25 / 34
冬の雀
もう一人の女の子
しおりを挟む
「アハハハハ」
二人の後ろで笑い声があがった。
驚いて振り向くと、あの女の子が楽しそうに笑っている。
「雀について行くんじゃないのかい?」
「確かに一匹は本物の雀だよ」
「でも僕が雀を増やしてあげたんだ」
「好きな雀についていきなよ」
あの男の子が「雀を捕まえろ」と言っていたのを聞いていたのか。童士はそう思いながら雀を見比べた。
確かに、最初の雀はこの橋に降りたと思ったが、向こうの橋に降りたかもしれない。
いくらじっと見ても違いが判らない。
「見比べても違いは判らないだろう。だって本物の雀と同じ物を出したんだから」
「舞鼓君、あれじゃない」
真理子は手前から三番目の橋に指をさした。
「あの雀、何だか他のと違う気がする」
童士も真理子の見ている方を見た。
「なるほど、確かにそうですね」
「色が他の雀に比べて濃いというか、生き生きとしてるというか」
「あの橋を渡る?」
「でも、確証がないと危険ですよ。水の量もそんなに多くないし、川底のコンクリートに叩きつけられたら下手したら死にますよ」
「そうよね、舞鼓君ハッキリ言うわね」
「どうしようか?」
真理子は、童士の顔を見た。
あやふやに真理子を危険な目に合わせるわけにはいかない。
童士は黙って考え込んでいるが、心に引っ掛かっている事があった。
はっとして、真理子の顔を見た。
「あの時、あの男の子が消える前に言ってましたよね」
「冬の雀を捕まえろって」
「うん、確かに言ってた。どういう意味だろう」
真理子も童士の顔を見て話す。
「ちょっと、君達、落ち着きすぎじゃない。もっと焦りなよ」
後ろで女の子が怒った声をあげた。
二人は、ちらりと女の子を見る。
すると女の子の様子がおかしいのに気がついた。その子の視線は二人を見ずに遠くの方を見ている。
「何だ、あれは?」
と女の子が呟く。
二人は、女の子の視線を追って川下の方に目をやった。
するとそこには、赤い着物を着た女の子が、後ろ姿を向けて歩いていた。後ろにいる女の子と同じ姿である。
「あれは、僕だ。あんなもの出した覚えはない」
童士は、後ろの女の子の様子が戸惑っているのを見てとって、「いきましょう」と真理子の手をとって川下の女の子を追いかけた。
「どうやら、あの女の子はこの世界では異物の者みたいです。あの子についていけばここから出られるかも知れません」
童士は真理子の手を握って走った。
だが次の瞬間、二人は足を止めてしまう。
目の前に赤い着物を着た女の子が何人も現れた。
10人以上はいる。その内何人かは橋を渡り始めている。そして、後ろ姿で歩く女の子達の、一番後ろにいる子が立ち止まり振り向いた。
「僕と同じ姿の子を出して導こうとしても無駄だよ。僕と同じ者なんていくらでも出せるから」
そう言ってまた前を向いて歩き出し、女の子達のなかに紛れていった。
二人の後ろで笑い声があがった。
驚いて振り向くと、あの女の子が楽しそうに笑っている。
「雀について行くんじゃないのかい?」
「確かに一匹は本物の雀だよ」
「でも僕が雀を増やしてあげたんだ」
「好きな雀についていきなよ」
あの男の子が「雀を捕まえろ」と言っていたのを聞いていたのか。童士はそう思いながら雀を見比べた。
確かに、最初の雀はこの橋に降りたと思ったが、向こうの橋に降りたかもしれない。
いくらじっと見ても違いが判らない。
「見比べても違いは判らないだろう。だって本物の雀と同じ物を出したんだから」
「舞鼓君、あれじゃない」
真理子は手前から三番目の橋に指をさした。
「あの雀、何だか他のと違う気がする」
童士も真理子の見ている方を見た。
「なるほど、確かにそうですね」
「色が他の雀に比べて濃いというか、生き生きとしてるというか」
「あの橋を渡る?」
「でも、確証がないと危険ですよ。水の量もそんなに多くないし、川底のコンクリートに叩きつけられたら下手したら死にますよ」
「そうよね、舞鼓君ハッキリ言うわね」
「どうしようか?」
真理子は、童士の顔を見た。
あやふやに真理子を危険な目に合わせるわけにはいかない。
童士は黙って考え込んでいるが、心に引っ掛かっている事があった。
はっとして、真理子の顔を見た。
「あの時、あの男の子が消える前に言ってましたよね」
「冬の雀を捕まえろって」
「うん、確かに言ってた。どういう意味だろう」
真理子も童士の顔を見て話す。
「ちょっと、君達、落ち着きすぎじゃない。もっと焦りなよ」
後ろで女の子が怒った声をあげた。
二人は、ちらりと女の子を見る。
すると女の子の様子がおかしいのに気がついた。その子の視線は二人を見ずに遠くの方を見ている。
「何だ、あれは?」
と女の子が呟く。
二人は、女の子の視線を追って川下の方に目をやった。
するとそこには、赤い着物を着た女の子が、後ろ姿を向けて歩いていた。後ろにいる女の子と同じ姿である。
「あれは、僕だ。あんなもの出した覚えはない」
童士は、後ろの女の子の様子が戸惑っているのを見てとって、「いきましょう」と真理子の手をとって川下の女の子を追いかけた。
「どうやら、あの女の子はこの世界では異物の者みたいです。あの子についていけばここから出られるかも知れません」
童士は真理子の手を握って走った。
だが次の瞬間、二人は足を止めてしまう。
目の前に赤い着物を着た女の子が何人も現れた。
10人以上はいる。その内何人かは橋を渡り始めている。そして、後ろ姿で歩く女の子達の、一番後ろにいる子が立ち止まり振り向いた。
「僕と同じ姿の子を出して導こうとしても無駄だよ。僕と同じ者なんていくらでも出せるから」
そう言ってまた前を向いて歩き出し、女の子達のなかに紛れていった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる