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11.そこ

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「ふざ、け……あぁッ!~~~ぁっ」
「すみません、『下手くそ』だからわからなくて」

まただ。また前立腺を掠めては、何事も無かったかのように抜かれていく。焦らされる。

「ン、~~~あぁっ、ぁ…………!」

何度も何度も何度も何度も。

「カツキさん……僕も本当はこんなことしたくないんですよ。折角の初夜なんだから二人で気持ちよくなりたいんです」

なにが初夜だイカれ野郎が!
こんなのただの我慢比べじゃないか。繋がりたいとか待ち望んでたとか言ってた癖に、なんで俺の方が余裕なくなってんだよ。
どうせ下手くその早漏なんだからとっとと自分だけ出して満足しとけばいいものを!

「はやくイけよぉ……ッ、イけって……!」

一刻も早く射精させようと腰を振ってぎゅうっと中を締め付けてみるも、引き抜かれる時に相手のモノがより密着して余計に自分が苦しくなるだけだった。
シーツを握りしめながら絞り出した声は上擦っていて、余裕がなくなってることなんてバレバレだ。

「ほら、言ってください。貴方の口から」
「ぁ……っ、うぅ……」

本当に腹が立つ。主導権を握ったつもりで得意気になっている彼にも、甘美な誘惑に転げ落ちそうになっている自分にも。

「~~~~………………ッそ、そこ……」

決して耐えられなかった訳じゃない。
不毛な争いをさっさと終わらせたかっただけだ。
こんなことを延々と続けていれば気が狂ってしまう。それなら恥を捨てて、とっとと楽になった方がいい。

「……そこ?ここですか?」
「ちが、もっと手前の……んぁッ!」
「ああ……このしこりのようなものですか?」

彼は待ち望んでいた言葉を聞くなり、満足そうに身体を屈めてより密着させながらぐっと挿入してきた。

「ん…………ッ」
「そんな期待を込めた声で誘わないで下さい……僕だってずっと我慢してたんですから」

期待なんてしてるもんか、と反論してやりたいのに上手く言葉が紡げなかった。代わりに口から出るのは意味のない途切れ途切れの喘ぎ声だけで、まるで彼の言葉を肯定しているかのようだ。
それに身体の方は腰をゆらゆらと動かして目当ての場所を突いてもらうのを今か今かと待ち望んでいる。

「んっ、ジロ、ちゃ、はやく…………」

『早く終らせてくれ』と言いたかったのに、まるで我慢できず彼のものを求めているかのような物言いになってしまった。
彼がどんな表情をしているか分からないが、俺の言葉に答えるように腰を掴む手に力が入る。

にちにちと腰を押し進められて、先端がぐにっと前立腺に当たる。彼はちんこを軽く前立腺に当てて丹念に場所を確認し狙いを定めると、すぅっと深呼吸をしてゆっくりと腰を引いた。

あ、来る……!ずっと欲しかった刺激が……!

「ぁ──────あぁぁッ!!」

ぱん、と音がした。

それが肉のぶつかる音か、目の前が弾けた音だったのかはわからない。
わかるのは自分が意識の外側で、背中を反らしながら勝手に精液を撒き散らしているということだけだった。

「あぁっカツキさん……ッ!そんな声で、煽らないで下さいよ……!」
「あッ、あ、んんッ、~~~あッ!」

さっきまでの抜かれる間に掠められるのとは違い、明確に位置を定めて突かれ続ける。
ピストンされる度に待ち望んでいたところをきゅうきゅうと刺激されて、シーツに顔を埋めながらみっともなく声を上げて喘いだ。

「あは……ッ下手くそだと罵った相手に翻弄される気分はどうですか?」
「ン、~~~ぁ、あ……ッ!」
「それとも……わざと煽ったんですか?本当に、かわいい人ですね」
「ふっ、ぅ……」

若造に随分と舐めた口を利かれているのに射精の余韻に浸り使い物にならなくなった脳みそでは言い返すことも出来ない。ましてや抵抗する体力なんて微塵も残っていなかった。

後はもう、完全にコントロールが効かなくなった身体を好き勝手貪られるだけだ。

「カツキさん、気持ちいいですか?」
「んッ、ぃ、いい……!」
「あは、嬉しい……っ!一緒に気持ちよくなりましょうね!」

むくむくと体積を増していくちんこに中を押し広げられ、相手が射精間近であることを悟る。

「あッ、カツキさん、も、イキます……!僕のもの全部、受け止めて下さい……!」
「あ……ぁ……ッ」

シーツから顔を上げ虚ろになった視界で振り返ると、眉に皺を寄せながら身体を震わせる彼の姿が見えた。ゴム越しに腹がじんわりと生暖かい感覚で満たされていく。

「あ、ぁ───………」

その感触に再び脳が震えたが射精には至らなかった。歳のせいか、一日に二度も射精すればどれだけ快感を与えられようと勃起はできない。
対して相手は健康優良児の若造だ。
彼のちんこはたった今出したばかりだというのにグングンと硬度を取り戻していった。

「もっと、もっともっともっと気持ちよくなりましょうね、カツキさん───」

射精して尚腰を揺さぶり続ける彼の姿を最後に、意識の糸はプツンと途絶えた。
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