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10話
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「もう良かったのか?まだ話し足りなかっただろ。」
出迎えてくれた先輩はそう言って僕を心配してくれた。
「学校が始まればまた会えますし、何より先輩とお店見に行くの楽しみだったので!」
僕がそう言うと、先輩も照れ笑いをしている。
「そっか、なら行こうか。」
僕達2人は商店街を目指し、歩き始めた。
さっきまで照れていた先輩の手は相変わらず僕の頭の上にある。
ガシガシと撫でられているけど、やっぱり先輩の優しさもちらほらと見える。
「…シヴァン先輩、行きましょう!!」
「おーおー。これ好きだったもんな?ほれほれ。」
何か、気恥しい…。若干顔が熱いかも。
体格差もあるせいか、やっぱり先輩の掌だって大きい。
先輩が僕の頭を撫でる時、時折耳に当たる指とか、見上げると目を細めて笑う先輩の顔とか。
そんな考えが無粋だと言うように、僕は目を逸らした。
ゴロゴロゴロ……
「あ゛っ!」
(忘れてた!喉なっちゃうんだったよ…。先輩も聞こえて、、)
ボンッと音が鳴るんじゃないかってくらい、僕の顔は今真っ赤になっているだろう。
こんな顔してたらまた先輩に揶揄われるよ…。
先輩の様子を伺うように、そろっと顔をあげた。
「っ…」
一瞬、先輩の目がギラっと光った気がした。
その光景に僕は息を飲む。
目線は…僕の首の辺りだろうか。無意識に僕はそこを抑えていた。
二人の間には少しの間沈黙が流れた。
グッと先輩は押し黙ったかと思うと、すぐに口を開く。
「…あっ、あぁ!いや、なんでもないよ。ははっ、フレイ、耳まで真っ赤だな。」
「えっ!…これ先輩のせいですからね!もう…」
恥ずかしさを紛らわすかのように、先輩の先頭に立って歩く。
さっきの目線に、ドキドキする心臓が治まらない。
(あれ、なんだったんだろう。)
出会ってから、今の今まで先輩は凄く優しい先輩っていう印象だった。
でもさっき、一瞬だけ見えた先輩の…狂気?
(分からない…。でもさっき、先輩後輩から捕食者と被食者の関係みたいな。)
身震いするような感覚と同時に、謎の高揚感が僕を苛む。
(何か…やめようこの事を考えるの。多分考えても分かんないやつだ。)
確かに今まであの瞳を見た事が無いわけじゃない。
ただ、今まであのギラつく視線を向けてくるやつには大体不気味さや気色悪さ、後味の悪さを含んだ視線だった。
先輩は、なんだか違ったなぁ…。
ぼーっとそんなことを考えながら、ガヤガヤと人の声が聞こえる方へ足を向ける。
「フレイ、こっち。」
グッ、と僕の腰にシヴァン先輩の手が回った。
シヴァン先輩は僕が曲がろうとしていた道から、別の道に誘導してるれる。
耳元で呟かれたので、思わず肩をすくめてしまう。
正直、さっきまで先輩の事で頭がいっぱいだったせいで意識がぜんぶそちらへ向いてしまう。
「…ぁ、道間違っちゃいましたか?」
目の泳いでいる僕をお構い無しに先輩はまだ僕の腰に手を回している。
「そりゃそうだ笑。ここ初めてだろう?間違うのも無理ねぇよ。」
僕はもう諦めて、先輩の隣で歩くことにした。
商店街は結構近かったみたいで、すぐ着いてしまった。
別にさっきの時間が名残惜しかった訳でも無いけれど、、
「んー。やっぱり午後だからあまり品物は少ないな。フレイは何か見たいものあるか?」
「うーん…。」
売りきれたのだろうか?物売りは今日の商売を終え、後始末をしている。
「あぁほら、あっち側だと今から屋台が出るぞ。お腹すいてるか?」
「わぁ、屋台ですか!行ってみたいです!」
先輩が指を指した方向は、少し開けた広場のようになっていて、ぼんやりと灯りが着いていた。
まだ日が空にいるからあまり印象は薄いのだろうけど、暗くなれば灯篭だって綺麗なのだろう。
広場に入るとかなり賑やかな様子だった。
手短に良さそうな屋台を覗いていく。
「シヴァン先輩!あれ食べましょうよ!」
「ん、どれ…おぉ結構美味しそうだな。これ2つ。あとこっちも。」
屋台初心者の僕は先輩に注文をしてもらう。
(結局お金も払ってもらっちゃった。)
申し訳ない気持ちでいっぱいの僕はしょぼんとした顔で先輩から貰ったお肉を持っている。
「なんだ?まだ食べたいものでもあるのか?買いに行こうか。」
「えっ!いや、全然大丈夫です!こんだけ食べたらお腹いっぱいですよ。…シヴァン先輩今日はありがとうございます。」
「良いんだよ。こう言う時くらい先輩に甘えとかなきゃね?」
慰めてくれる先輩。優しさに涙が出そうだ。
先輩と一緒にベンチに座って買ってきたものを食べた。
たわい無い話をしながら、ご飯を食べて。
なんて事ないのかもしれないけれど、僕にとってその空間は欲しくても手が届かないようなものだ。
(この空間やそれをくれる先輩に、依存しちゃ…いけないな。)
久しぶりに感じる居心地の良い空間に、ほっとした気持ちで時間は過ぎていった。
「もう良かったのか?まだ話し足りなかっただろ。」
出迎えてくれた先輩はそう言って僕を心配してくれた。
「学校が始まればまた会えますし、何より先輩とお店見に行くの楽しみだったので!」
僕がそう言うと、先輩も照れ笑いをしている。
「そっか、なら行こうか。」
僕達2人は商店街を目指し、歩き始めた。
さっきまで照れていた先輩の手は相変わらず僕の頭の上にある。
ガシガシと撫でられているけど、やっぱり先輩の優しさもちらほらと見える。
「…シヴァン先輩、行きましょう!!」
「おーおー。これ好きだったもんな?ほれほれ。」
何か、気恥しい…。若干顔が熱いかも。
体格差もあるせいか、やっぱり先輩の掌だって大きい。
先輩が僕の頭を撫でる時、時折耳に当たる指とか、見上げると目を細めて笑う先輩の顔とか。
そんな考えが無粋だと言うように、僕は目を逸らした。
ゴロゴロゴロ……
「あ゛っ!」
(忘れてた!喉なっちゃうんだったよ…。先輩も聞こえて、、)
ボンッと音が鳴るんじゃないかってくらい、僕の顔は今真っ赤になっているだろう。
こんな顔してたらまた先輩に揶揄われるよ…。
先輩の様子を伺うように、そろっと顔をあげた。
「っ…」
一瞬、先輩の目がギラっと光った気がした。
その光景に僕は息を飲む。
目線は…僕の首の辺りだろうか。無意識に僕はそこを抑えていた。
二人の間には少しの間沈黙が流れた。
グッと先輩は押し黙ったかと思うと、すぐに口を開く。
「…あっ、あぁ!いや、なんでもないよ。ははっ、フレイ、耳まで真っ赤だな。」
「えっ!…これ先輩のせいですからね!もう…」
恥ずかしさを紛らわすかのように、先輩の先頭に立って歩く。
さっきの目線に、ドキドキする心臓が治まらない。
(あれ、なんだったんだろう。)
出会ってから、今の今まで先輩は凄く優しい先輩っていう印象だった。
でもさっき、一瞬だけ見えた先輩の…狂気?
(分からない…。でもさっき、先輩後輩から捕食者と被食者の関係みたいな。)
身震いするような感覚と同時に、謎の高揚感が僕を苛む。
(何か…やめようこの事を考えるの。多分考えても分かんないやつだ。)
確かに今まであの瞳を見た事が無いわけじゃない。
ただ、今まであのギラつく視線を向けてくるやつには大体不気味さや気色悪さ、後味の悪さを含んだ視線だった。
先輩は、なんだか違ったなぁ…。
ぼーっとそんなことを考えながら、ガヤガヤと人の声が聞こえる方へ足を向ける。
「フレイ、こっち。」
グッ、と僕の腰にシヴァン先輩の手が回った。
シヴァン先輩は僕が曲がろうとしていた道から、別の道に誘導してるれる。
耳元で呟かれたので、思わず肩をすくめてしまう。
正直、さっきまで先輩の事で頭がいっぱいだったせいで意識がぜんぶそちらへ向いてしまう。
「…ぁ、道間違っちゃいましたか?」
目の泳いでいる僕をお構い無しに先輩はまだ僕の腰に手を回している。
「そりゃそうだ笑。ここ初めてだろう?間違うのも無理ねぇよ。」
僕はもう諦めて、先輩の隣で歩くことにした。
商店街は結構近かったみたいで、すぐ着いてしまった。
別にさっきの時間が名残惜しかった訳でも無いけれど、、
「んー。やっぱり午後だからあまり品物は少ないな。フレイは何か見たいものあるか?」
「うーん…。」
売りきれたのだろうか?物売りは今日の商売を終え、後始末をしている。
「あぁほら、あっち側だと今から屋台が出るぞ。お腹すいてるか?」
「わぁ、屋台ですか!行ってみたいです!」
先輩が指を指した方向は、少し開けた広場のようになっていて、ぼんやりと灯りが着いていた。
まだ日が空にいるからあまり印象は薄いのだろうけど、暗くなれば灯篭だって綺麗なのだろう。
広場に入るとかなり賑やかな様子だった。
手短に良さそうな屋台を覗いていく。
「シヴァン先輩!あれ食べましょうよ!」
「ん、どれ…おぉ結構美味しそうだな。これ2つ。あとこっちも。」
屋台初心者の僕は先輩に注文をしてもらう。
(結局お金も払ってもらっちゃった。)
申し訳ない気持ちでいっぱいの僕はしょぼんとした顔で先輩から貰ったお肉を持っている。
「なんだ?まだ食べたいものでもあるのか?買いに行こうか。」
「えっ!いや、全然大丈夫です!こんだけ食べたらお腹いっぱいですよ。…シヴァン先輩今日はありがとうございます。」
「良いんだよ。こう言う時くらい先輩に甘えとかなきゃね?」
慰めてくれる先輩。優しさに涙が出そうだ。
先輩と一緒にベンチに座って買ってきたものを食べた。
たわい無い話をしながら、ご飯を食べて。
なんて事ないのかもしれないけれど、僕にとってその空間は欲しくても手が届かないようなものだ。
(この空間やそれをくれる先輩に、依存しちゃ…いけないな。)
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