5 / 5
〜第5話〜『記憶を取り戻す為に旅に出ることになってしまった』
しおりを挟む
カイトが来てから数ヶ月後、彼らはある事に悩まされていた。
「カイトの記憶もそうだけど、出来ればコンの記憶も取り戻したいよな」
「えぇ、私もどうしてこうなったのか知りたいし…」
「私は戻らなくても今が十分充実しているので満足はしていますが…カケルさんとの思い出は思い出したいですね…」
「当主様なら何か知っているかしら?」
「そうだな、聞きに行ってみようか」
三人は当主のところへ向かい、記憶を戻す方法かそれに近い何か方法がないか訪ねた・
「ふむ…気持ちはわかるが、実は私はその手の情報に疎くてな…力になれなくてすまない」
「そうですか、ありがとうございます」
「もしかしたら、術師なら何かわかるかもしれぬぞ」
「お呼びですかご当主様…」
「わぁ!?」
突然現れる術師に驚くカケルとカイト。
「また聞き耳を立てておったかロズベル」
「はい、失礼を承知で…あなた方お三方には何度かお会いしておりますね、改めて自己紹介を、私はイシュナイト・ロズベルと申します。以後お見知り置きを」
「よ、宜しくお願いします…」
「してロズベル、何か知っている事はないか?」
「そうですね…知人に私より魔術に詳しい者がいます、会いに行ってみてはいかがですか?」
「その人はどちらにいらっしゃるのでしょうか」
「恐らくですが…今はバルト鉱山に近くにある山小屋に住んでいるはずです、そこで研究でもしているかと」
「バルト鉱山…かなり遠いですね…」
「どのくらいかかるんですか?」
「ここから大体三日くらいだろうな」
「そんなに遠いのか…」
「今すぐ行こうと言える距離ではないな…」
「少し考えましょう…」
三人は悩んだ、三日、この日数が一番の問題だった。いざ行くとなっても、もちろんとても徒歩で行ける距離ではない。となると移動手段が限られてくるが、馬車を使っても馬を休ませる時間を考えると確実に三日は超える。他には術師に転送魔法で送ってもらう方法もあるが、術者の負担が大きいのと、確実に目的地に送れるかが不確定なのだ。
「仕方ない、こうしよう」
カケルは少し強引にはなるがと、次の提案をした。
「馬車で向かい、昼は馬車の中で夜は馬を休ませる為に、野営をする。そうすれば、遅くても四日で着くはずだ」
「そうね、そうした方が早いかもね」
「ふむ、決まったようだな。では明日の朝にでも諸々用意する」
「はい、ありがとうございます」
翌日、三人は日が昇り始める時間に屋敷を出立した。荷車には五日分の食料や飲み物、その他には何も載せなかった。
「途中にある湖で服や体を洗うことになるが、それまでは風呂なしだ。順調に行けば二日目にその湖に着くはず」
「そうね、まぁお風呂に関しては我慢する他ないわ…目的を果たすのが優先事項だしね」
「ということで、そろそろ昼になるわけだが…」
「これ火を使わなきゃよね?」
「そうだな…これは夜にしよう」
そうして3人は昼食を終え、野営予定地に到着した。
「よし、とりあえず火を熾そう。それから周りの安全確保だ」
「私は薪になりそうな枝でも探してきます。コンさんはここにいてください」
「え、でも…」
「あいつなら大丈夫だ、任せておこう」
「カケルが言うならそうね、お願いするわカイト」
「がってんしょうちぃー!」
カイトはそう言うと、森の中に走って行ってしまった。
「おーい!あまり遠くまで行くなよー!…ってもう聞こえないか」
「大丈夫かな…夜は魔物が活発だから…」
「あいつ逃げ足だけは早いから大丈夫だろ」
「…ぁぁぁぁああああああああ!!!」
遠くから叫びながらカイトが疾風の如く戻ってきた。
「どうした?」
「ま…まもの…魔物が居た!!!」
「そりゃそうだろ、夜だし」
「え…?」
「そうね、夜だものね」
「え?え?襲われたりしないんですか?」
「この森の魔物はどちらかというと友好的だぞ、木の実とか採ってるとたまに寄ってくるから採ったのをあげたりしてるし」
「なんだよそれ…」
「やっぱ言った通りじゃない…」
「確かにそうだな」
「どういうことです?」
「気にするな、なんでもないさ」
「え?ちょっと、教えてくださいよ!」
3人の笑い声が森に木霊した。
屋敷を出てから二日目、彼らは道中の湖に居た。
「さて、水浴びをする順番だが…」
「もちろん私が最初よね?」
「そうしたいのは山々なんだが、どうもこの湖が少し怪しく感じるんだよな…」
「どうしてです?こんなに綺麗で広いのに…」
「だっからこそだ、こんな森の奥深くにあって、これだけ広くてこれだけ綺麗な水なら、この湖の水を飲み物にしている生き物がいてもいいはずだろ?なのに一匹も見当たらない」
「確かに…そう言われてみれば私たち以外に居ないわね…」
「念の為と言われて連れてきた護衛達に調べさせよう、それまでは少し休憩だな」
その日の夕方には湖の調査は終わり、結果が報告された。
湖には襲ってくる魔物が潜んでいる可能性はかなり低いが、その代わりに水がなんらかの毒性を持っている可能性が高いということだった。
「毒か…」
「どうする?確かめる方法なんて…」
「ひとつだけある…」
「どんな方法なの?」
「銀があれば調べることはできる。」
「銀…荷車の中に確か銀装飾が施されてるものがあった気が…」
「それを少し削って、布切れでまとめてこの水に入れる。銀の色が変われば毒入りってことだ」
「なるほど…そんな調べ方があったのね」
「さて、結果は…」
水から取り出した布を明ると、そこには光り輝く銀粉があった。
「え…これは…どういうことだ…?」
「こんなに綺麗じゃなかったわよね…」
「とりあえず、人に影響はないだろう。試しに俺が入ってみる」
「大丈夫なの?」
「多分な」
「多分て…体が溶けたりとかしたら…」
「それはないと思う、強い酸だったらさっきの銀も溶けてなくなるし、まず布が焼けるように消えるさ」
「まぁ、その辺の知識はないからわからないけども…」
「それだったら私が入りましょうか?」
「いや、カイトが入ってもし何かあったら、カイト為の外出なのに…」
「でも死ぬ心配はないんですよね?」
「そうだけど…」
「ならカケルさんを信用します」
「…わかった、でも違和感があったらすぐに出ろよ?」
「もちろんです!」
ゆっくり湖の水に入るカイト、深さは腰程度の深さで中心に行くにつれて水深が深くなっていくごく普通の湖だった。
胸くらいまで水に浸かった時、カイトが声を上げた。
「あー!」
「どうしたカイト!」
「カケルさん…やばいです…」
「…まさか!」
「めちゃくちゃ気持ちいいですよこの水!!」
「…は?」
「いや、少しぬるぬるしてるけど、それが体に浸透して行って馴染んでる感じなんです!それが気持ちいいです!」
「ややこしい声出すなよお前は!!」
「ひぃ!す、すいません!気持ちよすぎてつい…」
「全く…」
その後、3人は交代しながら水浴びをし、護衛の兵士にも水浴びをするように進め、その日は湖の近くで夜を過ごすことにした。
翌日からはペースを上げ、鉱山へ向かった。
そして予定通り、4日目の夜に目的地に到着した。
「やっと着いたな…」
「もうヘトヘトよ…はやくベッドで寝たいわ…」
「私はまだ元気ですよ!」
「本当体力だけはあるよなお前…」
「それだけが取り柄なんで!」
そんなやりとりをしているうちに、魔術師が住んでいると思われる山小屋を見つけた。
「この山小屋に例の魔術師が…」
「えぇ…」
「呼びかけてみよう」
言い終わる前に勢い良く扉が開き、カケルの顔面を強襲する。
「ぐあはぁ!」
「いらっしゃーい!君がコンさんでそっちの君がカイトさんだね!待ってたよー!…あれ?カケルって人も一緒に来るって聞いてけど…」
「カケルならその扉に…」
「…え?」
扉に強襲されたカケルは、扉の外側に潰された虫のように張り付いていた。
そして山小屋の中に招き入れられ、席に着いた。
「ほんっとーごめん!まさかそんな近くにいるとは思ってなくて…まぁ確かに扉のすぐ近くに人の気配は感じてたけど、3人で来てるからだろうなと思って…あはは…」
「いや、もう大丈夫です…」
「えっとー…んんっ、僕は魔術師のロベルト・カーチスって言うんだ、よろしくね!」
「よろしくお願いします、ロベルト君」
「君!?失礼な!僕は女だよ!」
「え…だってむn」
禁句を言いかけてコンに殴られるカケル。
「ごめんなさい、ロベルトちゃん」
「彼が言いかけたことが気になるけど…まぁコンに免じて聞かなかったことにするよ」
「ありがとう、それで、記憶を戻す方法なんだけど…」
「そのことなんだけどさ、かなり難易度高いかもしれないよ」
「それはなぜです?」
「君達は転生者なんだよね?」
「はい」
「基本的に、記憶を取り戻せるのは現世でのことだけなんだ。」
「え…」
「そんな…」
「もちろん、前世の記憶を取り戻す方法はあるけど、今は禁術として扱われてて、僕もその術式を知らないんだ。」
「そんな…せっかくここまで来たのに…」
「でも大丈夫、その禁術の本がある場所は知ってるよ。」
「どこにあるんですか?」
「それはね」
「それは…?」
「この鉱山のどこかさ」
「………」
「あれ、思ったより反応薄いね」
「いや、鉱山のどこかって…どこなんです?」
「そりゃどこかさ」
「地下とか頂上とか」
「さぁ?」
「…」
「ん?」
「つまりなんの手がかりもないってことですよね…」
「うん」
「はぁ…なんのための苦労だったんだ…」
「でもその苦労は無駄じゃないよ?」
「え?」
「実はこの鉱山の下に、古代遺跡が隠されてるみたいでね、その中にその魔道書があるんじゃないかなと僕は思ってるんだ」
「…古代遺跡か」
「あと少しで掘り出せるから、数日ここに泊まっていくといいよ、君達のご主人には僕から話しておくからさ」
「ありがとうございます!助かります!」
かくして、目的地に辿り着きしっかりと休息を取れることに安心した3人。果たして二人の前世の記憶を取り戻すことはできるのか。
一方で、遥か遠くの方ではとある不思議な力が、この世界を脅かそうとしていた。その事には世界の誰も気づいていなかった。たった一人を除いては…
「カイトの記憶もそうだけど、出来ればコンの記憶も取り戻したいよな」
「えぇ、私もどうしてこうなったのか知りたいし…」
「私は戻らなくても今が十分充実しているので満足はしていますが…カケルさんとの思い出は思い出したいですね…」
「当主様なら何か知っているかしら?」
「そうだな、聞きに行ってみようか」
三人は当主のところへ向かい、記憶を戻す方法かそれに近い何か方法がないか訪ねた・
「ふむ…気持ちはわかるが、実は私はその手の情報に疎くてな…力になれなくてすまない」
「そうですか、ありがとうございます」
「もしかしたら、術師なら何かわかるかもしれぬぞ」
「お呼びですかご当主様…」
「わぁ!?」
突然現れる術師に驚くカケルとカイト。
「また聞き耳を立てておったかロズベル」
「はい、失礼を承知で…あなた方お三方には何度かお会いしておりますね、改めて自己紹介を、私はイシュナイト・ロズベルと申します。以後お見知り置きを」
「よ、宜しくお願いします…」
「してロズベル、何か知っている事はないか?」
「そうですね…知人に私より魔術に詳しい者がいます、会いに行ってみてはいかがですか?」
「その人はどちらにいらっしゃるのでしょうか」
「恐らくですが…今はバルト鉱山に近くにある山小屋に住んでいるはずです、そこで研究でもしているかと」
「バルト鉱山…かなり遠いですね…」
「どのくらいかかるんですか?」
「ここから大体三日くらいだろうな」
「そんなに遠いのか…」
「今すぐ行こうと言える距離ではないな…」
「少し考えましょう…」
三人は悩んだ、三日、この日数が一番の問題だった。いざ行くとなっても、もちろんとても徒歩で行ける距離ではない。となると移動手段が限られてくるが、馬車を使っても馬を休ませる時間を考えると確実に三日は超える。他には術師に転送魔法で送ってもらう方法もあるが、術者の負担が大きいのと、確実に目的地に送れるかが不確定なのだ。
「仕方ない、こうしよう」
カケルは少し強引にはなるがと、次の提案をした。
「馬車で向かい、昼は馬車の中で夜は馬を休ませる為に、野営をする。そうすれば、遅くても四日で着くはずだ」
「そうね、そうした方が早いかもね」
「ふむ、決まったようだな。では明日の朝にでも諸々用意する」
「はい、ありがとうございます」
翌日、三人は日が昇り始める時間に屋敷を出立した。荷車には五日分の食料や飲み物、その他には何も載せなかった。
「途中にある湖で服や体を洗うことになるが、それまでは風呂なしだ。順調に行けば二日目にその湖に着くはず」
「そうね、まぁお風呂に関しては我慢する他ないわ…目的を果たすのが優先事項だしね」
「ということで、そろそろ昼になるわけだが…」
「これ火を使わなきゃよね?」
「そうだな…これは夜にしよう」
そうして3人は昼食を終え、野営予定地に到着した。
「よし、とりあえず火を熾そう。それから周りの安全確保だ」
「私は薪になりそうな枝でも探してきます。コンさんはここにいてください」
「え、でも…」
「あいつなら大丈夫だ、任せておこう」
「カケルが言うならそうね、お願いするわカイト」
「がってんしょうちぃー!」
カイトはそう言うと、森の中に走って行ってしまった。
「おーい!あまり遠くまで行くなよー!…ってもう聞こえないか」
「大丈夫かな…夜は魔物が活発だから…」
「あいつ逃げ足だけは早いから大丈夫だろ」
「…ぁぁぁぁああああああああ!!!」
遠くから叫びながらカイトが疾風の如く戻ってきた。
「どうした?」
「ま…まもの…魔物が居た!!!」
「そりゃそうだろ、夜だし」
「え…?」
「そうね、夜だものね」
「え?え?襲われたりしないんですか?」
「この森の魔物はどちらかというと友好的だぞ、木の実とか採ってるとたまに寄ってくるから採ったのをあげたりしてるし」
「なんだよそれ…」
「やっぱ言った通りじゃない…」
「確かにそうだな」
「どういうことです?」
「気にするな、なんでもないさ」
「え?ちょっと、教えてくださいよ!」
3人の笑い声が森に木霊した。
屋敷を出てから二日目、彼らは道中の湖に居た。
「さて、水浴びをする順番だが…」
「もちろん私が最初よね?」
「そうしたいのは山々なんだが、どうもこの湖が少し怪しく感じるんだよな…」
「どうしてです?こんなに綺麗で広いのに…」
「だっからこそだ、こんな森の奥深くにあって、これだけ広くてこれだけ綺麗な水なら、この湖の水を飲み物にしている生き物がいてもいいはずだろ?なのに一匹も見当たらない」
「確かに…そう言われてみれば私たち以外に居ないわね…」
「念の為と言われて連れてきた護衛達に調べさせよう、それまでは少し休憩だな」
その日の夕方には湖の調査は終わり、結果が報告された。
湖には襲ってくる魔物が潜んでいる可能性はかなり低いが、その代わりに水がなんらかの毒性を持っている可能性が高いということだった。
「毒か…」
「どうする?確かめる方法なんて…」
「ひとつだけある…」
「どんな方法なの?」
「銀があれば調べることはできる。」
「銀…荷車の中に確か銀装飾が施されてるものがあった気が…」
「それを少し削って、布切れでまとめてこの水に入れる。銀の色が変われば毒入りってことだ」
「なるほど…そんな調べ方があったのね」
「さて、結果は…」
水から取り出した布を明ると、そこには光り輝く銀粉があった。
「え…これは…どういうことだ…?」
「こんなに綺麗じゃなかったわよね…」
「とりあえず、人に影響はないだろう。試しに俺が入ってみる」
「大丈夫なの?」
「多分な」
「多分て…体が溶けたりとかしたら…」
「それはないと思う、強い酸だったらさっきの銀も溶けてなくなるし、まず布が焼けるように消えるさ」
「まぁ、その辺の知識はないからわからないけども…」
「それだったら私が入りましょうか?」
「いや、カイトが入ってもし何かあったら、カイト為の外出なのに…」
「でも死ぬ心配はないんですよね?」
「そうだけど…」
「ならカケルさんを信用します」
「…わかった、でも違和感があったらすぐに出ろよ?」
「もちろんです!」
ゆっくり湖の水に入るカイト、深さは腰程度の深さで中心に行くにつれて水深が深くなっていくごく普通の湖だった。
胸くらいまで水に浸かった時、カイトが声を上げた。
「あー!」
「どうしたカイト!」
「カケルさん…やばいです…」
「…まさか!」
「めちゃくちゃ気持ちいいですよこの水!!」
「…は?」
「いや、少しぬるぬるしてるけど、それが体に浸透して行って馴染んでる感じなんです!それが気持ちいいです!」
「ややこしい声出すなよお前は!!」
「ひぃ!す、すいません!気持ちよすぎてつい…」
「全く…」
その後、3人は交代しながら水浴びをし、護衛の兵士にも水浴びをするように進め、その日は湖の近くで夜を過ごすことにした。
翌日からはペースを上げ、鉱山へ向かった。
そして予定通り、4日目の夜に目的地に到着した。
「やっと着いたな…」
「もうヘトヘトよ…はやくベッドで寝たいわ…」
「私はまだ元気ですよ!」
「本当体力だけはあるよなお前…」
「それだけが取り柄なんで!」
そんなやりとりをしているうちに、魔術師が住んでいると思われる山小屋を見つけた。
「この山小屋に例の魔術師が…」
「えぇ…」
「呼びかけてみよう」
言い終わる前に勢い良く扉が開き、カケルの顔面を強襲する。
「ぐあはぁ!」
「いらっしゃーい!君がコンさんでそっちの君がカイトさんだね!待ってたよー!…あれ?カケルって人も一緒に来るって聞いてけど…」
「カケルならその扉に…」
「…え?」
扉に強襲されたカケルは、扉の外側に潰された虫のように張り付いていた。
そして山小屋の中に招き入れられ、席に着いた。
「ほんっとーごめん!まさかそんな近くにいるとは思ってなくて…まぁ確かに扉のすぐ近くに人の気配は感じてたけど、3人で来てるからだろうなと思って…あはは…」
「いや、もう大丈夫です…」
「えっとー…んんっ、僕は魔術師のロベルト・カーチスって言うんだ、よろしくね!」
「よろしくお願いします、ロベルト君」
「君!?失礼な!僕は女だよ!」
「え…だってむn」
禁句を言いかけてコンに殴られるカケル。
「ごめんなさい、ロベルトちゃん」
「彼が言いかけたことが気になるけど…まぁコンに免じて聞かなかったことにするよ」
「ありがとう、それで、記憶を戻す方法なんだけど…」
「そのことなんだけどさ、かなり難易度高いかもしれないよ」
「それはなぜです?」
「君達は転生者なんだよね?」
「はい」
「基本的に、記憶を取り戻せるのは現世でのことだけなんだ。」
「え…」
「そんな…」
「もちろん、前世の記憶を取り戻す方法はあるけど、今は禁術として扱われてて、僕もその術式を知らないんだ。」
「そんな…せっかくここまで来たのに…」
「でも大丈夫、その禁術の本がある場所は知ってるよ。」
「どこにあるんですか?」
「それはね」
「それは…?」
「この鉱山のどこかさ」
「………」
「あれ、思ったより反応薄いね」
「いや、鉱山のどこかって…どこなんです?」
「そりゃどこかさ」
「地下とか頂上とか」
「さぁ?」
「…」
「ん?」
「つまりなんの手がかりもないってことですよね…」
「うん」
「はぁ…なんのための苦労だったんだ…」
「でもその苦労は無駄じゃないよ?」
「え?」
「実はこの鉱山の下に、古代遺跡が隠されてるみたいでね、その中にその魔道書があるんじゃないかなと僕は思ってるんだ」
「…古代遺跡か」
「あと少しで掘り出せるから、数日ここに泊まっていくといいよ、君達のご主人には僕から話しておくからさ」
「ありがとうございます!助かります!」
かくして、目的地に辿り着きしっかりと休息を取れることに安心した3人。果たして二人の前世の記憶を取り戻すことはできるのか。
一方で、遥か遠くの方ではとある不思議な力が、この世界を脅かそうとしていた。その事には世界の誰も気づいていなかった。たった一人を除いては…
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
ネタバレ含む
ネタバレ含む
ネタバレ含む
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる
しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。
いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに……
しかしそこに現れたのは幼馴染で……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。