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1章 開始までのあれこれ
女子会という名のお茶会
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「ねぇ、アン。お兄様が此方に先日いらしたのでしょう?」
可愛いと誰もが言う笑みを浮かべている友人、カロリーナ。
本日の茶会はミーシャと私をカロリーナがリブロン伯爵家に招待してくれている。その招待に応じたのはいいけれど、カロリーナの兄愛を見縊っていた。
ニコライさんはカロリーナを目に入れても痛くないと公言しているほどの妹愛だ。
我が家も仲はいいが、私はそこまで兄のことに干渉しない。だけれど、兄は私のことに干渉したがるから問題だ。
いま、目の前で笑みを浮かべている彼女の雰囲気というよりも無言の圧力を掛けてきているようにも思える。
誤魔化しても既にニコライさんから聞いているのだから無理だろう。それに、ミーシャは「えっ、略奪愛」と口に出すので大衆恋愛小説の読みすぎだ。
それに、私にはユーゴという立派な…婚約者がいるのだから、そういうことは言わないで欲しい。
「それで、お兄様は何故あなたの元へ?」
「そ、それは…」
言葉につまる。というよりも、正直にグラッチェでアルバイトをするからだと言えばいいのだが、兄やクリス殿下の反対を目の当たりにしているので、このふたりも反対するだろう。
だったら、険悪な雰囲気になってしまったあの話をすればいい―――
「ニコライさんは私に会いに来たのではなく、ケイに会いに来たのよ。ジェード殿下の近衛にならないかって」
「まあ、そうだったの。お兄様も言い方を変えればいいものを」
「ケイ様はクリストファー殿下の近衛だから無理でしょ。それにふたりは学園時代からの友人なのでしょ?」
「そうなのだけどね。ニコライさんが言うには、ケイの腕が立つからって。あと、短気なところとか、本能でしか動いてないところとか」
ニコライさんが帰り際に「じゃれたい」と言っていたことだけは黙っておこう。
きっと、カロリーナのことだから怒りながらニコライさんに突撃して、掌で転がされるだけだろう。
「それにしても、アンはケイ様に対して辛辣ね。最後の短期や本能はアンの意見でしょ」
ふふふふっと笑うミーシャは侯爵令嬢らしく上品に笑う。
ぷくりと頬を膨らませながら、「だって、本当のことなのに。信じてよ」と言ってみても、ふたりからすればケイは黒髪の騎士らしい。何でも、あの兄に守護して欲しい願望があるらしい。理由は騎士に守られるお姫様や令嬢との恋物語が好きだからだ。
私からすれば軍勤めの兄を持つためか、あまりそういう物語に憧れたりしない。むしろ、いつ命を落とすかわからない不安を抱えながら生きるのは、苦しいとさえ感じてしまう。
だったら、ユーゴみたいな王子様にずっとそばにいて欲しい。
ユーゴと自身を物語の王子と結ばれたる主人公と重ねてみると、何だか幸せな気分になる。
何て、単純な思考をしているのだろう。
「そうそう、ユーゴ様が少し前にジェーン・トロントと一緒にいるのをみたわ」
「私もみたわよ。しかも、仲良さげに腕を組んでいらしたわね」
腕を組んでいた!!それをサラッと言ってしまうカロリーナは、多分ニコライさんのことを根に持っている。説明しても、多分ウソを見抜いているはずだから。
「それに、本日はシルビア王女の公務に同行するみたいですよ」
ミーシャの家は代々王宮の行事等を取り仕切る家柄のため、公務のことを知っているようで、親切でいま教えてくれたのだろう。
だけれど、シルビア王女に同行しているとは知らなかった。
このふたりは私がシルビア王女を苦手としていること知らない。
だから、私は明るく努めなくてはいけない。
「もう、何でみんな私よりもユーゴのことを知っているのよ」
可愛いと誰もが言う笑みを浮かべている友人、カロリーナ。
本日の茶会はミーシャと私をカロリーナがリブロン伯爵家に招待してくれている。その招待に応じたのはいいけれど、カロリーナの兄愛を見縊っていた。
ニコライさんはカロリーナを目に入れても痛くないと公言しているほどの妹愛だ。
我が家も仲はいいが、私はそこまで兄のことに干渉しない。だけれど、兄は私のことに干渉したがるから問題だ。
いま、目の前で笑みを浮かべている彼女の雰囲気というよりも無言の圧力を掛けてきているようにも思える。
誤魔化しても既にニコライさんから聞いているのだから無理だろう。それに、ミーシャは「えっ、略奪愛」と口に出すので大衆恋愛小説の読みすぎだ。
それに、私にはユーゴという立派な…婚約者がいるのだから、そういうことは言わないで欲しい。
「それで、お兄様は何故あなたの元へ?」
「そ、それは…」
言葉につまる。というよりも、正直にグラッチェでアルバイトをするからだと言えばいいのだが、兄やクリス殿下の反対を目の当たりにしているので、このふたりも反対するだろう。
だったら、険悪な雰囲気になってしまったあの話をすればいい―――
「ニコライさんは私に会いに来たのではなく、ケイに会いに来たのよ。ジェード殿下の近衛にならないかって」
「まあ、そうだったの。お兄様も言い方を変えればいいものを」
「ケイ様はクリストファー殿下の近衛だから無理でしょ。それにふたりは学園時代からの友人なのでしょ?」
「そうなのだけどね。ニコライさんが言うには、ケイの腕が立つからって。あと、短気なところとか、本能でしか動いてないところとか」
ニコライさんが帰り際に「じゃれたい」と言っていたことだけは黙っておこう。
きっと、カロリーナのことだから怒りながらニコライさんに突撃して、掌で転がされるだけだろう。
「それにしても、アンはケイ様に対して辛辣ね。最後の短期や本能はアンの意見でしょ」
ふふふふっと笑うミーシャは侯爵令嬢らしく上品に笑う。
ぷくりと頬を膨らませながら、「だって、本当のことなのに。信じてよ」と言ってみても、ふたりからすればケイは黒髪の騎士らしい。何でも、あの兄に守護して欲しい願望があるらしい。理由は騎士に守られるお姫様や令嬢との恋物語が好きだからだ。
私からすれば軍勤めの兄を持つためか、あまりそういう物語に憧れたりしない。むしろ、いつ命を落とすかわからない不安を抱えながら生きるのは、苦しいとさえ感じてしまう。
だったら、ユーゴみたいな王子様にずっとそばにいて欲しい。
ユーゴと自身を物語の王子と結ばれたる主人公と重ねてみると、何だか幸せな気分になる。
何て、単純な思考をしているのだろう。
「そうそう、ユーゴ様が少し前にジェーン・トロントと一緒にいるのをみたわ」
「私もみたわよ。しかも、仲良さげに腕を組んでいらしたわね」
腕を組んでいた!!それをサラッと言ってしまうカロリーナは、多分ニコライさんのことを根に持っている。説明しても、多分ウソを見抜いているはずだから。
「それに、本日はシルビア王女の公務に同行するみたいですよ」
ミーシャの家は代々王宮の行事等を取り仕切る家柄のため、公務のことを知っているようで、親切でいま教えてくれたのだろう。
だけれど、シルビア王女に同行しているとは知らなかった。
このふたりは私がシルビア王女を苦手としていること知らない。
だから、私は明るく努めなくてはいけない。
「もう、何でみんな私よりもユーゴのことを知っているのよ」
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