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3章
淑女には、まだ遠いみたいです
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恥ずかしすぎて消えてしまいたい。
そう思いながら「私は食べ物じゃありません!」と、主張すれば先程までの攻撃対象であった兄が笑いを堪えるつもりもなく「バカだな」と、言いながら此方を見ている。
その言葉にムスッとなりながらも、ジェーン様の手を振りほどくこも出来ず、ユーゴの腕の中に大人しく収まったままの状態が続く。
「お子ちゃまには、まだ言葉の意味がわからないんだから、早く席に着いてろ」
「お子ちゃまって失礼です!!!私だってもうすぐ大人よ!!」
「大人はそうムキにならないんだよ」
売り言葉に買い言葉。
ここに、母がいたら怒られただろうが、兄が私を挑発するのが悪い。
「ふふふふ、本当に可愛らしい。私にも、こんな可愛い妹が欲しいわ。それに、もうすぐ開演になるから、私たちもそろそろ行きましょう」
そう言うと、兄にまた腕を絡ませながら「ごきげんよう」と去ってくので、嵐のような方だと思った。
離された手は、グラスだけを両手で持つという格好になってしまった。
給仕者が通りかかり、グラスを渡し、私たちも入場する。
本日は、ユーゴがいるため侯爵家の者が使える席に案内された。兄はいつも通りの伯爵家専用の席なので、少しだけ優越感に浸ってみる。
だが、やはり舞台に近いため他家からの視線もある。
委縮してしまう中ユーゴが「アンの姿はあまり見えないように、私が覆います。安心して、劇に集中してください」と、言って隣に座る。
ユーゴが盾になってくれると言っていたが、劇が始まれば皆そちらに集中するだろうに、と考えていると音楽が聞こえてきたので、舞台に集中することにした。
「花の妖精」の一部は、幼少期の出会いから婚約者が決められるまで。
二部では、密会を繰り返しながらお互いの愛を確かめ合う。
三部は、男が家族を説得し、女の家にも納得されるような者になり、婚約する。と、いうもので、休憩を含めて4時間の舞台だ。
休憩後に晒される視線に耐えながらも、最後まで見ることが出来た。
上演中に、ユーゴがずっと手を握っていてくれた。
心強いと思っていたが、場面によっては拍手を送りたい時に、片手だけでは送れないので離して欲しいと訴えるように見れば、熱烈な視線を向けていた。
その視線に耐えられずに、目を背け、品がないとわかっていたがヒールで足踏みをした。
下の席の方には、たいへん申し訳ないのだけれど、どうしてもユーゴが手を離してくれないのが原因だからと、言い訳をする。
終幕近くになり、やっと手を離して貰えたので最後の最後で盛大な拍手は送ることが出来た。
そして、上演が終ると王族からクリス様が、今後の公演に対しての助力を惜しまないことと、今回の公演の成功を健闘していた。
後ろにいた護衛は兄ではないところをみると、ジェーン様が次の婚約者になるのだろう。婚約者でもない女性と観劇に来るなど、誠意に欠けるような行いをしないと私は信じているからだ。
退場は、高位の者からになっていたので、侯爵家の番になり、そのまま退場した。兄とは顔を合わすこともなく、ハミルトン家の馬車に乗り込む。
劇の感想をユーゴに伝えると「満足してくれたみたいで、嬉しいよ。また、観劇に行こう」と、誘ってくれたので素直に頷いた。
それに気をよくしたのか、ハミルトン家にいまから顔を出さないかと提案される。
隣にいるミーナを見れば頷いているので、大人しくお呼ばれすることにした。
私の返事を待たずして、馬車が向かっているのがハミルトン家だと気付いたのは、屋敷に向かう景色とは違うというところだった。
最初からユーゴは決めていたのだろう。
私をハミルトン家の晩餐に招き入れることを。
そう思いながら「私は食べ物じゃありません!」と、主張すれば先程までの攻撃対象であった兄が笑いを堪えるつもりもなく「バカだな」と、言いながら此方を見ている。
その言葉にムスッとなりながらも、ジェーン様の手を振りほどくこも出来ず、ユーゴの腕の中に大人しく収まったままの状態が続く。
「お子ちゃまには、まだ言葉の意味がわからないんだから、早く席に着いてろ」
「お子ちゃまって失礼です!!!私だってもうすぐ大人よ!!」
「大人はそうムキにならないんだよ」
売り言葉に買い言葉。
ここに、母がいたら怒られただろうが、兄が私を挑発するのが悪い。
「ふふふふ、本当に可愛らしい。私にも、こんな可愛い妹が欲しいわ。それに、もうすぐ開演になるから、私たちもそろそろ行きましょう」
そう言うと、兄にまた腕を絡ませながら「ごきげんよう」と去ってくので、嵐のような方だと思った。
離された手は、グラスだけを両手で持つという格好になってしまった。
給仕者が通りかかり、グラスを渡し、私たちも入場する。
本日は、ユーゴがいるため侯爵家の者が使える席に案内された。兄はいつも通りの伯爵家専用の席なので、少しだけ優越感に浸ってみる。
だが、やはり舞台に近いため他家からの視線もある。
委縮してしまう中ユーゴが「アンの姿はあまり見えないように、私が覆います。安心して、劇に集中してください」と、言って隣に座る。
ユーゴが盾になってくれると言っていたが、劇が始まれば皆そちらに集中するだろうに、と考えていると音楽が聞こえてきたので、舞台に集中することにした。
「花の妖精」の一部は、幼少期の出会いから婚約者が決められるまで。
二部では、密会を繰り返しながらお互いの愛を確かめ合う。
三部は、男が家族を説得し、女の家にも納得されるような者になり、婚約する。と、いうもので、休憩を含めて4時間の舞台だ。
休憩後に晒される視線に耐えながらも、最後まで見ることが出来た。
上演中に、ユーゴがずっと手を握っていてくれた。
心強いと思っていたが、場面によっては拍手を送りたい時に、片手だけでは送れないので離して欲しいと訴えるように見れば、熱烈な視線を向けていた。
その視線に耐えられずに、目を背け、品がないとわかっていたがヒールで足踏みをした。
下の席の方には、たいへん申し訳ないのだけれど、どうしてもユーゴが手を離してくれないのが原因だからと、言い訳をする。
終幕近くになり、やっと手を離して貰えたので最後の最後で盛大な拍手は送ることが出来た。
そして、上演が終ると王族からクリス様が、今後の公演に対しての助力を惜しまないことと、今回の公演の成功を健闘していた。
後ろにいた護衛は兄ではないところをみると、ジェーン様が次の婚約者になるのだろう。婚約者でもない女性と観劇に来るなど、誠意に欠けるような行いをしないと私は信じているからだ。
退場は、高位の者からになっていたので、侯爵家の番になり、そのまま退場した。兄とは顔を合わすこともなく、ハミルトン家の馬車に乗り込む。
劇の感想をユーゴに伝えると「満足してくれたみたいで、嬉しいよ。また、観劇に行こう」と、誘ってくれたので素直に頷いた。
それに気をよくしたのか、ハミルトン家にいまから顔を出さないかと提案される。
隣にいるミーナを見れば頷いているので、大人しくお呼ばれすることにした。
私の返事を待たずして、馬車が向かっているのがハミルトン家だと気付いたのは、屋敷に向かう景色とは違うというところだった。
最初からユーゴは決めていたのだろう。
私をハミルトン家の晩餐に招き入れることを。
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