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しおりを挟む人にはそれぞれ他人に打ち明けたくない、一線を引いてるテリトリーがあるはず。
でも藍は、比較的そういうのが無い人だと勝手に判断してしまっていたようだ。
「だから、様子みて接してあげて」
「私……、ごめんなさい」
危うく藍を怒らせて傷つけてしまうところだった。皐月と星渚さんが止めてくれて、良かった。
曲をチェックするために私の腕を掴んだのではなく、本当は藍の元へ不用意に行かせないために。
「分かったらパターン選びすんぞ」
「うん」
星渚さんも碧音君も皐月も、人との距離のおき方を知ってる。見習わなきゃいけない、私は。
反省しながら皆と曲の幾つかのパターンを聞いていると休憩室のドアがギギィ、音をたてて開いた。
「なんだ、もう練習再開してると思ったのに」
「今曲の構成決めてるよー。藍も聞く?」
「ああ。聞かせて」
星渚さんが碧音君側に寄り1人分座れるスペースを空ける。
電話していた時とはうって変わり、優しく穏やかな空気の藍。その様子を見て、私も変に意識せず普通にいようと決めた。
「俺、1番目のやつがいい」
全て聞き終わると碧音君が迷いなく即答。碧音君、こうなった時は絶対に意見変えないよね。
「俺も刹那と同じ。皐月は?」
「2番目!ぜってえ2!」
おっと、ここで皐月が2番と主張。ストレートには決まらなかった。
「私は2番目で。1番も格好良いけど直感で2」
「変態ともたまには意見合うもんだな!」
「ケンカ売ってるのか」
私も2番目を選択。
多数決で決めるなら今は引き分け状態、残る藍の1票がどちらかに入れば決定となる。全員が藍の答えを待つ中。
「………1番目が良いと思うよ」
軍配は1番を選んだ碧音君と星渚さん、藍に。
「藍、男なら2番を選べよ!男は潔く2番一択だろ?!」
「は?関係ないぞ。それ」
「いやいや、2の良いところはな?」
皐月が藍に飛びつき2番の良さを饒舌で喋る。そのせいで3人がけのソファが狭くなり星渚さんと碧音君が皐月にブーイングをとばす。
「皐月邪魔お前の座る場所はそこ」
「そこって床じゃねえかふざけんな碧音」
「暑苦しいよー皐月」
「俺は暑苦しくねえ」
星渚さんは『バカは困る』と舌打ち混じりに吐き捨て、空間が空いていた私が座るソファへ避難してきた。
賢明な判断だよね。
「ちょ、皐月いい加減離れて」
「本当は離れたくないく、せ、に」
「はははっ。裏声止めろって」
ああ、これが彼らなりの接し方なんだな。特別気にかけて心配してあげるんじゃなく、様子をみつつ普段と変わらず過ごす。
藍もこうして今は楽しそうに笑ってる。
――――――けれど、事態は時を待たなかった。
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