39 / 55
38. ガーランの正体は
しおりを挟む
異国情緒漂うグラフ一座の芸は、他の一座や大道芸人のものとは少しばかり毛色が違い、披露する度観客は感嘆の声を上げる。
しかし中には何度か観に来ている観客も居たらしく、「歌姫ミーナを出せ!」と野次が飛ぶ場面もあった。そこで私はドキリとなって身体を震わせたけれど、流石にそれはアルフ様にもレネ様にも分かるはずもなかった。
「このような舞台はあまり観た事が無かったのだが、見事なものだな。ガーランという奇術師の奇術、あれは本当に奇術なのか? どう見ても種も仕掛けも無さそうだが」
「不思議な人なんです。ガーランは」
「ねぇ、観客達が騒いでるミーナってどんな人なの? 歌姫って言ってるけど、今日は出ないのかな?」
私とアルフ様が話していると、レネ様が身を乗り出してそう尋ねてきた。
「ミーナは……、時々しか舞台に上がらない歌い手でだそうですよ」
「へぇ、どんな人なの?」
「さぁ……顔はベールで覆われていて謎だと言われていますけど」
「でも、ワルター殿と仲の良い貴女なら、歌姫ミーナの正体をご存知なのでは?」
レネ様に答えながら、私の胸は嫌な鼓動を抑えようと必死だった。もしかして、レネ様は気づいてしまったのかも知れない。私がミーナで、舞台に立つ為に城を抜け出しているのだと。
「私は……」
レネ様だけでなく、私を愛してくださるアルフ様にも嘘を吐いているという事が、無遠慮にグッと拳を突っ込んで抉られるように胸を苦しくさせた。
「妖精……?」
「わぁ! 可愛い! 妖精だ!」
「おお! 妖精王様! 妖精王様だ!」
「あぁ……長らく妖精のお姿は拝見していなかったけど、本物だ!」
その時、ひときわ大きく観客の歓声が上がる。舞台上でガーランが普段よりも手の込んだ奇術を……。いいえ、もはや奇術とは呼べないほどの現象を起こしていたから。
「人間達よ、妖精王である僕の為にこのような祭りを開いてくれるなんて嬉しいな。忘れもしないよ、八百年前……戦で親を亡くし、悲しみに暮れる気の毒な人間の娘に、祝福を授けたんだ」
ガーランは舞台の上で宙に浮き、その周囲には黄金色をした小さな光の粒が煌めいている。そして、手のひらに乗るくらいの大きさの羽の生えた人間のようなモノが数多く飛んでいた。
「人間達に痛みと喜びが、等しく与えられるように。どちらが欠けても、結局は駄目になるからね」
妖精達は観衆の多くが妖精王の突然の出現に呆気に取られるか、中には涙ぐむなどしている人がいる事にも構わずに、どんどんと金色の粒と可愛らしい花々を撒き散らしながら飛んで行く。
「ガーランが……妖精王だったなんて……」
「グラフ一座は、ワルター殿は、とんでもないお方を味方につけているのだな」
「私も全く存じ上げませんでした」
何となく、魔法のような不思議な力に違和感は持っていたけれど。まさかこの世界で神と並んで偉大な妖精王とは……。
普段あまり動じないアルフ様も心底驚かれたようで、私の肩を抱きながらもガーランの方を瞬きも忘れて見つめている。
「今日は特別だよ。僕の祝福だけでなく、皆が慕う銀髪の歌姫ミーナの祈りも贈ろうか」
「わぁぁ! ミーナ! ミーナ! ミーナ!」
大歓声に包まれる中、舞台の上でそれはもう神々しく煌めいている妖精王ガーランの悪戯な視線が、私の方へと向けられた気がした。
まさか……、アルフ様やレネ様もいらっしゃるのに……。無理よ……。
やがて私の不安など関係ないとでも言うように、ガーランの形の良い唇が動く。「だいじょうぶ、おいで」と。
「エリザベート……っ⁉︎」
「はぁ⁉︎」
隣にいた筈のアルフ様とレネ様の驚きの声は、あっという間に私の下方へと移動した。けれどそれは二人が移動したわけではなく、私の身体が広場にある大きな噴水の水柱の高さほど空高くに、浮き上がっていたのだった。
「ガ、ガーラン……! いや……っ、こんなに高いと怖いわ! それに、皆に顔を見られたら……っ」
「怖くないよ。僕の愛しのミーナを、絶対に落としたりしないからね。ミーナの顔はちゃんと僕が認識阻害しているから、観衆達にはいつものベールを被った姿に見えているよ」
「ほ、ほんとう?」
「僕はミーナの嫌がる事はしないよ。当然だろう?」
楽しそうにフワフワと飛ぶ妖精達を周りに従えながら、あっという間に私のそばに飛んで来たガーラン。そんな事を言いつつふわりと私を縦に抱き上げると、舞台の方へと再び戻っていく。
観客達の大歓声と興奮した叫びで、アルフ様やレネ様の声はもう聞こえない。そちらを振り向こうとしても、私を抱き上げたガーランが許さないとばかりに抱え込んでいて見えない。
「でも、ガーラン……どうして?」
「僕の可愛いミーナ、嘘を吐くのが辛いんだろう? アルフレートは受け入れてくれる。怖がらずに、いつものように歌ってごらん。ミーナの歌声を観客の皆も待っているよ」
耳元で囁くガーランの声はいつもと同じ筈なのに、その正体は偉大なる妖精王だと思うと不思議だった。
「貴方には、何故私の心が分かるの?」
「くくっ……さぁ? 何故かな? 祈りの唄を歌い終わったら答え合わせをしよう」
「祈りの唄?」
「そうだよ、あれは祈りの唄だ」
祈りの唄? ずっと子守唄だとばかり思っていたのに、お母様が私の為に歌ってくれていたのは祈りの唄だったの?
突然の状況と分からないことばかりで、私は混乱していた。ガーランが舞台の上にそっと下ろしてくれた時、遠くからこちらへ駆け寄ってくるアルフ様とレネ様が見えた。
「全く、少しも離れていられないのかな」
ガーランがそう呟くと、アルフ様とレネ様の身体が金の粒に囲まれて、そこで動きを止める。無理矢理拘束されているわけでは無さそうだけれど、自由に動けないみたい。
「ミーナの歌声を、黙って聞いてやってくれる? 今から祈りの唄を、この帝国に捧げるから」
そう大きな声を出していないはずの妖精王ガーランの声は、不思議なことに遠くまで響いた。ざわついていた観衆がシンとなって、胸の前で腕を組んだり大切な人と手を繋いだりするのが見える。
「さぁ、僕の愛しのミーナ。いつものように、祈りを捧げて」
しかし中には何度か観に来ている観客も居たらしく、「歌姫ミーナを出せ!」と野次が飛ぶ場面もあった。そこで私はドキリとなって身体を震わせたけれど、流石にそれはアルフ様にもレネ様にも分かるはずもなかった。
「このような舞台はあまり観た事が無かったのだが、見事なものだな。ガーランという奇術師の奇術、あれは本当に奇術なのか? どう見ても種も仕掛けも無さそうだが」
「不思議な人なんです。ガーランは」
「ねぇ、観客達が騒いでるミーナってどんな人なの? 歌姫って言ってるけど、今日は出ないのかな?」
私とアルフ様が話していると、レネ様が身を乗り出してそう尋ねてきた。
「ミーナは……、時々しか舞台に上がらない歌い手でだそうですよ」
「へぇ、どんな人なの?」
「さぁ……顔はベールで覆われていて謎だと言われていますけど」
「でも、ワルター殿と仲の良い貴女なら、歌姫ミーナの正体をご存知なのでは?」
レネ様に答えながら、私の胸は嫌な鼓動を抑えようと必死だった。もしかして、レネ様は気づいてしまったのかも知れない。私がミーナで、舞台に立つ為に城を抜け出しているのだと。
「私は……」
レネ様だけでなく、私を愛してくださるアルフ様にも嘘を吐いているという事が、無遠慮にグッと拳を突っ込んで抉られるように胸を苦しくさせた。
「妖精……?」
「わぁ! 可愛い! 妖精だ!」
「おお! 妖精王様! 妖精王様だ!」
「あぁ……長らく妖精のお姿は拝見していなかったけど、本物だ!」
その時、ひときわ大きく観客の歓声が上がる。舞台上でガーランが普段よりも手の込んだ奇術を……。いいえ、もはや奇術とは呼べないほどの現象を起こしていたから。
「人間達よ、妖精王である僕の為にこのような祭りを開いてくれるなんて嬉しいな。忘れもしないよ、八百年前……戦で親を亡くし、悲しみに暮れる気の毒な人間の娘に、祝福を授けたんだ」
ガーランは舞台の上で宙に浮き、その周囲には黄金色をした小さな光の粒が煌めいている。そして、手のひらに乗るくらいの大きさの羽の生えた人間のようなモノが数多く飛んでいた。
「人間達に痛みと喜びが、等しく与えられるように。どちらが欠けても、結局は駄目になるからね」
妖精達は観衆の多くが妖精王の突然の出現に呆気に取られるか、中には涙ぐむなどしている人がいる事にも構わずに、どんどんと金色の粒と可愛らしい花々を撒き散らしながら飛んで行く。
「ガーランが……妖精王だったなんて……」
「グラフ一座は、ワルター殿は、とんでもないお方を味方につけているのだな」
「私も全く存じ上げませんでした」
何となく、魔法のような不思議な力に違和感は持っていたけれど。まさかこの世界で神と並んで偉大な妖精王とは……。
普段あまり動じないアルフ様も心底驚かれたようで、私の肩を抱きながらもガーランの方を瞬きも忘れて見つめている。
「今日は特別だよ。僕の祝福だけでなく、皆が慕う銀髪の歌姫ミーナの祈りも贈ろうか」
「わぁぁ! ミーナ! ミーナ! ミーナ!」
大歓声に包まれる中、舞台の上でそれはもう神々しく煌めいている妖精王ガーランの悪戯な視線が、私の方へと向けられた気がした。
まさか……、アルフ様やレネ様もいらっしゃるのに……。無理よ……。
やがて私の不安など関係ないとでも言うように、ガーランの形の良い唇が動く。「だいじょうぶ、おいで」と。
「エリザベート……っ⁉︎」
「はぁ⁉︎」
隣にいた筈のアルフ様とレネ様の驚きの声は、あっという間に私の下方へと移動した。けれどそれは二人が移動したわけではなく、私の身体が広場にある大きな噴水の水柱の高さほど空高くに、浮き上がっていたのだった。
「ガ、ガーラン……! いや……っ、こんなに高いと怖いわ! それに、皆に顔を見られたら……っ」
「怖くないよ。僕の愛しのミーナを、絶対に落としたりしないからね。ミーナの顔はちゃんと僕が認識阻害しているから、観衆達にはいつものベールを被った姿に見えているよ」
「ほ、ほんとう?」
「僕はミーナの嫌がる事はしないよ。当然だろう?」
楽しそうにフワフワと飛ぶ妖精達を周りに従えながら、あっという間に私のそばに飛んで来たガーラン。そんな事を言いつつふわりと私を縦に抱き上げると、舞台の方へと再び戻っていく。
観客達の大歓声と興奮した叫びで、アルフ様やレネ様の声はもう聞こえない。そちらを振り向こうとしても、私を抱き上げたガーランが許さないとばかりに抱え込んでいて見えない。
「でも、ガーラン……どうして?」
「僕の可愛いミーナ、嘘を吐くのが辛いんだろう? アルフレートは受け入れてくれる。怖がらずに、いつものように歌ってごらん。ミーナの歌声を観客の皆も待っているよ」
耳元で囁くガーランの声はいつもと同じ筈なのに、その正体は偉大なる妖精王だと思うと不思議だった。
「貴方には、何故私の心が分かるの?」
「くくっ……さぁ? 何故かな? 祈りの唄を歌い終わったら答え合わせをしよう」
「祈りの唄?」
「そうだよ、あれは祈りの唄だ」
祈りの唄? ずっと子守唄だとばかり思っていたのに、お母様が私の為に歌ってくれていたのは祈りの唄だったの?
突然の状況と分からないことばかりで、私は混乱していた。ガーランが舞台の上にそっと下ろしてくれた時、遠くからこちらへ駆け寄ってくるアルフ様とレネ様が見えた。
「全く、少しも離れていられないのかな」
ガーランがそう呟くと、アルフ様とレネ様の身体が金の粒に囲まれて、そこで動きを止める。無理矢理拘束されているわけでは無さそうだけれど、自由に動けないみたい。
「ミーナの歌声を、黙って聞いてやってくれる? 今から祈りの唄を、この帝国に捧げるから」
そう大きな声を出していないはずの妖精王ガーランの声は、不思議なことに遠くまで響いた。ざわついていた観衆がシンとなって、胸の前で腕を組んだり大切な人と手を繋いだりするのが見える。
「さぁ、僕の愛しのミーナ。いつものように、祈りを捧げて」
1
あなたにおすすめの小説
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
番探しにやって来た王子様に見初められました。逃げたらだめですか?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私はスミレ・デラウェア。伯爵令嬢だけど秘密がある。長閑なぶどう畑が広がる我がデラウェア領地で自警団に入っているのだ。騎士団に入れないのでコッソリと盗賊から領地を守ってます。
そんな領地に王都から番探しに王子がやって来るらしい。人が集まって来ると盗賊も来るから勘弁して欲しい。
お転婆令嬢が番から逃げ回るお話しです。
愛の花シリーズ第3弾です。
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
番は君なんだと言われ王宮で溺愛されています
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私ミーシャ・ラクリマ男爵令嬢は、家の借金の為コッソリと王宮でメイドとして働いています。基本は王宮内のお掃除ですが、人手が必要な時には色々な所へ行きお手伝いします。そんな中私を番だと言う人が現れた。えっ、あなたって!?
貧乏令嬢が番と幸せになるまでのすれ違いを書いていきます。
愛の花第2弾です。前の話を読んでいなくても、単体のお話として読んで頂けます。
私を簡単に捨てられるとでも?―君が望んでも、離さない―
喜雨と悲雨
恋愛
私の名前はミラン。街でしがない薬師をしている。
そして恋人は、王宮騎士団長のルイスだった。
二年前、彼は魔物討伐に向けて遠征に出発。
最初は手紙も返ってきていたのに、
いつからか音信不通に。
あんなにうっとうしいほど構ってきた男が――
なぜ突然、私を無視するの?
不安を抱えながらも待ち続けた私の前に、
突然ルイスが帰還した。
ボロボロの身体。
そして隣には――見知らぬ女。
勝ち誇ったように彼の隣に立つその女を見て、
私の中で何かが壊れた。
混乱、絶望、そして……再起。
すがりつく女は、みっともないだけ。
私は、潔く身を引くと決めた――つもりだったのに。
「私を簡単に捨てられるとでも?
――君が望んでも、離さない」
呪いを自ら解き放ち、
彼は再び、執着の目で私を見つめてきた。
すれ違い、誤解、呪い、執着、
そして狂おしいほどの愛――
二人の恋のゆくえは、誰にもわからない。
過去に書いた作品を修正しました。再投稿です。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる