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14. 労働の後の
しおりを挟む夕方になっても商都であるカビルの街は明るく賑やかだ。
「ねえジャン。今日、夕食はどこで食べるの?」
「教会で準備してもらっても良かったけど、せっかくカビルに来たんだから酒場で美味しい物でも食べて英気を養おう!」
「なるほどー!酒場って初めて!楽しみだなあ。」
高校生だった私は日本ではもちろん酒場には行ったことがなかったし、この世界に来てからも初めてなのでとても楽しみだ。
ちなみにこの国では十六歳から飲酒ができるから私も飲めるかもと密かにワクワクしていた。
「そんなに楽しみなのか?」
「うん。だって元の世界では私は高校生でお酒も飲めない年だったから。」
「コウコウセイ?そういえばユリナは一体いくつなんだ?」
そういえばアレクにもジャンにも年齢の話はしていなかったかも知れない。
「私は十七歳だよ。アレクとジャンもいくつなの?」
「十七?元の世界では十七でも酒が飲めないのか。俺は二十二だ。」
「え?アレク二十二歳なの?もっと年上だと思ってた……。」
「それはどういう意味だ?」
「アレクはすごく落ち着いているから、てっきりそうだと思ったの。すごく頼りがいあるし。」
澄ました顔のアレクはあまり多くは語らないし、落ち着いた印象だったからもっと年上だと思っていた。
それに、異世界に来た私にとってはいつも一番頼れる存在で。
「僕は二十六歳。」
「ジャン!同い年くらいだと思ってたのに、十歳近く年上だったの?えー……。」
「なんだよ、えー……って。」
「いやぁ、ジャンがあまりに子どもっぽいから……。」
「すごく失礼な奴だな!ユリナ、罰として今日は酒抜きだぞ。」
「えええ……。楽しみにしてたのに……。ケチ。」
私とジャンがワイワイ言っている間も、アレクは目を細めて微笑ましいものを見るようで、やっぱり随分落ち着いて見える。
そのうち賑わった酒場へと到着して、三人で美味しい料理をたくさん食べる。
「あー。やっぱりお酒飲んでみたかった。」
「ユリナはまだお子ちゃまだから、もう少し大人の女になったらな。」
「ジャン!ひどーい。自分だって!」
食後はジャンとアレクだけがお酒を嗜んでいて、私は果実水で我慢させられた。
ふと、今日の昼間に気になったことを二人に聞いてみた。
「ねえ、疫病のことだけど。この疫病ってよく流行するの?」
「まあ、寒い時期に流行しやすい疫病ではあるな。通常はあまり多くの犠牲が出るようならアレクサンドル様が対応してくださっているけど。今回は商都であるカビルが発端だから、そこから商人等を経て色々な街へと広がったみたいだ。」
やっぱり。もしかしてこの疫病って、日本で言う『ウイルス性胃腸炎』みたいなもんじゃないのかな。
「ちょっとお願いがあるんだけど。今から買い物行けるかな?」
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