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10. ロルフ船長は良い人
しおりを挟む「これとこれですか?」
「そうだ、多分ソフィアの言ってるやつに近いのはこれだと思うぞ。」
目の前に大きめのカツオに似た魚だけど、色合いが思ったよりも白っぽいもの、それとカタクチイワシに似てるけど思ったより倍くらい大きいものがある。
「確かに、雰囲気はすごく似てます。」
「コイツらはもう金払ってるから、試しに食べてみるか?」
「え?いつの間に。すみません、お金払います。」
「いいよいいよ。ほんとにコイツらがソフィアの探してる魚かどうか分かんねぇしな。ま、食べてみろって。」
港にある厨房のような場所をお借りして、ロルフ船長が捌いてくれた魚たちを食べてみた。
「カツオ……。」
「カツオ?」
「いや、すごく探してた魚にそっくりな味だったんでびっくりして……。」
見た目の色は白っぽいカツオなのに、味は脂身の少ないカツオそのまんまで、これを鰹節にしたら絶対美味しいだろうなぁと思う。
「もう片方も食ってみろよ。」
「…………イワシです。」
「探してたやつか?」
「そう、そうです!ちょっとサイズは大きいんですけど、味と見た目はそのまんまです!」
ロルフ船長によると、この魚たちはスキプジャクと、ザディヌというらしい。
「今日は本当にありがとうございました。早速この魚たちを加工してみます。」
「おう、それでそれが何になるんだ?」
「うーん……。説明が難しいんですけど、美味しい讃岐うどんのダシになります。」
ロルフ船長はよく分からないといった顔をしていたけど、そのうちニカッと笑ってくれた。
「……ソフィア、お前いくつなんだ?」
「私ですか?二十歳です。」
「二十歳か……。俺より八つも年下なんだな。それにしては大人びてて落ち着いてるから、もっといってるかと思ったがな。」
「それって……、老けてるってことですか?」
思わずジーっと睨んでみたら、慌てた様子で両手を振りながらロルフ船長は謝った。
「いや!そういうわけじゃねぇんだけどさ!ソフィアは俺なんかオッサンだなぁと思うだろ?」
「ロルフ船長がですか?別に思いませんよ。それにワイルド系イケメンってことで店でも人気なんですよ。」
「そうなのか?それは知らなかったな。じゃあソフィアも俺はアリか?」
ロルフ船長が笑いながら冗談を言うものだから、私は思っていたことを正直に答えた。
「ロルフ船長はワイルドでかっこいいし、まだ若いのに自分の船を持ってて乗組員の方も乗せて漁に出るなんて、正直ずっと尊敬してました。」
「……そうなのか?」
「はい。私より少しだけ年上なだけなのに凄いなあって。」
「そっか。そっか!」
エメラルドグリーンの瞳をキラキラ輝かせながらニカっと笑うロルフ船長は、お客さんのお姉さん方が見たら失神したかも知れないくらいカッコよく感じた。
「ロルフ船長、今日はほんとにありがとうございました。またお店に来た時にサービスさせてもらいますね。」
「おう、そんなの気にすんな!」
「ではまた。」
「気をつけて帰れよ!」
ブンブンと手を振って見送ってくれるロルフ船長は、さすが海の男だけあって後ろ側に見える海がとてもよく似合っていた。
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