入れ替わるセカイ

ドライパイン

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すり替わっていたジブン

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午前八時。休日なので遅めにかけた目覚まし時計が、耳元で騒音を吐き出している。

「んぅう゛っ……う゛るさぃなぁ……」

 もぞもぞと動きながら、目覚まし時計を止め。ベッドからゆっくり体を起こす。ベッドで寝てボサついた髪を、机に置いてあった櫛を掴んで、鏡を確認しながら多少まっすぐに伸ばす。──自分の顔を見て、西田はなんだか違和感を覚えた。

「あれ、俺……こんなに髪の毛長かったっけなぁ……それに、なんか胸元がキツイ気が……」

 熟睡できなかったのか、身体の調子が変だ。それに鏡の向こうの顔、どこかで見たことがあるような、気がする。ぱっちり開いた瞳、肩まですらりと伸びた、烏の塗れ羽色の艶のある髪。清楚さと明るさを併せ持った表情、『自分』の顔なのに、『自分』じゃないような──

「……あ゛っ!?」

 寝ぼけた頭の中で、ようやく繋がる。昨日一緒に帰った、河内由紀の姿をした、鈴木渉。彼女の顔にそっくりなのだ。慌てて姿見で、自分の全身を映す。そこに、西田甲斐ジブンの姿を見つけることはできず。その代わりに、クリーム色のパジャマに身を包んでいる、河内由紀がそこにいた。

「へ……嘘、だろ……」

 恐る恐る、視線を下に向かわせると。足元が見えなかった。ソコを邪魔するかのように、胸元に大きな膨らみが2つ。自分の身体にあるはずのないものが、ある。小さくて綺麗な、『自分』の手。それが自分の身体にある事にも違和感があるが、それを胸元に当てると。柔らかいものを触った感覚と、胸元を触られた感覚が同時に走る。手のひらに納まらない膨らみを、握る。

「は……ぁんっ……!」

 ピクン、と身体が跳ねて震える。背筋を羽でくすぐられたかのような、心地よいような、不安になるような感じ。切ないようで、癖になるような──これが、おっぱいの感覚。由紀の身体になっている、ということは。パジャマの下を慌てて脱ぐ。淡い緑のショーツが見えて、ドキリとする。こわごわと、股間に手をやった。

「やっぱり、ない……」

 本来自分の息子があるはずの場所に、なにもない。いや、触ってみると何かがあるのは分かるのだが。少し盛り上がった部分を、指先でそっと撫でると。手前側の一部分に指が触れた瞬間。

「ん゛ぅっ……♡」

 じん、と股のあたりに疼くような。ふわりとなにか温かいものに包まれるような。上手く言葉で表せないけど、この感覚が『気持ちいい』という事は分かる。もう一度、同じところを人差し指の腹で回すように弄る。ぽわぁと、身体の芯が火照る。
 
「ぅあ……河内、さんっ……♡♡」

 目の前の、隣クラスの憧れの美少女。そんな彼女が、下のパジャマを履いていない、ショーツだけのだらしない格好で。胸元とアソコをまさぐって、顔を紅く染めながら、恥ずかしいところを隠すようなこともせず、むしろ見せつけるかのように。自慰をしているのだ。

「ぅあ……河内、さんがぁっ……♡♡ 目の前でっ、オナってるっ……♡♡♡」

 その言葉を『由紀ジブン』の身体で発すると、余計に暗い情念が燃え上がる。そんな言葉を口にしないような彼女が、甘く蕩けた声で下品な言葉を使っている。今の自分の身体が女性である事──ソレを、自分の思うがままに扱うことができるという事実。

「おっぱいもっ……♡♡ おまんこ、もっ……♡♡♡ は、はは……こんな風に『感じる』んだな……んぅう゛ぅっ♡♡♡♡」

 パジャマの内側に手を潜らせ右胸をむにゅりと揉み、乳首の先をコリコリと弄ぶ。きゅん、と疼く股の刺激をもっと味わいたくて、僅かにぷくりと盛り上がったアソコのスジを上下に撫でて。一番気持ちよくなれる突起の部分が分かると、そこだけをくりくり、くりくりと癖になってしまったかのように触れ続ける。立っていられなくて、自然と女の子座りになってしまう。だけど、パンツを見せつけるかのように腰を前にしたまま。

「っはぁ゛っ……♡♡♡ やば、ぃ゛っ……♡♡♡ あ゛ぅっ♡♡♡♡ ずっと、シてたら゛っ……♡♡ おかしく、なり゛ゅっ♡♡♡♡ んひゅぅう゛ぅっ♡♡♡♡♡」

 じゅん、とパンツに暗い染みができる。股間に濡れる感覚。愛液なのか、と『彼女』は遅れて理解する。くち、くちゅ、と水音が混ざる。目の前で由紀が、潤んだ瞳で顔を火照らせながら、誰にも見せないはずのオナニーをしている──自分が、そうさせているのだ。

「──『俺』のカラダなんだから……なにを、しても……いいよな……ッ」

 布1枚しか隔てていないそこに手をかけ、一瞬躊躇う。──だが。これは『自分』の身体なのだから。するする、とショーツを太ももから足先まで滑らせる。わずかに、身体から離れた布に愛液が線を引く。そして、たった一つの防御を失って。鏡の前の由紀は恥ずかしそうに──しかし、わざとソコを見せつけるかのように。鏡に自分のワレメを映すのだった。

「これ、が……河内のマンコ……少し、盛り上がってるんだな……んぅう゛っ♡♡」

 既に出来上がりつつある『彼女』の身体は、ほんの少しの刺激ですらビクンと跳ねてしまうほどに過敏。襲い来る不安、それ以上の病みつきになりそうなキモチヨサ。そして、ほんの少しの好奇心。これが『膣』だとわかる。これを弄って気持ちよくなる方法も、AV程度の知識では理解している。

「ゆ、びっ……♡♡ はいる、かぁあ゛っ……ふん゛うう゛ぅっ」

 少しだけぷっくりと浮き上がったワレメ。ソコを直接なぞると、再びこそばゆいようなムズムズする感覚。細くて小さな薬指を、自分の秘部に、おそるおそる挿入__い__#れる。濡れ始めていた秘所は、ゆっくりと『由紀ジブン』の指を受け入れる。指先に生暖かく、すこしぬめっとした感じと共に、柔らかい膣壁の触覚が伝わる。

「んはぁあ゛っ♡♡♡ なん、だよっ……♡♡ 男の時、よりぃ゛っ♡♡♡ ものすごい、きもちいいっ゛……♡♡♡♡」

 自分の逸物を扱く、ペニスだけが気持ちよくなる感覚とは全く違う。由紀の身体を弄っていくと、腰の奥、体中がふんわりと心地よく浮いてゆくような不思議な錯覚に包まれる。時折きゅん、きゅんと疼く膣が、惚けてゆく頭を現実に引き戻す。快楽の連鎖が、どんどんと勢いを増しながら『彼女』を吞み込んでゆく。

「ひ、ぁあ゛っ♡♡♡ ここ、やばっ……んあ゛っ♡♡♡♡ 止めらんな゛っ♡♡♡♡♡ んう゛っ♡♡♡♡♡」

 ダメだと分かっているのに。乳首の先をくりくり、と回すようにイジるのも、薬指を出し入れして、膣内ナカをぐちゃぐちゃにしてしまうのも、抑えられない。くちゅ、ぐちゅ、と粘っこい水音。目の前の美少女が悦びに染まった表情でオナニーしているのをオカズにしながら、『自分』もどんどん気持ちよくなってゆく。

「ぃ゛っ♡♡♡♡ ん゛ぁあ゛っ♡♡♡♡♡ こ、ここっ♡♡♡♡ いまっ♡♡♡♡ びくんって、なりゅ゛ぅ゛♡♡♡♡♡」

 脚を大きく広げて、鏡の自分にむしろ晒すかのように。膣奥のザラリとする場所、そこに指が触れた途端に思わず喘ぎ声を漏らしてしまう。背筋がぞくぞくして、身体が思わずピクンと跳ねて。女の気持ちよくなる所、Gスポットだっただろうか。そんな事を溶けかけた思考で思い出す。手の動きを止める事ができない。胸元を弄る代わりに、左手も陰部に当てて。

「ひゃ、ぁあ゛っ♡♡♡♡ こっち、も゛っ♡♡♡ キてる、きもち、ぃい゛っ♡♡♡♡」

 ショーツ越しに触れていたクリトリスに、今度は直接人差し指を当てて、ゆっくりと回すように弄る。身体の外側と内側、両方から敏感な所を刺激してしまって。もう、喘ぐ声を抑えている事なんてできない。

「ゃ、ぁあ゛ん゛っ♡♡♡ も、も゛ぅっ♡♡♡♡♡ む゛りぃ゛っ♡♡♡♡♡♡」

 理性が悲鳴をあげているのに、本能はもっと、もっと気持ちよくなりたいと追い立てて。ぐちゅ、ぐじゅ、と粘度のある水音、荒くなる呼吸。腰に熱が籠って、ソレが今にも爆発しそうな感覚。勢いあまって、おまんこを弄る指先に力がこもった瞬間。全身に電気が走ったかのように、ビクンと身体が跳ねて────

「イ゛っ♡♡♡♡♡ ぁあ゛っ♡♡♡♡♡♡ んん゛ぅ゛っ~~♡♡♡♡♡♡♡ っはぁ゛あ゛っ♡♡♡♡」

 頭が真っ白になる。キモチイイ以外、なにも考えられない。ぼやけた頭で、全身がただ暖かいモノにつつまれたかのような不思議な充足感、満ち足りた気持ち。じんわりと、股に湿った感じがする。じわりと、フローリングの床に水たまりができていた。おもらし、ではない。

「……は、ぁあ゛っ……♡♡♡ これ、潮吹き……♡♡」

 男の、ペニスを弄る自慰などとは比べ物にならない。こんなに、頭がばかになってしまいそうなほどにイってしまう、女のオナニー。一度知ってしまえば、もう戻れないようにすら思えた。こんなに気持ちいいなら、もっと、シたい────

 そう思い、再び秘所を弄ろうとした瞬間。

「甲斐! 早く起きて降りてきなさい!」

 母親の大声が、階下から聞こえてくる。急速に身体中に満ちていた熱が引く。────どうしたらいい。変わってしまった河内由紀今の自分の姿を家族に見られたらどう説明すればいいのだろう。

 だが、どこかに逃げることもできない。パジャマを慌てて着なおして、ゆっくりと自分の部屋を出て。恐る恐る、食卓に顔を出す。母親と、目が合った。

「あ、あのさ……」
「何寝ぼけてんの! さっさとご飯の手伝いして!」
「…………えっ」

────しばらくして、『西田』はようやく理解が追いつく。『自分がすり替わった』という事実ですら、他の人間には認識されていないのだということに。

────────────────────────────────

 こんな状態になったからといって、友人の誘いをドタキャンする事はできなかった。というより、近くに家のある鈴木の方からいきなり押しかけて来たものだから、体調が悪いとかいう嘘で誤魔化すことも出来なかった。あれよあれよと、電車で街に向かうことになって。

(……どうして、こんな事になっちまったんだろうな?)

 2人並んで歩いている途中、街並みのガラスに『自分たちの姿』が映る。──西田も、鈴木も、まったく同じ姿。双子姉妹のように歩いている自分たちで違うのは、着ている服ぐらい。不思議な事に、西田の部屋には女物の服しかなくなっていて、それを着るしかなかったのだ。何故か『普段から着ているかのようにしっくりくる』薄い水色のワンピース、不思議と着るのが怖くなかったそれに袖を通し、今の西田は居心地が悪そうに歩いている。

「どうしたー? 今日はなんだか、昨日より一段と深刻そうな顔してるな?」
「な、何でもないって……それよりお前、そんな大股で歩くと……」
「西田が遅いんだろ~?」

 違う、そういう事じゃないんだ。白色のシャツに、藍色のミニスカートとも呼べそうな、太ももをさらしている姿で大きな歩幅で歩くものだから、もうパンツとかが見えてしまうのではないかとヒヤヒヤしてしまう。だが、その事よりも。次に鈴木が放った一言が、西田にとっては衝撃的だった。

「けどなぁ、西田がそんな事に興味あるだなんて。俺知らなかったよ」
「…………?」
「『女子』なのに男性向けの同人誌を一緒に買いたいだなんてさ。ヘタしたらドン引きものだぜ?」

 ──しばらくは、意味を理解できなかった。遅れて気が付く。

「……待って、今何て言った!?」
「いや、その趣味は他の女子同級生とかが知ったらビビるかなって……」
「そ、その前!」
「ん? 女子なのに男向けの同人誌を買いたいって……」
「はぁ!? 待てよ俺は────」

 俺は男だ、そう西田は主張しようとした。だが、より正しく現状を示すのであれば。今の西田は、意思こそ元の自分であるものの、容姿は女子の同級生のもの。姿がすり替わり、しかし他の人の認識は変化しない。それが今までの『異常ツウジョウ』だったはず。なのに、鈴木は自分が女になった事を認識しているというのか? 

「昔っからの付き合いなのに知らなかったぜ、やっぱ男女ともなると性別も違うし、流石にそっちの興味は一緒にならないと思ってたけど。性的嗜好こんな所まで一致するなんて、俺たちホント似た者同士だな」
「…………は、ぁ?」

 違う。何か、噛み合わない。嫌な予感。ふと思い出し、昨日の会話について尋ねる。

「お、おい……昨日言ったよな。『西田が女だったら絶対付き合うのにな』って!」
「……そういや、そんな事言ったな。あれ……?」

 一瞬首をかしげる『彼女スズキ』。だが、次の瞬間には笑ってこう言うのだった。

「なんかその時は女って意識してなかったわ、ゴメン!」
「………………」

 絶句。友人のあり得ない対応に対する反応と、それ以上に自分の身に振りかかっている状況を理解できなくなっていた。つまり『西田ジブン』は『昔から女だった』という事になっている。なぜ自分だけ? その疑問を解決する前に、ニコリと笑った河内スズキは耳元で、囁くように。

「──でもさ。女の子だったら付き合いたいなって思ったのは本当だぜ」

 心臓が跳ねる。それが可愛らしいウィスパーボイスだったのもあってか、なぜだか嫌な気分はしなかった。

──────────────────────────────

 どうして、こんなことになっているのだろう。後ろのドアがガチャリと閉じ、2人だけの部屋になって西田は今更ながら自分の選択を後悔し始めていた。ビジネスホテルのような簡素な部屋の中には、大きめなベッドが1つ。

「……こ、ここまで来てなんだけどさ、流石に本番とかするのってマズイんじゃ」
「なーに言ってんのさ、一緒に読んだじゃんあの本。それで同じ事シようってなったしさ」
「そ、そうだけど! あの本確かに凄いエロかったから場の勢いっていうか、そんなので言いはしたけどさ……!


 元の鈴木の姿だったら、流石に拒絶しただろう。だが生憎と西田にとっては、今の『彼女』は笑いつつもえっちなことをねだってくる女友達にしか見えない。手をひかれるままに誘導されて、あれよあれよと『そういう事』をするホテルにすんなりと入ってしまって。後ろから抱き寄せられると、『彼女』の柔らかい肢体の感覚が直に伝わってくる。背中を押されるようにベッドまで連れていかれて、ポンと放り出される。

「ぅわわっ……!」
「なぁ西田……俺、言ったよな……西田が女だったら付き合うし、朝から晩までずっとヤり続けるって」
「あぁ、言ったな」

 ベッドに仰向けにさせられた西田ジブン、そして向かい合う鈴木__ユキ__#は自分の上着を脱ぎ、ブラジャーのホックを手早く外しながら。スカートとショーツも、女の子らしからぬ乱暴な動きで脱ぎ捨てて。今朝、鏡で見た河内由紀の裸体が、自分に覆いかぶさってくる。

「お前は……どうなんだよ」

 一瞬真面目な表情で、顔を赤らめた由紀スズキがそう問いかける。──これは、非常に遠回しかつ弱気な告白の一種なのだろうか。この状況を、なんだか西田は面白く思い始めていた。男だと思い込んでいる女子に、セックスアピールをされて、そして今の自分は女になっている。もう、状況をどうにかしようと考えるのも面倒くさくなっていた。ただ、面白くて気持ちよくなれそうな方に流れる方が、愉しいだろう。

「……それ、告白のつもり?」
「ばっ……そんなんじゃ……!」
「ふふっ……♡ 分かったってば、好きにしたらいいじゃん……♡♡」

 ごくり、と可愛らしい顔を興奮に染めた由紀__スズキ__#は。

「……悪いけど、ゴムなんて持ってきてないぞ」

 思わず吹き出しそうになった。仮に持っていたとして、そのナニも無い股間のどこに着けるというのだろう。自分もスカートのホックを外し、ショーツをベッドの傍らに置いて。西田は相手をからかう。

「……ばーか♡♡ 早くシろよ♡♡♡」
「っ……♡♡♡」 

 恐る恐る、という風に。ぷくりと肉付きのあるおまんこを、『彼女』は由紀ニシダの股間にあてて。ぎゅうと、敏感なところ同士がくっつく。生暖かい肌の感覚、すぐ近くまでいる由紀の甘酸っぱい、どこか安心できる匂い。だが、覆いかぶさっている方の由紀__スズキ__#は、一瞬で余裕のない顔つきになる。

「っ゛っ♡♡♡ や、ばぁあ゛っ♡♡♡♡ 西田のマンコっ゛♡♡♡ すごい締め付けてクるっ゛♡♡♡」

 演技などではなく、由紀スズキにとっては本当にセックスしているように感じているのだろう。だが、由紀ニシダにとっては、秘所同士がこすれ合う、貝合わせの状態になっているだけ。もっとも、それだけでも股が疼くような気持ちよさは感じているのだが。

「そんなにっ……♡♡ すぐイッちゃいそうな顔するな、よっ゛……♡♡♡ んぅう゛っ♡♡♡♡」
「お前の膣内ナカ、がぁ゛っ♡♡♡♡ すっげえキモチイイからわるいんだろっ♡♡♡♡♡♡」

 蕩けた顔で、『彼女』がぱちゅ、ぱちゅんとピストン運動をする。綺麗な顔から涎を垂らしてしまうほど乱れて、勝手に感じているというのに、西田コチラは不完全燃焼のままだ。なんだか、少し不公平な気分になる。少し、要求をしてみた。

「ねぇっ……♡ 『オレ』の事も気持ちよくして……♡♡♡おっぱいも、揉んで欲しいなっ……♡♡」
「……そんな、おねだりされたらさぁ゛っ……♡♡♡ 我慢とか、できないぞっ……♡♡♡」

 手で支えていた由紀スズキの身体が、由紀ニシダの身体に乗る。重さは感じないし、顔同士が近くなって余計に由紀の感じている顔を見ることになってしまう。相手はカワイイ女の子なのだ。そんな彼女が、今息を荒くしながら『自分』のおっぱいを乱暴に揉みしだいている。自分で触っていた時よりも少し乱暴で、時々痛いぐらいの。でも、それが逆に焦れていた由紀ニシダの身体の熱を燃え上がらせる。

「んっ゛♡♡ どう、だよ゛っ♡♡♡ 『オレ』のおっぱいは♡♡♡ そ、そうっ♡♡♡♡ そのぐらい強く揉んでぇ゛♡♡♡」
「あ゛ぅぅう゛っ♡♡♡♡ 膣内ナカがっ♡♡♡♡♡ また、ぎゅぅうってっ゛♡♡♡♡♡♡」

 事実、性的な官能を覚えると由紀ニシダの身体はきゅん、と股が疼く。膣内もそんな風に動いているのだろう、『セックス』をしている由紀スズキは強烈な感覚に身悶えしているように見えた。そして、彼女の限界はあっけなく。

「ぁあ゛んっ♡♡♡♡ も、も゛ぅでるっ♡♡♡♡ 射精すぞっ♡♡♡♡♡ ぜんぶ膣内__ナカ__#にだすぞっ゛っ♡♡♡♡♡」

 甘い声で喘ぎながら。ぷしぃっ、と潮を吹く音。『射精』したのだ。身体のどこにも肉棒は無くとも、今のは間違いなく絶頂に至った感覚だろう、と外側から見ていた由紀ニシダはそう思った。がくり、と由紀スズキの全身がベッドに沈み込む。

「っはぁっ゛……♡♡♡ あぁ、やべぇ……♡♡♡♡ ハジメテなのにめちゃくちゃシてしまったっ……♡♡♡♡」
「…………オレはまだ満足できてないんだけどなぁ」

 今更のように照れるような表情をする由紀スズキだが、由紀__ニシダ__#は満足行っていない。せっかくこんな所にまで来たのだから、自分一人ではできない事がしたかった。そこで、『彼女』は思いつく。

「ねぇ……『オレ』のマンコ、弄ってくれないか? 例えばクンニとか……」
「え~……さっきまで自分のチンコが入ってたとこって考えるとちょっとなぁ……」
「むぅ、じゃあ代わりにこっちはフェラしてやるからさ♡♡」
「……ゴクリ、シックスナインってやつか……」

 最も、由紀スズキのペニスなど存在しない。お互いの顔が反対側に、そして互いのワレメが目の前にある状況。近くで見る、由紀のおまんこ。震える指で、そのワレメをゆっくりとこじ開けると、小さな陰核と淡いピンク色をした膣壁が露わになる。ドキドキしつつも、そのマンスジとクリトリスに舌を添わせる。

「っぁあ゛っ♡♡ 西田っ……♡♡♡ フェラ、上手い、なぁ゛っ……♡♡♡♡」
「……そっち、がっ♡♡♡♡ 勝手に気持ちよくなってるだけ、じゃんかぁっ♡♡♡♡♡」

 ほとんど同時に、お互いの舌先が秘部を舐めとる。ざらざらした下の表面の感覚が、由紀ジブンの鋭敏なトコロにじっとりと触れて。それまで以上に、おなかにきゅぅぅんと、疼きが走る。一瞬目の前がぼーっとするような、ふわりと何かに包まれて思考が止まってしまうような、そんな感じ。

「ぁ゛っ♡♡♡ ふゎぁ゛っ♡♡♡♡ んくぅぅ゛っ♡♡♡♡♡」
「はぁぅ゛っ♡♡♡ ひぅ゛っ♡♡♡♡ ぁ、ん゛んっ♡♡♡♡♡」

 西田の耳には、上ずった女の子同士の喘ぎ声しか聞こえない。重なる2人分の嬌声は段々と勢いを増して、それと同時にお互いへの攻めは乱暴に、そして勢い任せになっていって。堰を切ったかのような快楽に呑まれたのは、ほとんどどちらも同時だった。ビクッと身体が跳ね、アソコから勢いよく潮を吹きだす。

「ぃい゛っ♡♡♡♡ んぁあ゛ぅっ♡♡♡♡ ゃぁあ゛っ♡♡♡♡」
「──ぁ゛っ♡♡♡♡♡♡ ぁ……ぅ゛っ♡♡♡♡ はぁっ……♡♡♡ すげぇ射精__で__#たわ……♡♡♡♡」

 姉妹のような2人は互いの愛液を顔に浴びたまま。どちらもぜぇ、ぜぇと息をするだけで精一杯になって。それだけ、お互いに絶頂に至ったから。次の行為をするまで、しばらく横になったままになっていた。先に動いたのは『由紀スズキ』の方。
 
「そうだなぁ……さっきから俺ばっかり気持ちよくなっちゃってたし、代わりに手でほぐしてやるぞっ♡♡」

 くっついて背後から抱き留められ、裸のおっぱいが背中に当たる。全身が由紀に包まれて、一瞬ほんのりと温かい感覚。だが、さっきまで敏感になっていたクリトリスを指先でちょっと触られただけで、一度イった由紀ニシダの身体は再び甘い疼きに呑まれてゆく。

「んぁ゛っ♡♡♡♡ ゃ、ぁあ゛っ♡♡♡♡」
「……ふふっ♡♡ 今の西田、すっごいカワイイ顔してるぞ♡♡」
「やめっ……♡ 言うな、よぉっ……♡♡♡」

 女の子の柔らかい声で、そう囁かれる。指は膣をこじ開けて、どんどんと膣奥に進んで。後ろからくちゅくちゅと膣の内側を弄られると、ばちばちと脳が灼けているかのような錯覚。誰かに弄られるのがこんなにキモチイイなんて。

「かひゅっ♡♡♡ んぁあ゛ぅっ♡♡♡♡ しょこぉお゛っ♡♡♡♡♡ キてるっ゛♡♡♡ ひゅごぃい゛っ♡♡♡♡♡」
「ふふっ……♡♡ そんなにびちょびちょになるまで感じるなんて、すげぇなオンナの身体って……♡♡♡」

 同じ身体なのに、そんな事を言う由紀スズキ。抱き留められて、びくびくと身体を震わせることしかできない。呼吸するだけで精いっぱいなのに、背中の由紀はお構いなしにクリとGスポットをぐりぐりと擦る。

「やだっ♡♡♡ やだや゛っ♡♡♡♡ ちょっ゛♡♡♡♡♡ 止めろぉ゛っ♡♡♡♡♡」
「そんなに言ってさ……♡♡ もっと凄いの、感じたいんだろぉ……♡♡♡ 自分で弄ってみなよ……♡♡♡」

 股の気持ちいい感覚を無理やり誤魔化すように、乳首を強く抓る。痛みが一瞬でも理性を取り戻してくれるのではないかと。だが、それは無意味どころか、逆に快楽を強めることになる。

「ぁ゛あ゛っ♡♡♡♡ ひゃ゛んう゛ぅっ♡♡♡♡♡♡ おっぱいも゛っ♡♡♡♡ おまんこ、もぉお゛っ♡♡♡♡ ぎもぢぃい゛っ♡♡♡♡♡」
「ふふっ♡♡♡ ほら、イっちまえっ♡♡♡♡」
「────ぁ゛っ♡♡♡♡」

 ぐりゅん、と世界が回ったような。視界が思わず、上を向く。意識が無理矢理引き上げられてしまうかのような、異様な感覚。今の自分の状況がわからなくなる。自分を内側からかき混ぜられて、無理やり上に昇らされている。なにも、かんがえられない。キモチイイの暴力だけが全身を襲って。
  
「ぁ゛っ♡♡♡♡ ぃひゃぁあ゛ん゛んっ♡♡♡♡♡ んぅう゛ぅう゛ぁぁっ♡♡♡♡♡♡」

 自分の身体が思うように動かないまま。『由紀ニシダ』の身体はなんども痙攣するかのように震え、甲高い少女の喘ぎ声を漏らして絶頂した。その感覚は強く彼女の脳に刻み付けられて。──こんなの、狂ってしまう。こんな快楽を識って、今更元の男になんて戻ろうなどと、そんな事を考えることはできなかった。

「ふふっ……♡♡♡ 凄いイきっぷりだったぞ、西田っ……♡♡♡♡ なぁ、オレもそろそろ、もう一回シてもいいか……?」

 背後で『由紀スズキ』が動く。これから、幾度となく『彼女』と交わるのだろうと、どこか『由紀ニシダ』は悟る。それも悪くない。こんなに心地よくて、ふわふわして、他の何も要らないと思ってしまうぐらいに、気持ちいいのだから。──無言で、由紀を受け止める。

────────ホテルでの交わりは、しばらく続いたのだった。
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