群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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だから、直球勝負で言わせてもらう。

やっぱり、こういう機会が無ければ結人さんは藍の演奏している姿を全く見ないと思うから。

今回の偶然は、凄くラッキーなこと。このチャンスを活かさないわけにはいかないんだ、私としては。

「ファンとしても、観てくださると嬉しいです!」

「……、考えておくよ。そんなに女子に頼まれたら、ね」

「本当ですか?!約束ですよ。ではこれで失礼します!」

クルリ、前を向いて『早く戻ってこいよ』と怒っているだろう菜流の待つ場所へダッシュして行った。




――――――――――


―――…………



「菜流ー!ごめん」

「ちょっと、遅い。もう列進んでるんだから」

ということは、入場が開始されていたんだ。

結人さん達と話していたら、時間を確認するのを忘れていた。

「お茶買うだけでこんな時間かかる?」

「ごめんごめん、ちょっとね。はいお茶」

「ありがとう」

どうして遅れたのかは曖昧に誤魔化して、ミニペットボトルを手渡す。

一旦列が進み始めると早いもので、一気に会場入り口まで近づけた。中の様子も少し伺える。

「いよいよだね、明日歌」

「走って前の方に行こう!」

お互い顔を見合わせ、よし!と気合いを入れる。

入り口まで後10メートル、8メートル、3メートル。

「押さないようにー。走らないでください!」

スタッフの注意を聞きながら、ついに会場内へ足を踏み入れた。

「行くよ明日歌」

「オッケーです!」

走ってはいけないので仕方なく、これでもかという程の早歩きでお目当てのステージへ向かう。

やはり会場はたくさんの観客で埋め尽くされ、ザワついている。

上手く人の間を縫っていかないと、足止めされてしまう。

「明日歌、こっち」

「わー、はぐれる」

私の前を歩く菜流に、迷子にならないように着いて行く。そして数分後、第1ステージへ到着。

会場内には2つのステージが設けられていて、観客は各々どちらか好きな方のステージへ行きライブに参加するのだ。

「前に来れたね」

菜流的には、今の位置が良いポイントのようだ。

バンドと観客の距離が近い。

そこまで大規模な会場じゃないからステージも2つで、普通はスタンディングゾーンやシートゾーンがあるけど、ここは前者のみ。それでも十分広いけど。

「はじめライブするバンドの名前何だっけ?」

菜流が見ているパンフレットを覗く。

「BLACK、最近活動し始めたバンド。でもこのイベントに出られるくらいには、実力あるよ」

「さすが、情報通!」

「星渚のライブ観に行くと、必然的に他のバンドのライブも観るじゃん?だから覚えちゃうんだよねえ」

碧音君達のバンド以外は興味ないと言っていた菜流も認めているんだから、BLACKのライブが俄然楽しみになってきた。

菜流から他にもバンドについて聞いていると、開始の合図が。

―――――いよいよだ。

『きゃー!』『BLACK!』観客のボルテージも演奏前だというのに、最高潮。バンドのメンバーは20代前半くらいで若い。

「BLACKで、Breaking!」

どんな歌なのか、一心に耳を傾けた。


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