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21話
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「じゃあ、また放課後でも。」
「はいっ!」
学年ごとに棟が別れる学舎は少し離れた場所にあり、僕たちは別れて行く事になる。
1人で1年棟に向かう僕は、寝不足気味でぼんやりと欠伸をした。
冷たい空気と日に照らされた暖かい空気が肺に入りその感覚に新鮮さを感じる。
エルディアの冬は短い。春はもうすぐそこまで来ていた。
「おはよ、今日も早いね。」
教室にいたハルラスに声をかけ、適当な席に座る。
「おはよー!…なんか隈ない?まぁいいや。それより今日の実習に上級生が来るらしいよ。」
「上級生?凄いね、教えて貰えるのかな。」
今日は座学で習った魔法などを実際に競技場で使う授業がある。
もしかしたら、シヴァン先輩とか来てくれたりするのかな…?
なんだか昨日から浮き足立っている僕は、杖を片手に教室を出た。
ーーー「はい、じゃあペア組めよー。」
人によっては恐怖を感じる代表格とも言えるこのセリフ。幸い僕にはハルラスがいたので一緒に組むことにした。
広い競技場内にポツンと集まる僕たちのクラスは、それぞれで集まりペアを作っていった。
ソワソワと皆も授業開始の合図を待っている。上の学年と交流する機会がまだなく、この日会うのが初めての先輩が殆どだ。
先生が1度辺りを見回し、口を開く。
「今日の実習は、5、6年の教育実習も兼ねて先輩達に来てもらうことにした。皆ちゃんと教えて貰えよー!」
「「「はーい」」」
僕はと言うと、シヴァン先輩は4年生なので来ないという事実を知り…ちょっとだけ落ち込んでいる。
返事が合図になったかのように、競技場の扉が開き、先輩達が続々とこちらに向かってきた。
「なっ、なんか…」
オーラが凄い。1年からはぽわーんとした空気しか感じないけれど、あちらからは明らかに別のパワーを感じる。これが上級生の力…。
神妙な面持ちで考える僕をよそに、先生は1年に上級生を振り分けていく。
主に女子には女子、男子には男子を付けているみたいだ。
僕達の方にも2人の先輩が来た。
「初めまして。私は6年ニール・カムダールです。魔法は使役をメインで使っています。今日はよろしくね。」
最初に話しかけてきた先輩はラテン系の美丈夫…な先輩で、凄く丁寧な人だった。
僕たちもかしこまって、つい背筋が伸びる。
「よ、よろしくお願いします!」
僕たちは伸ばされた手を握り握手を交わした。
順番が変わるように、次の先輩が挨拶をする。
「あー…5年の天鬼だ。主に炎を使ってる。よろしく」
そういいかけた瞬間、ニール先輩の肘打ちが飛んだ。
無言だが、明らかにお腹を抱えてニール先輩に抗議の目を送る天鬼先輩。
「ちょっと君、教育実習中なんだから何とかならないのかその態度。」
呆れたように呟く先輩に、調子を取り戻した先輩は食い下がる。
「いやいや、ニールさんも態度が変わりすぎじゃあないですか?そのうちボロが出ますよ。…じゃあ、そういう事で。今日はよろしくな。」
一悶着は終わったようだ。
僕たちからも自己紹介をし、その場には和気あいあいとした空気が流れた。
「はいっ!」
学年ごとに棟が別れる学舎は少し離れた場所にあり、僕たちは別れて行く事になる。
1人で1年棟に向かう僕は、寝不足気味でぼんやりと欠伸をした。
冷たい空気と日に照らされた暖かい空気が肺に入りその感覚に新鮮さを感じる。
エルディアの冬は短い。春はもうすぐそこまで来ていた。
「おはよ、今日も早いね。」
教室にいたハルラスに声をかけ、適当な席に座る。
「おはよー!…なんか隈ない?まぁいいや。それより今日の実習に上級生が来るらしいよ。」
「上級生?凄いね、教えて貰えるのかな。」
今日は座学で習った魔法などを実際に競技場で使う授業がある。
もしかしたら、シヴァン先輩とか来てくれたりするのかな…?
なんだか昨日から浮き足立っている僕は、杖を片手に教室を出た。
ーーー「はい、じゃあペア組めよー。」
人によっては恐怖を感じる代表格とも言えるこのセリフ。幸い僕にはハルラスがいたので一緒に組むことにした。
広い競技場内にポツンと集まる僕たちのクラスは、それぞれで集まりペアを作っていった。
ソワソワと皆も授業開始の合図を待っている。上の学年と交流する機会がまだなく、この日会うのが初めての先輩が殆どだ。
先生が1度辺りを見回し、口を開く。
「今日の実習は、5、6年の教育実習も兼ねて先輩達に来てもらうことにした。皆ちゃんと教えて貰えよー!」
「「「はーい」」」
僕はと言うと、シヴァン先輩は4年生なので来ないという事実を知り…ちょっとだけ落ち込んでいる。
返事が合図になったかのように、競技場の扉が開き、先輩達が続々とこちらに向かってきた。
「なっ、なんか…」
オーラが凄い。1年からはぽわーんとした空気しか感じないけれど、あちらからは明らかに別のパワーを感じる。これが上級生の力…。
神妙な面持ちで考える僕をよそに、先生は1年に上級生を振り分けていく。
主に女子には女子、男子には男子を付けているみたいだ。
僕達の方にも2人の先輩が来た。
「初めまして。私は6年ニール・カムダールです。魔法は使役をメインで使っています。今日はよろしくね。」
最初に話しかけてきた先輩はラテン系の美丈夫…な先輩で、凄く丁寧な人だった。
僕たちもかしこまって、つい背筋が伸びる。
「よ、よろしくお願いします!」
僕たちは伸ばされた手を握り握手を交わした。
順番が変わるように、次の先輩が挨拶をする。
「あー…5年の天鬼だ。主に炎を使ってる。よろしく」
そういいかけた瞬間、ニール先輩の肘打ちが飛んだ。
無言だが、明らかにお腹を抱えてニール先輩に抗議の目を送る天鬼先輩。
「ちょっと君、教育実習中なんだから何とかならないのかその態度。」
呆れたように呟く先輩に、調子を取り戻した先輩は食い下がる。
「いやいや、ニールさんも態度が変わりすぎじゃあないですか?そのうちボロが出ますよ。…じゃあ、そういう事で。今日はよろしくな。」
一悶着は終わったようだ。
僕たちからも自己紹介をし、その場には和気あいあいとした空気が流れた。
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