群青の夏、僕らは明日を願った。

青葉はな

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「どんな話題でもいいから会話が続くといいんだけど」

「いざ話しかけるとぎこちなくなって、一言二言で終わる」

「次は頑張って5回言葉のキャッチボールしてみよう」

一歩一歩が小さくて道のりは長そうだけど、お父さんとお母さんとはこれでも良くなってきてる。

「それで、弟君は」

「……まだ」

「焦らず、やっていこうね」

春の細い指が、やんわり俺のそれに絡まった。慰められてる。

「話したくても、家にいないからさ」

「昔の藍よりも家出少年だ」

俺も中学の時はわざと帰りの時間を遅くしたり休日もブラブラ外を出歩いていた。

でも結人は俺以上に酷い。

深夜に戻ってくることもあれば、朝になっても帰ってこないことなんてザラだ。

どこで何をしているのか見当がつかず、危ない道に逸れてないか心配になる。

未成年が手を出してはいけない、犯罪じみた行為をしていないだろうか。

結人がこうなってしまったのも、俺のせいだ。俺が、結人のS O Sに昔気づいていれば。家族を壊すトリガーを弾いたのは自分。

「藍、おーい」

「……わっ。ごめん」

思考の海に溺れていた。

「藍、抱え込み過ぎないで」

「大丈夫、大丈夫」

「藍が大丈夫って2回言った時は、信用出来ません」

前にもそれと似た台詞聞いたな。

「春には何でもバレるね」

「エスパーですから」

魔法をかけるポーズをして得意気な顔をする春。エスパーってそんな変な手の動きしなくね。

春って偶に天然発揮する。

「もし今日弟君が家にいたらその時はファイト」

「今日こそ帰ってくるように祈っとく」

春のホッとする柔らかい笑顔を見て、元気が出た。



――――――――――


―――……




時刻は夜の23時。

まだ結人は帰ってきていない。徹夜で待つ覚悟でいるけど、結人に会える保証はないのだ。

あいつ、ちゃんと勉強してんのか?休まず授業受けてる?

頭を悩ませている間にも時刻は12時を回り、あと数十分で1時になるというところで―――ガチャ。

玄関のドアが開く音が響く。

「結人!」

急いで玄関に行き『お帰り』と言ったけど、結人は俺がいないかのようにスルリとリビングへ入ってしまった。

けど、これくらいじゃめげない。

「結人、お帰り」

「……」

「ただいまは?」

「……」

苛ついた表情も見せず、グラスに水を注ぎ飲みほすとすぐに2階へ行こうとする。ここで引き下がっては、結人との距離が縮まらない。

「待てって」

控え目に制服のYシャツの袖を引っ張った。

「……結人?」

引っ張った反動で必然的に振り返った結人の顔が、青白かった。

「邪魔」

僅かに顔を歪め、言葉を落とす。

「お前、顔色悪いぞ?」

「………」

血の気を失っていて、やつれている。まともに食事も睡眠も摂っていなかったのか。

調子悪いのが一発で分かった。

「手」

鋭く光る目が『その手を離せ』と語っている。でも放したらお前、自分の体の状態なんか気にせず無茶するだろ。


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