異界育ちの幻使い

yasunari311

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15話

激突の幕

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──模倣体へ跳んだその瞬間。

 アヤトは確かに、“間合いを詰めた”。
 狙いは明確。真似事などで再現できぬ、“本物の力”を叩き込むこと。

 だが──それは、あちらも想定済みだったらしい。

 模倣体がわずかに腕を振る。
 その動きに呼応するように、異形の群れが一斉に動き出した。

 地を這い、壁を駆け、空からも迫る。
 “模倣体”がまるで──「こいつを仕留めろ」と命じたかのように。

「チッ、そっちから来るかよ……!」

 アヤトは着地の瞬間、地面を蹴って横へ跳ぶ。
 だが、避けた先にも異形。脚を薙ぐ、爪を振るう、次々と攻撃が重なる。

 応戦しながらも、視線は決して逸らさない。あの“核”──模倣体を、だ。

 その時、左肩に衝撃が走った。

「──くっ!」

 異形の爪がかすめた。皮膚は裂けていないが、衝撃がじわりと体幹に響く。
 圧倒的な物量。幻装でいなしていても、疲労は着実に蓄積されていく。

(……まずいな。消耗させてくるつもりか)

 アヤトは状況を悟った。
 模倣体は前に出ない。群れを先に使い、こちらを削ってくる──それが狙いだ。

 そしてその指揮のもと、異形たちは“統率された軍”のように動いている。

 脅威は数ではない。“連携”だ。

「……はは。こっちの動き、ちゃんと見てやがる」

 皮肉を吐く余裕はあるが、内心は焦っていた。
 まともにやり合えば、確実にジリ貧になる。

(どう動く……どう潰す……!)

 模倣体の複眼が、不気味にうねった。
 まるで──「もっと削れ」とでも言っているかのように。

 アヤトは歯を食いしばり、血走った眼でその視線を睨み返す。

「……その顔、癪に障るぜ」

 力を込め、地を割るほどの踏み込み。
 再び、大群の中へと斬り込んだ。

 異形の群れへ再び斬り込んだアヤトは、迫り来る爪と牙を捌きながら、わずかに残る視界の端で模倣体の動きを見ていた。

 ──来ない。まだ、動かない。

 それどころか模倣体は微かに姿勢を低くし、地を蹴るタイミングを“見計らっている”ようにすら見えた。

(……狙ってやがる)

 アヤトの拳が異形の腹を砕き、肘が後方から迫る影の顎をへし折る。
 幻装の力は確かに鋭い。だが──数が異常だった。

「数だけじゃねぇ……動きが……連携してやがる……!」

 敵が個体としてではなく“編隊”として襲いかかってくる。
 その中を縫うように、模倣体の気配が──消えた。

「──っ!」

 遅れた。気づいた時には、模倣体がすでに真横にいた。
 外殻の脚が鋭く伸び、アヤトの膝を狙って振り抜かれる。

 衝撃。姿勢が崩れ、地面が迫った。

 反射的に転がって受け身を取る。だがすぐさま、背後から別の異形の爪が襲う。
 それもいなし、立て直す──が、数歩後退した。

 模倣体が静かに、だが確かに“嘲るように”立っていた。

「ヨワイ……マネモ……トドカナイ……」

 その声が、アヤトの胸をかすかに刺す。

「……あぁ、そうかい」

 皮肉に笑うが、呼吸が浅い。意識せずとも、肩で息をしていた。

 幻装はまだ健在。だが動きは確実に鈍っている。
 相手はそれを待っていた。群れで消耗させ、隙を突く──模倣体の戦術は、実に“人間臭い”。

(まるで、学習してるみたいだな……)

 そして、次の攻撃もまた読まれているだろう。

「──だったら、読めねぇ動きしてやるよ」

 アヤトの目が細くなる。わずかに重心を沈め、息を整える。
 幻装はすでに展開済み──だが、動きの“リズム”を変える。

 次の瞬間、彼は再び大地を蹴った。
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