転生したらうさ耳執事で何故か先輩のうさ耳メイドと結婚することになってしまった

シャムネコ

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〜第5話〜『記憶を取り戻す為に旅に出ることになってしまった』

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カイトが来てから数ヶ月後、彼らはある事に悩まされていた。

「カイトの記憶もそうだけど、出来ればコンの記憶も取り戻したいよな」

「えぇ、私もどうしてこうなったのか知りたいし…」

「私は戻らなくても今が十分充実しているので満足はしていますが…カケルさんとの思い出は思い出したいですね…」

「当主様なら何か知っているかしら?」

「そうだな、聞きに行ってみようか」

三人は当主のところへ向かい、記憶を戻す方法かそれに近い何か方法がないか訪ねた・

「ふむ…気持ちはわかるが、実は私はその手の情報に疎くてな…力になれなくてすまない」

「そうですか、ありがとうございます」

「もしかしたら、術師なら何かわかるかもしれぬぞ」

「お呼びですかご当主様…」

「わぁ!?」

突然現れる術師に驚くカケルとカイト。

「また聞き耳を立てておったかロズベル」

「はい、失礼を承知で…あなた方お三方には何度かお会いしておりますね、改めて自己紹介を、私はイシュナイト・ロズベルと申します。以後お見知り置きを」

「よ、宜しくお願いします…」

「してロズベル、何か知っている事はないか?」

「そうですね…知人に私より魔術に詳しい者がいます、会いに行ってみてはいかがですか?」

「その人はどちらにいらっしゃるのでしょうか」

「恐らくですが…今はバルト鉱山に近くにある山小屋に住んでいるはずです、そこで研究でもしているかと」

「バルト鉱山…かなり遠いですね…」

「どのくらいかかるんですか?」

「ここから大体三日くらいだろうな」

「そんなに遠いのか…」

「今すぐ行こうと言える距離ではないな…」

「少し考えましょう…」

三人は悩んだ、三日、この日数が一番の問題だった。いざ行くとなっても、もちろんとても徒歩で行ける距離ではない。となると移動手段が限られてくるが、馬車を使っても馬を休ませる時間を考えると確実に三日は超える。他には術師に転送魔法で送ってもらう方法もあるが、術者の負担が大きいのと、確実に目的地に送れるかが不確定なのだ。

「仕方ない、こうしよう」

カケルは少し強引にはなるがと、次の提案をした。

「馬車で向かい、昼は馬車の中で夜は馬を休ませる為に、野営をする。そうすれば、遅くても四日で着くはずだ」

「そうね、そうした方が早いかもね」

「ふむ、決まったようだな。では明日の朝にでも諸々用意する」

「はい、ありがとうございます」

翌日、三人は日が昇り始める時間に屋敷を出立した。荷車には五日分の食料や飲み物、その他には何も載せなかった。

「途中にある湖で服や体を洗うことになるが、それまでは風呂なしだ。順調に行けば二日目にその湖に着くはず」

「そうね、まぁお風呂に関しては我慢する他ないわ…目的を果たすのが優先事項だしね」

「ということで、そろそろ昼になるわけだが…」

「これ火を使わなきゃよね?」

「そうだな…これは夜にしよう」

そうして3人は昼食を終え、野営予定地に到着した。

「よし、とりあえず火をおこそう。それから周りの安全確保だ」

「私は薪になりそうな枝でも探してきます。コンさんはここにいてください」

「え、でも…」

「あいつなら大丈夫だ、任せておこう」

「カケルが言うならそうね、お願いするわカイト」

「がってんしょうちぃー!」

カイトはそう言うと、森の中に走って行ってしまった。

「おーい!あまり遠くまで行くなよー!…ってもう聞こえないか」

「大丈夫かな…夜は魔物が活発だから…」

「あいつ逃げ足だけは早いから大丈夫だろ」

「…ぁぁぁぁああああああああ!!!」

遠くから叫びながらカイトが疾風の如く戻ってきた。

「どうした?」

「ま…まもの…魔物が居た!!!」

「そりゃそうだろ、夜だし」

「え…?」

「そうね、夜だものね」

「え?え?襲われたりしないんですか?」

「この森の魔物はどちらかというと友好的だぞ、木の実とか採ってるとたまに寄ってくるから採ったのをあげたりしてるし」

「なんだよそれ…」

「やっぱ言った通りじゃない…」

「確かにそうだな」

「どういうことです?」

「気にするな、なんでもないさ」

「え?ちょっと、教えてくださいよ!」

3人の笑い声が森に木霊こだました。
屋敷を出てから二日目、彼らは道中の湖に居た。

「さて、水浴びをする順番だが…」

「もちろん私が最初よね?」

「そうしたいのは山々なんだが、どうもこの湖が少し怪しく感じるんだよな…」

「どうしてです?こんなに綺麗で広いのに…」

「だっからこそだ、こんな森の奥深くにあって、これだけ広くてこれだけ綺麗な水なら、この湖の水を飲み物にしている生き物がいてもいいはずだろ?なのに一匹も見当たらない」

「確かに…そう言われてみれば私たち以外に居ないわね…」

「念の為と言われて連れてきた護衛達に調べさせよう、それまでは少し休憩だな」

その日の夕方には湖の調査は終わり、結果が報告された。
湖には襲ってくる魔物がひそんでいる可能性はかなり低いが、その代わりに水がなんらかの毒性を持っている可能性が高いということだった。

「毒か…」

「どうする?確かめる方法なんて…」

「ひとつだけある…」

「どんな方法なの?」

「銀があれば調べることはできる。」

「銀…荷車の中に確か銀装飾が施されてるものがあった気が…」

「それを少し削って、布切れでまとめてこの水に入れる。銀の色が変われば毒入りってことだ」

「なるほど…そんな調べ方があったのね」

「さて、結果は…」

水から取り出した布を明ると、そこには光り輝く銀粉があった。

「え…これは…どういうことだ…?」

「こんなに綺麗じゃなかったわよね…」

「とりあえず、人に影響はないだろう。試しに俺が入ってみる」

「大丈夫なの?」

「多分な」

「多分て…体が溶けたりとかしたら…」

「それはないと思う、強い酸だったらさっきの銀も溶けてなくなるし、まず布が焼けるように消えるさ」

「まぁ、その辺の知識はないからわからないけども…」

「それだったら私が入りましょうか?」

「いや、カイトが入ってもし何かあったら、カイト為の外出なのに…」

「でも死ぬ心配はないんですよね?」

「そうだけど…」

「ならカケルさんを信用します」

「…わかった、でも違和感があったらすぐに出ろよ?」

「もちろんです!」

ゆっくり湖の水に入るカイト、深さは腰程度の深さで中心に行くにつれて水深が深くなっていくごく普通の湖だった。
胸くらいまで水に浸かった時、カイトが声を上げた。

「あー!」

「どうしたカイト!」

「カケルさん…やばいです…」

「…まさか!」

「めちゃくちゃ気持ちいいですよこの水!!」

「…は?」

「いや、少しぬるぬるしてるけど、それが体に浸透して行って馴染んでる感じなんです!それが気持ちいいです!」

「ややこしい声出すなよお前は!!」

「ひぃ!す、すいません!気持ちよすぎてつい…」

「全く…」

その後、3人は交代しながら水浴びをし、護衛の兵士にも水浴びをするように進め、その日は湖の近くで夜を過ごすことにした。
翌日からはペースを上げ、鉱山へ向かった。
そして予定通り、4日目の夜に目的地に到着した。

「やっと着いたな…」

「もうヘトヘトよ…はやくベッドで寝たいわ…」

「私はまだ元気ですよ!」

「本当体力だけはあるよなお前…」

「それだけが取り柄なんで!」

そんなやりとりをしているうちに、魔術師が住んでいると思われる山小屋を見つけた。

「この山小屋に例の魔術師が…」

「えぇ…」

「呼びかけてみよう」

言い終わる前に勢い良く扉が開き、カケルの顔面を強襲する。

「ぐあはぁ!」

「いらっしゃーい!君がコンさんでそっちの君がカイトさんだね!待ってたよー!…あれ?カケルって人も一緒に来るって聞いてけど…」

「カケルならその扉に…」

「…え?」

扉に強襲されたカケルは、扉の外側に潰された虫のように張り付いていた。
そして山小屋の中に招き入れられ、席に着いた。

「ほんっとーごめん!まさかそんな近くにいるとは思ってなくて…まぁ確かに扉のすぐ近くに人の気配は感じてたけど、3人で来てるからだろうなと思って…あはは…」

「いや、もう大丈夫です…」

「えっとー…んんっ、僕は魔術師のロベルト・カーチスって言うんだ、よろしくね!」

「よろしくお願いします、ロベルト君」

「君!?失礼な!僕は女だよ!」

「え…だってむn」

禁句を言いかけてコンに殴られるカケル。

「ごめんなさい、ロベルトちゃん」

「彼が言いかけたことが気になるけど…まぁコンに免じて聞かなかったことにするよ」

「ありがとう、それで、記憶を戻す方法なんだけど…」

「そのことなんだけどさ、かなり難易度高いかもしれないよ」

「それはなぜです?」

「君達は転生者なんだよね?」

「はい」

「基本的に、記憶を取り戻せるのは現世でのことだけなんだ。」

「え…」

「そんな…」

「もちろん、前世の記憶を取り戻す方法はあるけど、今は禁術として扱われてて、僕もその術式を知らないんだ。」

「そんな…せっかくここまで来たのに…」

「でも大丈夫、その禁術の本がある場所は知ってるよ。」

「どこにあるんですか?」

「それはね」

「それは…?」

「この鉱山のどこかさ」

「………」

「あれ、思ったより反応薄いね」

「いや、鉱山のどこかって…どこなんです?」

「そりゃどこかさ」

「地下とか頂上とか」

「さぁ?」

「…」

「ん?」

「つまりなんの手がかりもないってことですよね…」

「うん」

「はぁ…なんのための苦労だったんだ…」

「でもその苦労は無駄じゃないよ?」

「え?」

「実はこの鉱山の下に、古代遺跡が隠されてるみたいでね、その中にその魔道書があるんじゃないかなと僕は思ってるんだ」

「…古代遺跡か」

「あと少しで掘り出せるから、数日ここに泊まっていくといいよ、君達のご主人には僕から話しておくからさ」

「ありがとうございます!助かります!」

かくして、目的地に辿り着きしっかりと休息を取れることに安心した3人。果たして二人の前世の記憶を取り戻すことはできるのか。
一方で、遥か遠くの方ではとある不思議な力が、この世界をおびやかそうとしていた。その事には世界の誰も気づいていなかった。たった一人を除いては…
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みんなの感想(3件)

めら
2021.08.29 めら
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めら
2021.08.28 めら
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スパークノークス
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