕福な女性という意味ね。特に貴族の。市井人は、太れるだけ食べるなんて無理だもの。ミースも細かったし、子供たちにも、もっと栄養のあるものをたくさん食べさせてあげたかったーー。
ひょいっ。
「やめるのじゃっ、やめるのじゃっ」
物思いに耽っていると、背中が軽くなった。
「アカンテを背負っていたら、遅くなってしまいます。姫さま、さっさと行きますよ」
シロンがクロッツェの背中に移動したので、荷物のように抱えられて、じたばたしてるアカンテ。
クロッツェは、仲間に対する慈悲というものがないのかしら。
ああ、でも、そうだったわね。「五色の竜」の中でクロッツェが一番好きなのは、クロッツェだったもの。
ここのところ協力的だから忘れてたけど、そうね、クロッツェはこういうやつだったわ。
自分の楽しみが最優先。傍若無人というか生粋の人でなしーーああ、人じゃなくて竜だったわね。竜でなし、というのも、ちょっとしっくりこないわね。
「ーーっ」
どうしたのかしら。追いかけていく私の顔が笑みの形を作ってるけど、きっと勘違いね。
駆け出した私は、足取りも軽やかに、四竜を追い越していったのだった。
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