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第38話 従者と魔法

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そんなこんなでフィーの女子力は低下の一途をたどっていた。

フィーはジュリアがどんなドレスを着るかよりも、

ジュリアが沼色のドレスを着たら

社交界が沼色になるのかのほうに興味があった。






「フィー様はドレスに興味がないんですか?」

マリアは恨めしげな目をして、

フィーに聞いた。







「あんまりないね( ´_ゝ`)

でもマリア様がひめさまのドレスを作っているのを見るのは好きだよ( ´_ゝ`)

だってきれいだし、

魔法みたいだもの( ´_ゝ`)」

マリア様は魔法使いみたいだねとフィーが言うと、

マリアは思いがけず誉められて、

恥ずかしげにほほを染めた。







「フィー様……ありがとうございます。

フィー様もたまにはドレスを着てみてはいかがですか?

ジュリア様のドレスの参考にするのに、

いくつかサンプルのドレスを持ってきていますから。」

マリアはサンプルに持ってきていた子供用のドレスをフィーに見せた。

マリアはフィーにもドレスに興味をもってほしかった。





「えーー??( ´_ゝ`)??

べつにいいよ( ´_ゝ`)

どうせ似合わないし( ´_ゝ`)」






フィーは別にいじけているわけではなく、

客観的に自分を評価して言った。

フィーは可愛くないわけではないが、

顔はどちらかと言えば父親に似て、

男の子っぽかったし、

庭でよくあそぶせいか髪も肌も日に焼けていた。

目はいつも眠たそうだったし、

いつもだるそうにしていた。

とても女の子らしいフリフリのドレスが似合うとは思わなかったし、

そもそも着たいとも思わなかった。

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