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第28話 従者と白爺

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『白爺』とは白軍のマルコス将軍のことで、

マルコス将軍は50を過ぎていて、

真っ白な髪の毛と真っ白なひげがモジャモジャだったので、

フィーは『白爺』とか『モジャモジャジジイ』とか呼んでいた。

白軍の将軍のマルコスと、

フィーの父親のバジリスク将軍は、

昔から付き合いがあり、

仲がいいわけではないが、

仲が悪いわけでもなかった。

マルコス将軍は豪快でうるさい男で、

バジリスク将軍は冷静で寡黙な男だった。

バジリスク将軍のほうが大分年が下だったので

その関係は『扱いにくいわがままな父親』と、

『それに手を焼く息子』のような関係だった。

マルコス将軍はなぜか、

バジリスク将軍の娘のフィーを気に入り、

フィーを見かけると色々ちょっかいを出してきた。





「あの二人は精神年齢が同じなんじゃない?」


二人のくだらないイタズラの泥試合を見ながら、

ジュリアは言った。

マルコス将軍がフィーにちょっかいを出して、

フィーがそれに応戦するのが常だった。

マルコス将軍には子供がいなかったので、

姪のマリアを娘のように可愛がり、

溺愛していたので、

マリアがジュリア付きになったときは、

ものすごく喜び、

ジュリアに『マリアをよろしく』と挨拶にきたときに、

ジュリア付のフィーにいきなり喜びのタックルをかましてきた。

フィーはお礼にマルコス将軍に特製爆竹をお見舞いして、

マルコス将軍の自慢の白髭が少し焦げてチリチリになったが、

マルコス将軍はマリアがジュリア付きになったよろこびのほうが優ったらしく、

ガハガハと笑って、

この頃まだ女の子らしく長かったフィーの黒髪をぐしゃぐしゃにした。

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