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遺産相続
怪しい小学生
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(うわー、凄い家だな)
童士は、山村虎臣の邸宅の門の前に立っていた。
車2台が余裕ですれ違える程広い門扉は、頑丈そうな木製で、天井隅の監視カメラが不審者立入禁止と言ってるようだった。
正門から左右を見渡せば、高い塀が遠くまで延びている。その上からは高い木が頭を出していて、林の様に緑で覆っている。
童士は、門の横にある出入り戸側のインターホンを押した。
「はい、どちら様でしょうか?」
籠った声が響いてきた。
「僕は、舞鼓童士と言います。山村虎臣さんから呼ばれて参りました」
童士は、背伸びしてインターホンに喋った。
「山村虎臣は、昨日亡くなりましたが」
「ぼく、変な遊びはしないで学校に行きなさい」
小学生がおかしな事を言ってると、相手にされないのは分かっていた。
童士は、ポケットから紙切れを出すと、そこに書かれている番号を電子ロックに打ち込んだ。
予め虎臣から聞いていた番号をメモしてあったのだった。
電子音がなってロックが解除されると、金属のドアを押し開けて中に入った。
和洋折衷の豪華な家屋の前まで広々と石畳が続いており、その両サイドは芝生が敷かれ、芝生周囲は大小の庭木が囲っていた。
家の玄関前には黒い高級車が3台停まっている。
その一台に、背広姿の男が羽根ブラシをかけていた。
男は、田中という名前で、山村虎臣の送り迎え運転手を30年間やっていた。虎臣が倒れてからは、長男の山村幸一の車運転手として勤めている。
その田中が、家屋玄関前に見たことの無い小学生ぐらいの男の子が歩いて来たのを見つけたので、その子に駆け寄った。
「君、どうやって入ってきたんだ」
「見たことないけど、間違って入ってしまったのかい?」
「いえ、僕は、山村虎臣さんに呼ばれて来たのです」
「会長から?」
「それは、何時の話だい?」
「今朝です」
「今朝?会長は昨日亡くなったんだよ」
「嘘を言っても駄目だよ。さあ、帰りなさい」
そう言うと、田中は童士の肩を掴んだ。
「田中、誰に向かって物を云っておる!」
童士が、田中に向かって怒鳴った。
「えっ、な、なに?どうして私の名前を?」
「わしだ、虎臣だ、小百合ちゃんは大きくなったか?」
「か、会長!孫の名前まで知ってる。しゃべり方もそっくりだ」
「田中、お別れを言う機会が無かったな。30年間、世話になったな」
「え、本当に会長?」
田中は、戸惑った。
躊躇する田中をしり目に、童士は、「また、勝手に出てきて」と言いながら玄関のドアを開けて中に入った。
遺言書の公表は、奥の洋間で行われていた。
長テーブルの両側のソファーに、虎臣の三人の息子とその妻達が陣取り、奥に弁護士の山下が、手前のソファーに立川桜子とその娘の萌萌が座っている。
既に、遺言書の開示は行われており、三人の息子達には、ほぼ均等に遺産が分配されていた。
それには、彼等は多少の不満はあったがまあまあ納得の範囲であった。
それよりも、腑に落ちない蟠りが生じていた。
彼等が欲しがっていた超優良株の爽藾商事の株式を分配されたのは親族でもない桜子だったからだ。
時価にして約1億円になる。
童士は、山村虎臣の邸宅の門の前に立っていた。
車2台が余裕ですれ違える程広い門扉は、頑丈そうな木製で、天井隅の監視カメラが不審者立入禁止と言ってるようだった。
正門から左右を見渡せば、高い塀が遠くまで延びている。その上からは高い木が頭を出していて、林の様に緑で覆っている。
童士は、門の横にある出入り戸側のインターホンを押した。
「はい、どちら様でしょうか?」
籠った声が響いてきた。
「僕は、舞鼓童士と言います。山村虎臣さんから呼ばれて参りました」
童士は、背伸びしてインターホンに喋った。
「山村虎臣は、昨日亡くなりましたが」
「ぼく、変な遊びはしないで学校に行きなさい」
小学生がおかしな事を言ってると、相手にされないのは分かっていた。
童士は、ポケットから紙切れを出すと、そこに書かれている番号を電子ロックに打ち込んだ。
予め虎臣から聞いていた番号をメモしてあったのだった。
電子音がなってロックが解除されると、金属のドアを押し開けて中に入った。
和洋折衷の豪華な家屋の前まで広々と石畳が続いており、その両サイドは芝生が敷かれ、芝生周囲は大小の庭木が囲っていた。
家の玄関前には黒い高級車が3台停まっている。
その一台に、背広姿の男が羽根ブラシをかけていた。
男は、田中という名前で、山村虎臣の送り迎え運転手を30年間やっていた。虎臣が倒れてからは、長男の山村幸一の車運転手として勤めている。
その田中が、家屋玄関前に見たことの無い小学生ぐらいの男の子が歩いて来たのを見つけたので、その子に駆け寄った。
「君、どうやって入ってきたんだ」
「見たことないけど、間違って入ってしまったのかい?」
「いえ、僕は、山村虎臣さんに呼ばれて来たのです」
「会長から?」
「それは、何時の話だい?」
「今朝です」
「今朝?会長は昨日亡くなったんだよ」
「嘘を言っても駄目だよ。さあ、帰りなさい」
そう言うと、田中は童士の肩を掴んだ。
「田中、誰に向かって物を云っておる!」
童士が、田中に向かって怒鳴った。
「えっ、な、なに?どうして私の名前を?」
「わしだ、虎臣だ、小百合ちゃんは大きくなったか?」
「か、会長!孫の名前まで知ってる。しゃべり方もそっくりだ」
「田中、お別れを言う機会が無かったな。30年間、世話になったな」
「え、本当に会長?」
田中は、戸惑った。
躊躇する田中をしり目に、童士は、「また、勝手に出てきて」と言いながら玄関のドアを開けて中に入った。
遺言書の公表は、奥の洋間で行われていた。
長テーブルの両側のソファーに、虎臣の三人の息子とその妻達が陣取り、奥に弁護士の山下が、手前のソファーに立川桜子とその娘の萌萌が座っている。
既に、遺言書の開示は行われており、三人の息子達には、ほぼ均等に遺産が分配されていた。
それには、彼等は多少の不満はあったがまあまあ納得の範囲であった。
それよりも、腑に落ちない蟠りが生じていた。
彼等が欲しがっていた超優良株の爽藾商事の株式を分配されたのは親族でもない桜子だったからだ。
時価にして約1億円になる。
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