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しおりを挟むソファにふんぞり返り、ひじ掛けに腕を乗せて頬杖をつく碧音君はまるで王様。
そんな姿も様になってます。
つい興奮して、パスタにかけるカルボナーラのソースを床にぶち撒けてしまうところだった。危ない、危ない。
気をとり直し、均等にソースをかけ、更にブラックペッパーを振りかけていく。
「あー涼しいなぁ、最高」
星渚さんがわざとらしく、皐月に涼しげな表情を見せつける。
「ずるいぞ!こっちにも風を当てろ」
「やーだね」
「勝負したのが自分の浅はかな考えだったって、反省すれば」
「碧音君?言葉をオブラートに包んで言えないのかな?」
「じゃんけん弱い自分を認めればこうはならなかったかもな」
「ちげえよ!逆にストレート過ぎるわ」
ああもう、2人共面白い。碧音君が静かにさらっと毒舌を吐き、皐月が負けじと言い返す。
「ほらほら皆さん、ご飯出来あがりましたよ!」
テーブルに出来あがったカルボナーラとフォークを並べる。
「碧音も本当は扇風機に当たりたいんじゃねえの?けど痩せ我慢してんだろ」
「……、え?」
「本気で“何言ってんの?”って顔すんなよ!実際我慢してるだろ分かるんだぞ」
「はいはい、皐月も碧音も、一旦終了。飯出来たってさ」
藍さんが仲介に入り、早くご飯を食べようと促してくれる。さすがです、藍さん。星渚さんも扇風機の前から移動して、透明な椅子を引いて座った。
「今日は藍さんのリクエストで、カルボナーラを作りました!」
「ありがと、明日歌ちゃん」
湯気が上がる出来たてカルボナーラを覗き込み、皐月が目をキラキラさせる。
椅子が3人分しかなかったので、碧音君か押し入れから持ってきてくれた予備の椅子に私も座った。
奥から右の列は星渚さん、碧音君で、左の列は藍さん、皐月、私の順で席に着く。
「カルボナーラって家で作れるんだな!」
「お店のレベルまでは全く出来ませんけどね」
「これで十分でしょ。明日歌ちゃん、いただきまーす」
「どうぞ」
皐月はフォークで巻き取ったパスタを大口を開けて食べ、星渚さんはマイペースにゆっくり食べ始める。
星渚さんが食べてると、何故かここがお洒落なカフェに思えてくる。
「明日歌ちゃん、カルボナーラ美味しいよ」
「味つけも完璧だよねこれ」
藍さん、星渚さんが満足気に微笑んでくれてほっとした。
「碧音君も食べてみて。今ならあーんして食べさせてあげることも可能」
「自分で食う」
碧音君はフォークに綺麗にパスタを巻きつけて、パクリ。
「……うまい」
「よかった、美味しいって言ってもらえて」
碧音君にも合格をもらえたから安心して自分も食べられる。
あまり時間は経ってないのに4人共既にパスタを半分以上食べ終えているため、私も食べることに専念。
あんなにマイペースに食べていた星渚さんも完食に近い。碧音君も手を止めることなく食べてくれているので、嬉しい限りだ。
言わずもがな、『ごちそうさま!』と1番早く完食したのは皐月。
「藍さん、片付けは私がやるので練習していてください」
「ほんと?」
皐月よりも直ぐに席を立ち、お皿をスポンジで洗おうとしていた藍さんを止める。
「明日歌ちゃん、家政婦に向いてんじゃない?」
「家政婦ですか?初めて言われました」
星渚さんにも『将来は家政婦かー、似合うかも』なんて、冗談を言われる。
「俺はお前みてえな家政婦、間違っても雇わねえ」
「あははっ、大丈夫ですよ私も皐月のとこで働きたいとは思いませんから」
「お口が達者なようですね?ん?敬語だと余計ムカつくわ」
「い、いひゃっ」
皐月が意地の悪い笑みを顔に張り付け、いきなり私の頬を引っ張ってきた。痛いから!手加減なしで全力だよね?
「す、すみはへん」
びよーん、頬を伸ばされた状態で喋っても上手く言えない。
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