つつ(憑憑)

九文里

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冬の雀

道に迷った男の子

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 小学校からの帰り道、川の横を童士は一人で歩いていた。
 右手側は住宅街であるが、左側の川の向こうは土手になっていて、その下の方に住宅がひろがっている。
 ふと前を見ると不審な動きをしてる男の子がいた。童士よりも小さな、小学校1年生ぐらいの子が、心細そうにして、キョロキョロと辺りを見回している。
 
「どうしたの?」
 童士がその子の側に寄り、尋ねた。
 男の子は、童士を見上げてソワソワしながら答える。
「あ、あの、学校から帰って来るのに、いつもと違う道を通ってみたら、ここどこか分からなくなったの」

 なるほど、学校の帰り、ちょっと冒険しようと思って何時もと違う道を通ったら、迷ったんだな。
 童士は、そう思ったのだがふと変に思った。
 低学年は、昼に一斉に下校したのにもう3時だけど、ずっと迷ってたんだろうか?それにカバンも持ってないし。

 聞くと、家は3丁目の公園の近くと言うので、それなら分かるから連れて行ってあげることにした。
 男の子は、お礼にあげると折り紙のやっこさんを差し出してきたので、受け取って胸のポケットに入れた。
 男の子の手を取って歩き出し、一つ橋を過ぎたところで、「舞鼓君」と背中から声がした。振り向くと後藤真理子が立っている。

 真理子も学校からの帰りだった。道の先に童士を見つけたので追いかけて来たのだった。
 というのもどうも童士の挙動がおかしい、一人で立ち止まって変な動きをしている、気になって早足で追いかけてきたのだった。
 真理子は童士に声をかけて彼の腕の服を掴んでギョッとした。
 この時に初めて、童士の横に小さな男の子がいるのに気が付いた。今までこの子は見えていなかったのに童士に触れると突然童士の影に現れた。
 この子は誰なのか、童士に聞こうとしたら、何処からか違和感のある音が聞こえて来た。
 童士にも聞こえていたので、二人とも声の主を探したら、橋を渡った川の向こう側で、赤い着物を着た女の子が、うずくまっているのが見えた。
 どうやらその女の子がすすり泣いているようであった。
 
「女の子が泣いてる。」
 真理子は童士の腕の服を掴んだまま引っ張って合図をした。

「本当だ、どうしたんだろう?」
 童士が女の子に気を取られていると、もう片方の手を握っている男の子が「早く行こうよ」と手を引っ張る。

「行こう」
 真理子は掴んでいる童士の袖を引いて、橋に向かった。

 その時、男の子が大きな声で怒鳴った。

「邪魔をするな小娘」

 二人は、驚いて男の子を見ると彼は、凄い形相で真理子を睨み付けている。
 童士は男の子の手を離し、真理子は橋の上へ童士の手を引っぱった。二人はそのまま橋を駆けた。
 男の子は、童士を追いかけて橋の手前まできたが、橋には上がらず立ち止まった。
「チッ、童士、雀を捕まえろ。冬の雀だ。」
 そう叫ぶと姿を消した。

 

 

 



 
 
 
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