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第1章 目覚め
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しおりを挟む王都の西の森に着いた俺は薬草を見つけるために目につく物に鑑定を行使していく。
木とか草とかなんの変哲もない情報だけが表示される。
鑑定を行使するとパソコンのウィンドウが目の前に表示されて、鑑定を行使した物の情報が表記される。
注視しなくなるとフッと消えるので便利ではあるが、表記される情報が簡素なものだった。
鑑定Lv1だからこうなのか、それとも元々こうなのか……。
森の中を進みつつ鑑定をしている内にお目当ての薬草が見つかった。
「蓬に似た感じなんだな……」
5株ある内の3株を採取して次を探す。
……ガサガサ
しばらく夢中で薬草を採取していたため、周囲の警戒を忘れていた俺は葉の擦れる音に驚いて振り返る。
鋭い角のある兎が飛び出てきた。
鑑定を使うと角兎の情報が出てきた。
ホーンラビット。
人を襲う魔獣に分類されていて、鋭い角で素早さを活かした突きが危険なようだ。
鑑定の情報に目を走らせている内にホーンラビットは後ろ足に力を貯めていた。
「おわっ!」
力強い跳躍と心臓への正確な軌道に左半身を後ろへ滑らせて間一髪で避ける。
そのまま森の中へ消えるかと期待をしたが、ホーンラビットは着地と同時に向きを変え俺へと向かってくる。
「避けられない速さじゃないから、っと!」
2度目の心臓への突きを避け、右の手刀を上から振り下ろし、ホーンラビットを地面と激突させる。
暫くピクピクと痙攣していたが、立ち上がることなくそのまま動かなくなった。
「……血抜きとか、わからないから、このまま、収納して、解体の仕方を、……教わるか」
ホーンラビットに触れようとするが左手がガチガチに固まって開かない。
命のやり取りなんて初めての体験だし、恐怖と緊張で体が固まってしまうのもしょうがないことだろうな。
深く息を吸って吐いてを繰り返し緊張をほぐす。
動けるようになったのでホーンラビットに触れて収納空間に入れておく。
「薬草も集まったし、……帰るか」
来た道を引き返し王都を目指す。
帰る際に不意に魔獣と会わないように周囲の警戒を怠らないように気をはった。
「薬草の納入お願いします」
ギルドに着いた俺は朝に並んだルフルさんの受付に声をかけた。
「かしこまりました。ギルドカードの提出してください。それと、こちらに薬草を提出してください。……少し時間がかかったようですね」
王都に帰ってきたのは昼を過ぎた頃だったので心配したとの事。
「薬草採取に夢中で周囲の警戒を忘れてしまい、ホーンラビットに襲われてしまいました。まぁ、なんとか倒しはしましたけどね」
「……なるほど。では、ホーンラビットも提出してください。依頼では3体1セットで30Gですが、1体からでも10Gで買取りしていますので」
解体していないホーンラビットを取り出し、解体の仕方を教えてもらえないかと頼んだ。
「では、先に食事をしてきてください。昼食後に解体の仕方を教えます」
この後はエヴァンとの訓練が予定されているようで、その際に解体の仕方を教えてくれるそうだ。
食堂で昼食をとった俺はルフルさんと地下の訓練所へ降りていく。
ルフルさんはホーンラビット3体の角を左手で持ってぶら下げていた。
華奢な体なのにわりとお強いようで……。
「今日は剣術を覚えてもらおうと思っていたんだが、ホーンラビットの解体だったか? 先ずは丁寧に解体するから見ていろ」
すでに血抜きを終えていたホーンラビットを1体、エヴァンが丁寧にナイフを走らせていく。
3分としないうちに解体が終わった。
毛皮を剥いだときのグロさにちょっと吐き気があったが、なんとか最後まで観ることができた。
「次は説明しながら解体するぞ。最後の1体はマモルにやってもらうからよく聞いて、よく見て、覚えろよ」
先程よりはゆっくりとエヴァンが捌いていく。
どこをどう切るのか説明されているのを聞きながら、流れを頭にいれていく。
5分ほどの解体講習は終わり、次は実践。
エヴァンがホーンラビットを渡してくる。
俺は収納空間から解体用のナイフを取り出し、先程の説明を呟きながらナイフを走らせていく。
「初めてにしては上出来だな」
毛皮は切り口がボロボロながらも上手に捌くことが出来た。
時間は10分ほどかかってしまったが、肉と角は使える状態を保てた。
「なかなかキツイわぁ……」
肉にナイフを入れる感触がなかなか消えない。
「数をこなせば上手になるぜ。頑張りな」
エヴァンが笑いながら、肩を叩く。
「では、私は上で今回の報酬を用意しておきますね。訓練が終わったら、声かけてください」
解体し終えたホーンラビットを乗せていたトレイを持ち上げたルフルさんが訓練所を後にする。
「先ずは剣の素振りからだ。基本動作はこうだ」
右手に木剣を持ち、左足を半歩前にした構えから、右手を上げ、右足を踏み込んで剣を振り下ろす。
剣を引くと同時に右足も引いて、最初の構えに戻る。
「……こうか」
同じ動作をして、数回素振りをする。
「筋が良いな。……もしかして、もう剣術を取得したとか?」
笑うエヴァンにステータスの確認を促された俺は、確認のためにステータスプレートを観る。
「……その、……もしかしてだな」
笑ったまま固まるエヴァンに俺は苦笑いするしかなかった。
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