群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「ドリア、2人で食べました?」

「……食べたよ」

「本当ですか?!」

良かった、自分のしたことが無駄じゃなくて。若干の間があったのは気づかないフリをしよう。

「……兄貴が言ってた女の子って」

「はい!私が作りました!」

勢い良くビシッと手を上げる。

そしたら結人さんに『取り敢えず手ぇ下ろそうか。周りの目気にしような?』とやんわり手を下げられた。

「すみません、嬉しくて」

「うまかったよ。あれ」

「いやいや」

「ほんとだって。一口しか食ってないけど」

そんなサラリと皮肉を言わないでください。でも食べてくれたなら嬉しい。デレデレして緩んだになる。

「お粗末様です」

「こちらこそ、ご馳走様でした」

お互い改まって言った言葉に、おかしくて笑ってしまう。

「今度また作ってよ」

「私なんかで良ければ」

言葉を交わしながら思う。結人さん、女の扱いに慣れてる気がする。

絶妙な距離感の保ち方や、女の人が言われて嬉しい台詞を自然に言ってのける感じが。

確信犯だったりして。なんて考えつつ、前を見やる。

あの2人は先に信号を渡りきっていて、向かいの道路で私達を待ってくれていた。

何やらスマホの画面を見て談笑している様子。

金髪さんがダークブラウンさんに一言二言話すと、足をダンッ!!靴で踏みつけられていた。

何あれ面白い。金髪さんの表情が、痛さを物語る。そりゃ痛いよね、容赦なかったもんね。

漸く信号が青になり、歩道を渡って2人の待つところへ。

ああ、ライブのために並ぶ列が見えてきた。

「晃太、待たせ過ぎて怒ってるんじゃね?」

「連絡しておいた」

「お!さすが日向」

どうやら結人さんは4人でここに来ていたようだ。

友達に列に並んでおいてもらって、自販にジュースを買いにきていたのか。

明らかにソワソワして浮き足立って並んでいる人達を追い越していく――と。

「おい!ここだここ」

短髪の人が大きくこちらに手を振ってきた。

「晃太ー!」

そして金髪男子もそれ以上にブンブン手を振り返し、友達の元へ駆けていく。

「俺が男1人で並んでた気持ち考えろ!ちょっといたたまれなかったんだぞ!」

「まあまあ」

ダークブラウンの人が、短髪のいかにも体育会系な男子の肩に緩く腕を回して宥める。

「じゃあ、私はこれで。もっと前に並んでるので」

「そっか。またね」

「……あの、ですね」

歯切れ悪く話を切り出す。ダメだ、怯むな自分。

「何?」

最後に1つ、結人さんに言っておきたいことがあるのだ。

「藍さんのライブ、観てあげてください!私がこんなこと言える立場じゃないし図々しいのは分かってるんですけど」

「……」

結人さんは観たいって思ってないのは、重々承知だ。

「少しでも良いので、聞いてもらえませんか?藍さん、頑張ってたので」

藍と結人さんが仲が悪いってことを知らないふりして、『midnight、良いですよね。レベル高いし聞かないと損ですよね』と然り気なく伝えるだけじゃ、多分、というか間違いなく聞いてもらえないだろう。

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