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しおりを挟む「すごい良かったです!」
思わず立ち上がり、拍手を送ってしまう。パチパチパチ、私が手を叩く乾いた音が静かな室内に響き渡る。
「お前いたのかよ」
「途中からいました!」
皐月、やっぱり気づいてなかったみたいだ。
「どう言ったら良いのか分からないんですけど、こう、胸がぎゅーってなって。心が揺さぶられました」
的確で上手い言葉が直ぐに浮かばないので、身ぶり手振りで伝える。
「ったりめぇーだろ!俺らの曲だかんな」
「明日歌ちゃーん。あんまり褒めるとこいつ調子乗るから」
皐月の頭をバシバシ叩く星渚さん。私からすれば大人な皐月も、星渚さんと比べたら子供に思えてくる。
意外と1歳年上ってだけで、違うよね。
じゃれてる2人から視線を逸らし碧音君に移すと、『あっつ』と呟き服を摘んでパタパタ空気を送り込んでいた。
「あ、碧音君今直ぐストップして!パタパタするの止めて!!」
両手で顔を覆い隠す。
「は?」
「危ないよ碧音君!もはや犯罪級だよそれ。暑さでほんのり頬が赤くて首筋に汗が伝い、とどめに惜し気もなく晒される鎖骨!危ない」
「お前の思考が危うい」
「てめぇの変態度合いにどん引きだわ!」
皐月しょうがないんです、こればっかりは。碧音君の色気度数が半端なく上昇していて、私には刺激が強すぎる。
「明日歌ちゃん、顔真っ赤ー。純情」
「いやだって!碧音君が色男なんですもん!」
うわー、顔熱い。手で扇ぎ、火照った顔を冷ます。
「はは、碧音色男だってさ」
「褒められても嬉しくない」
碧音君は眉間に皺を寄せ、むすっとした表情。
「たっくよー。お前のコントにつき合ってる暇はねぇんだよ!他所でやってこいや」
「コントしてるつもりありませんけど!いたって真面目ですけど」
「大体、碧音だって確かに色男だけどなあ、俺の方がモテるんだっつーの!」
「皐月のどこら辺が色男なんですか?私分かんない」
「てめぇ年上バカにするとは良い度胸してんじゃねえか!俺がどれだけモテるか知らねえだろ。3、4ヵ月に1回は告られるレベルだからな!」
「リアルだなおい。でも碧音君は、その上をいく色男なんです」
バチバチ私と皐月の間で火花が飛び散る。星渚さんと碧音君はどうでもいいと言わんばかりに、別の話で盛り上がっていた。
「高校の文化祭の時なんかな、告白ラッシュだったんだぞ。ミスター候補の常連だったんだからな」
それならうちの高校にもある。誰が高校の中で1番格好良い男子なのか、1番可愛くて美人なのかを決めるイベントだ。
「くっ……それはすごい!」
「ほら、2人共終了。皐月も明日歌ちゃんも落ち着こうか、な?」
未だ猫のようにシャーッ!威嚇し合っている私達の間に入りケンカを止めるのは、1番精神年齢が大人な藍さん。
「ごめんなさい、藍さん。私としたことが。反省してます」
「急に真面目ぶったって無意味だろ」
こんな私と皐月を見て藍さんは兄妹みたいだねと、微笑んでいた。
私も皐月もこんなやつと兄妹なんてごめんだと火花を散らす。
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