群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「先輩、この子が電話で伝えた橘明日歌ちゃんと刹那碧音君です」

夏休み真っ只中私の学校へ碧音君を連れてきて、バンドのメンバーに対し友達に紹介してもらっている。

隣でピリピリしたオーラを放つ碧音君に『皆怖がるから嘘でも笑え』とお願いしたくなるが仕方ない。

朝早くから来てくれたのだから。

「刹那君に、白石先輩の代わりとして出てもらいます。詳しいことは、事前に連絡した通りです」

友達の結花ちゃんがチラッと碧音君に目配せすると、コクリ。小さく頭を下げた。

「碧音って、やっぱmidnightの碧音だよな?!」

黙っていた3年の先輩のうちの1人が、興奮したように一歩前に出る。

「そうですけど」

「うっわ、まじか!俺好きなんだよね」

すげえすげえ、感動した様子で目を輝かせている。

先輩、碧音君めっちゃ引いてます。年上に対してでも愛想笑いとかしない子なんですすみません。

「岡谷、知ってるの?midnightって?」

ストレートで黒髪の先輩が、気まずそうに聞く。

本人がいる前で言いにくい質問だからだろう。

「雨宮、知らねえの?!よくライブのイベントに出てて、人気のバンドじゃん。俺憧れてんだ」

へへっ、と気さくに笑う。それを聞いて他の先輩からも感嘆の息が溢れた。

「それじゃあ、メンバー紹介するね。私がボーカルの雨宮。君のファンだって騒いでる奴が岡谷でベース。ギターが吉野、ドラムが白石」

構成人数はmidnightと同じ。でも、先輩達の方が派手でいかにもロックバンドという感じだ。

髪色だって、校則を完全に無視。

「リーダーはボーカルの私。よろしく」

「どうも」

碧音君、果たして先輩達の名前を覚える気はあるんだろうか?否、なさそうで心配。

「橘さんも、協力してくれてありがとう。本当に」

「いえ、私は何も。碧音君のおかげです」

雨宮先輩に抱き締められつつ、言葉を返す。先輩って意外とスキンシップ激しいんだね。

クールな姉御肌だと思っていたから、驚きだ。

「刹那君。俺が腕を痛めたせいで、無理言って悪かった」

モカブラウンの頭を下げ、白石先輩が申し訳ないと眉根をハの字にする。

「頭上げてください。自分でやるって決めたんで」

さすがの碧音君も少し慌ててフォローに入る。初対面の先輩に謝られたら誰だってそうなるよね。

「分からないとこあったら、遠慮無く言ってくれ。俺にはそれくらいしか出来ないから」

「はい」

白石先輩がギュッと手を握る。

そう、先輩が1番悔しくて悩んでいたのだ。自分がドラムをやりたいのに、任せるしかない。

でも自分がやれる精一杯の手伝いをやろうと決めた先輩は、強いと思う。

「あの先輩、私練習が……」

「ああ、ごめん。行っていいよ結花」

おずおずと声を発した結花ちゃんに雨宮先輩が頷いて片手を上げる。

「明日歌ちゃん、またね」

「うん。練習頑張って」

ポニーテールを揺らして、スルリと教室から出ていった。


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