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第16話 姫様の安眠

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そんなこんなで、

バジリスク将軍はフィーの嗅覚を信用していた。

合わせて、侍女たち態度を不審に思ったバジリスク将軍は、

ミルク粥を控えていた部下に渡して、

医師に分析してもらうように命令した。

部下がミルク粥を持って飛び出すのを見届けてから、

バジリスク将軍は青ざめて震えている侍女たちに、

隣の部屋にくるように言った。

侍女達も将軍もジュリアの寝室から出ていくと、

部屋はジュリアとフィーの二人だけになった。

「なにかしら?」

ジュリアは困惑して、

不安げにフィーにすがりついた。

「さぁ?

不味いミルク粥をひめさまに出したからおこられるのかな?」

フィーも粥が不味そうだった以外はよくはわからなかった。

とりあえず熱があるなら寝た方がいいんじゃないかとフィーがいい、

ジュリアは不安を募らせながらもフィーのいうことに従って寝ようとしたが、

中々眠れなかった。

「ひめさま、ねむれないならフィーがいっしょにねてあげるよ( ´_ゝ`)」

フィーはそういうと、

ジュリアのベッドに潜り込んで、

ジュリアの手を握ると

「ひめさま、おやすみなさい」

と言って寝始めた。

フィーは弟に安眠を邪魔されてばかりだったので、

非常に眠かったのだ。

それに前からジュリアのフカフカのベッドで一度寝てみたかったが、

いつもターニャや他の侍女に止められていた。

しかし今日はフィーの暴挙を止めるものはいなかった。

ジュリアはそんなフィーに呆れたが、

フィーの温もりを感じると、

フィーがいなくなってからずっと

よく眠れなかったこともあり、

不思議とすぐに眠りに落ちた。












しばらくぶりにジュリアとフィーがぐっすり眠って目覚めた時には、

侍女達がミルク粥に微量の毒薬を入れていたことが判明し、

城中大騒ぎになっていた。
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