転生JKの推しはワンコ系王子様!推しの恋愛後押ししてたはずが何故か私が溺愛されていました

蓮恭

文字の大きさ
7 / 33

7. 天使って割とすごい設定だったんだ

しおりを挟む

「とにかく、この国では天使は敬われる存在だ。それこそ王族よりもな。本来ならば俺も美香様と呼ばねばならぬところだが……」
「美香でいいです」

 推しから何度も『美香様』などと呼ばれた暁には一瞬で昇天してしまうだろう。

「美香、はじめにモーリスはああ言ったが先ほど述べたように天使はこの国では敬われる存在なのだから俺に遠慮した物言いをしなくとも良い」

 そんな眩しい微笑みを向けないで欲しい。

「分かった。これからは普通に話させてもらいま……話すね」

 それでいいとばかりに首肯しゅこうするジェレミーが尊過ぎた。

「ところで、今ジェレミーと王太子殿下、アニエスの関係はどんな感じなの?」

 王太子の名前が出たからなのかそれともアニエスの方か、ジェレミーは優しい表情から一転して険しい顔つきになる。

 ああ、この顔もまたカッコいい。

「アニエス嬢とは先日の国王陛下の生誕祭で伯爵と共に挨拶をしにきたからたまたま顔を知っただけだ。それは兄上王太子も同じだろう。」
「……ということはまだスタートラインに立ったばっかりなんだね」
「スタートライン?」

 ジェレミーは眉間に皺を寄せて私の言葉を復唱している。

 そう、お姉ちゃんの小説でまず三人の出会いは国王の生誕祭で王族に挨拶に来た伯爵とその娘であるアニエスに、ジェレミーと王太子殿下が一目惚れするところから始まるのだ。

 それにしても、挨拶を交わしただけで一国の王子様が一介の令嬢を覚えているだなんて。
 まあそこで一目惚れしてるんだから当たり前なんだけど。

 また胸がチクリと痛む。
 
「それじゃあまだまだ今から展開は変えられるってことだもんね。よし! 早速計画を練らなくちゃ!」

 張り切る私を他所よそに、ジェレミーは全く乗り気ではないようだ。

 何故だ。

 私はこんなに胸が苦しい思いをしながらも、ジェレミーの恋を応援しようとしているのに、何故当のジェレミーがこんなに浮かない顔をしているのか。

「美香は俺とアニエス嬢をどうにかする為にこの世界に来たんだったよな?」

 少し砕けた口調に変わったけど、こっちが本当のジェレミーだってファンだった私は知ってるんだよね。
 多分、初めは王子としてのジェレミーを演じてた。
 
「私がそもそもこの世界に来たのは、ジェレミーとアニエスをくっつけて……」
「もし、それが叶わなかったらどうするんだ?」

 まさか私が来た本当の理由はジェレミーが失恋して闇堕ちするのを防ぐ為です、なんて言えないし。
 もし叶わなければ……。
 ジェレミーが失恋のショックで闇堕ちしちゃったら……。

「私がこの世界に来た意味がなくなる……」

 自分で思ったよりも悲しげな声が零れた。

「そうか……」

 ジェレミーもどこか真剣に考える素振りをしている。
 そしてブツブツと独り言を呟いているが、少し離れたところにいる私のところまでははっきり聞こえない。
 まさか異世界からわざわざ自分の恋愛を応援してくれる天使が現れるなんて、まだ信じられないのだろう。

「とりあえず、美香は暫く身体を休めてくれ。身の回りの世話は侍女のリタに頼んであるから」
「ありがとう」
「落ち着いたら国王陛下父上と兄上も美香に会いたいと言ってる」

 突然現れた天使と名乗る女子高生の格好をした奇怪な娘を一国の王子様が連れ帰ったんだから、そりゃあすぐにバレるよね。

「分かった。今日はお言葉に甘えて休ませてもらって、明日にはきっと元気になるから」
「ではそのように伝えておこう」

 フッと金の目を細めて微笑んだジェレミーは本当にカッコよくて。
 出会ったばかりだからまだぎこちないけれど、これから存分にワンコ系男子っぷりを近くで拝めると思えばなんだか体の痛みも遠のく気がした。

 そしてジェレミーが椅子からすくっと立ち上がった。
 そして私の座るベッドへ近付き、すうっと手を伸ばしたと思えば私の横髪に手を差し込み二度三度と梳いた。
 
「え?」
「髪、乱れてた」

 そう言って、いたずらっ子のように笑ったジェレミーはまさにワンコ系王子様!

 ジェレミーが部屋から去った後に、ベッドの上で悶絶して転がり狂ったのも仕方あるまい。
 

 

 












しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます

久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。 その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。 1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。 しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか? 自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと! 自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ? ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ! 他サイトにて別名義で掲載していた作品です。

悪役令嬢としての役割、立派に努めて見せましょう〜目指すは断罪からの亡命の新しいルート開発です〜

水月華
恋愛
レティシア・ド・リュシリューは婚約者と言い争いをしている時に、前世の記憶を思い出す。 そして自分のいる世界が、大好きだった乙女ゲームの“イーリスの祝福”の悪役令嬢役であると気がつく。 母親は早くに亡くし、父親には母親が亡くなったのはレティシアのせいだと恨まれ、兄には自分より優秀である為に嫉妬され憎まれている。 家族から冷遇されているため、ほとんどの使用人からも冷遇されている。 そんな境遇だからこそ、愛情を渇望していた。 淑女教育にマナーに、必死で努力したことで第一王子の婚約者に選ばれるが、お互いに中々歩み寄れずにすれ違ってしまう。 そんな不遇な少女に転生した。 レティシアは、悪役令嬢である自分もヒロインも大好きだ。だからこそ、ヒロインが本当に好きな人と結ばれる様に、悪役令嬢として立ち回ることを決意する。 目指すは断罪後に亡命し、新たな人生をスタートさせること。 前世の記憶が戻った事で、家族のクズっぷりを再認識する。ならば一緒に破滅させて復讐しようとレティシアには2つの目標が出来る。 上手く計画に沿って悪役令嬢を演じているはずが、本人が気が付かないところで計画がバレ、逆にヒロインと婚約者を含めた攻略対象者達に外堀を埋められる⁉︎ 更に家族が改心して、望んでいない和解もさせられそうになるレティシアだが、果たして彼女は幸せになれるのか⁉︎

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

由香
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

<完結>溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。 本編完結済み。 続きのお話を、掲載中です。 続きのお話も、完結しました。

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

《完》義弟と継母をいじめ倒したら溺愛ルートに入りました。何故に?

桐生桜月姫
恋愛
公爵令嬢たるクラウディア・ローズバードは自分の前に現れた天敵たる天才な義弟と継母を追い出すために、たくさんのクラウディアの思う最高のいじめを仕掛ける。 だが、義弟は地味にずれているクラウディアの意地悪を糧にしてどんどん賢くなり、継母は陰ながら?クラウディアをものすっごく微笑ましく眺めて溺愛してしまう。 「もう!どうしてなのよ!!」 クラウディアが気がつく頃には外堀が全て埋め尽くされ、大変なことに!? 天然混じりの大人びている?少女と、冷たい天才義弟、そして変わり者な継母の家族の行方はいかに!?

処理中です...