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第1章 目覚め
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しおりを挟む「おお! マモルか! なんだ、奴隷を雇ったのか!」
今日も元気なドワーフのオウグさんが店の中で武器の点検をしていた。
「彼らに見合う武具を頼もうと思いまして」
そう言ってリリィ達を前に出し、オウグさんにどんな武具がいいか相談した。
リリィは未だに目隠しと魔法封じの首輪もしていて、服装はピタッとした白いシャツに黒のタイトなレザーパンツに茶色いレザーブーツなので、魔法封じの首輪を外して、魔法使いが着る認識阻害(小)が付与された深緑のローブと魔力伝導率の良い銀で出来た指輪にレイピアを選んだ。
目隠しは魔力感知と気配察知でぼんやりと姿形が掴めるのでしたままで大丈夫なんだそうだ。
それに、誘惑眼が誤発しても困るとの事なので目隠ししたままになった。
見た目が悪いし、景色を共有できないのもいかがなものかと思ったのでクロムに後で作ってもらうことにした。
リリィは元々ショートソードで牽制しつつ魔法を使っていたそうなので、接近されるまでは魔法を使い、接近されてからはレイピアで突いて程よい距離を保ち魔法を使うようにさせた。
口頭で伝えたので、街の外で実践させようということになった。
ガルムは黒を基調とした執事服なので、拳闘士が扱うガントレットと認識阻害(小)が付与された茶色い外套を購入して、収納されているブレードディアの短剣を護身用に渡す。
クロムはクラシカルなメイド服を着ているので、動きやすいレザーのパンツと白シャツを服屋に買いにいくことにし、武具はレザーの胸当てとレザーのグローブに認識阻害(小)の付与された茶色い外套を購入して、ガルムと同じようにブレードディアの短剣を護身用に渡す。
「マモルは……どうやら武具を一新したみたいじゃな。しかも、ワシが見たことがない武具のようだな」
さすがはドワーフと言ったところか、クロムのように目を輝かせたじいさんが見せろと目で訴えかけてくる。
「い、色々ありまして。……オウグさんなら見せても大丈夫かも……ね。でも、他の人に言わない見せないと約束してくださいよ」
首がもげるんじゃないかというぐらい上下に振るオウグさんに武具を服屋に行ってる間だけですよと言って渡す。
早く行ってこいと店の外へ追い出し、しかし服屋ではゆっくりしてこいと言ってドアを閉めた。
店はクローズになり、鍵が閉める音がした。
変わりように呆れつつ、みんなの普段着も買おうねと言って服屋に向かった。
ちなみに、オウグさんの武器屋で支払った金額は金貨3枚。
まだ金貨がかなり残っているけど、若干金銭感覚が壊れてきたみたいだ。
服屋では冒険者として行動しているとき用とそれ以外のとき用を数十点購入した。
服なんて一点あれば十分ですと言うリリィ達に駄目だと強く言ってちゃんと服を選ばして購入した。
まぁ、持っていた服とあまり変わらないけども、ガルムとクロムはカジュアルな服を選べたので良しとするか。
オウグさんの武器屋に戻るも鍵がかかったままで、どうしたものかと考えた末に、クロムに一働きしてもらうことにした。
「ドアの鍵をですか?」
「いや、ドアを錬金術で鍵がかかっていない状態に構築してみてよ」
ドアを鑑定眼で見て、構成を理解して、分解、鍵がかかっていない状態に再構築するように言ってみた。
「そんな時間がかかることをしなくても……ここを……こうすれば……」
……カチッ
「ほら、簡単に開きますよ」
そう言って振り返ったクロムの手には少し変形した針金が1本握られていた。
クロム、恐ろしい子!?
「ど、どこでそんな技を?」
「メイドの嗜みとしてクリスさんから教わりました」
嗜みときましたか……。
まぁ、ガルムとクロムのスキル構成からなんとなく暗殺者寄りの訓練してそうだなって思っていたけど、なかなかな事やってんな。
武器屋の中に入るとオウグさんが真剣な目で小太刀を眺めていた。
俺らが入ってきていることには気がついていない様子。
「……マモル、これは東国にある刀ってやつじゃないのか?」
あれま、意外な事に気づいてはいたんですね。
「ええ、これは刃長が約60cmほどの小太刀です。普通の刀の少し短い版だと思ってくれたらいいと思います」
「ほぉ。剣は叩き切る感じで扱うが、この刀は引き斬るといった感じじゃな。……ふむ、1つ打ってみるか」
なかなか難しいと思いますよと言って、武具を引き上げさせてもらって王都の外へ向かう。
王都から森までの間にある平原を調査する楽な依頼なので、のんびりと実力やフォーメーション等の確認をしていこうとリリィ達に伝えた。
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