群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「夏休み中に、市の高校生の軽音部が集まって演奏するイベントがあるんだって。それに出るために練習してきたんだけどさ、ドラム担当の3年生が腕を痛めちゃったらしくて」

今回のイベントは秋にある文化祭のための予行練習みたいなもので、無理に出て悪化させても意味がない。

じゃあ2年がやれば良いのでは?でも2年の先輩も自分の曲で手一杯。

1年は?それも、まだまだ初心者でとてもじゃないけど無理。

だからって諦めるのは悔しい。この状況で困り果てた友達にダメもとで聞かれたのだ。

『誰かドラム出来る人知らない?』と。

色々な人に聞いて回っているが、今も誰も見つかっていないようで。

「だから、碧音君に頼めないかなって」

一通り説明し終わると、碧音君は別段表情を変えるわけでもなく。

「無理」

「そ、そこをなんとか。メチャクチャなお願いだって分かってるけど、どうにかしてあげたいじゃん」

ほとほと困っている軽音メンバーの気持ちを思うと、胸が痛い。

「そもそも、イベントっていつやるんだよ?」

「…………6日後です」

「はあ?」

鋭い声にヒィィイ!となりながらも諦めずに頼み込む。

「6日しかないからこそ、頼みの綱は碧音君なんだよ。6日で仕上げられて、尚且つ上手なドラマーは!」

碧音君ならはっきり言って3年の先輩よりレベルは高いのだから、軽音のメンバーも反対することはまずない。

「いくらなんでも無理あんだろ。俺、そいつらと1度も演奏したことねえし」

う~ん、と2人で考えていると。

「2人共、真剣な顔してどうしたんだ?」

「ケンカでもしたー?」

「ケンカなら毎回してんじゃねえか」

納得のいくまで練習して戻ってきた3人。

「それがね」

碧音君にした説明と同じように経緯をあーでこーでと話した。

「なるほどねえ」

「友達、困ってるんだもんな」

折角の休憩時間に申し訳ないです。

「碧音、やってやれよ。6日もあれば出来るだろ」

皐月が碧音君に肩を組む。

「刹那、これも良い経験になるんじゃない?」

星渚さんも肯定的。3人は数日で完成させるということには然程驚いていない。

皆、碧音君ならやれると確信があるからだ。碧音君はまだ答えを決めかねている様子。

「碧音君、お願い。必要なの、碧音君が」

下げた頭をそろり、上げてみると目の前の彼は面食らったような表情をしていて。

「……せーつな」

「やってあげたら?」

藍が碧音君の頭にポン、手を乗せる。

「……、やれば良いんだろ」

「ほっ、ほ本当?!」

「やってやらなくもない」

「ありがとう!助かった。友達に知らせるね。絶対喜ぶよ」

早く連絡しなきゃ、急いで携帯を取り出して電話する。

その間。


「……必要、だって」

碧音君がポツリ、含みのある言葉を呟いたことは、知らなかった。



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