群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「明日歌ちゃん、こっち向いて。写メ撮って菜流に送るから」

「ふさけないでくははい」

「ふっ、皐月止めてあげな。明日歌ちゃん女子なんだから」

藍さん、口ではちゃんと注意してますけど、絶対笑いこらえてますよね。

「……ふっ、ははっ」

同時に肩を揺らし口に手の甲を当てて、くしゃりと顔を崩し笑うのは―――――碧音君。う、嘘。

碧音君がこういう笑い方してるの、初めて見た。見下し蔑んだ笑みでもなく、意地の悪い笑みでもない。純粋な笑顔。

自然に笑った表情は年相応で、少し幼さが残っている。

「……あほひ君」

思わず声をかけると、碧音君ははっとしたようにまた元の無表情に戻ってしまった。ええー、残念。

「………練習、行こ」

「おう!腹ごなしも出来たし!」

「明日歌ちゃん、美味しかった。片付け頼んでごめんな」

「いえいえ。練習頑張ってください」

碧音君が皐月の背中を控え目に押して部屋から出ようとする後ろを、藍さんが着いていく。

「やることやったら練習見に来なよ~。地下室行って直ぐ左側の部屋だから」

「じゃあ残りの宿題終わったら行きますね。碧音君、そこのテーブルでやってもいい?」

「好きに使って」

星渚さんと碧音君が最後にリビングを出て、練習しに地下室へ向かった。

「よーし」

片付けますかね。キッチンに立ち、スポンジに洗剤を付けて1皿ずつ洗う。皆綺麗に食べてくれたから、お皿にあまり汚れが残っていなくて楽。

お皿を割らないように注意しつつ泡を水で洗い流していく。何だこれ、私本当に家政婦さんの気分になってきたぞ。

皆のお母さん代わりっぽい。でも皐月に言ったら『失笑』って鼻で笑ってくるんだろう。水気をきり軽く拭いて食器棚の中に戻した。

食器の片付けは終了、次は課題に取りかからなければ。

――と思っても、やはりこの自分の家とは大違いの部屋が気になりつい眺めてしまう。

まるで知らない土地に足を踏み入れたような新鮮且つ、落ち着かないそわそわした感覚。

ソファの近くにあるオフホワイトのCDラックには、何十枚ものCDが収納されていて、そのアーティストは殆どロックバンド。

年代物が所々混じっているということは、碧音君のお父さんが集めたものなのかも。親子揃って同じ趣味かー、楽しそう。

そしてCDラックの横には、写真立てが3つ。何の写真かな、なんて腰を屈めて覗くと。

「っ……か、かわ!!」

可愛い!写真を見た瞬間、衝撃が走った。天使のように可愛らしい。

中央に飾ってある写真は、お父さんとお母さんに挟まれ、照れくさそうにはにかんだ碧音君が。

もう、取り敢えず可愛過ぎてどうしよう。女の子と見間違われてもおかしくないよこれ。

今よりも全然幼い顔立ちからして、小学5、6年だと思う。

お父さんは強面だけど、お母さんは優しそうで雰囲気が丸い人。

「それにしたって……」

写真の碧音君には、今の冷徹なオーラは微塵もなく、年相応の可愛らしさがある。

何故天使からドSになってしまったのだろうか。

そして左隣の写真は、碧音君が制服を着て舞い散る桜の花びらを背景に、校門の前に立っている写真。

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