真面目だと思っていた幼馴染は変態かもしれない

火野 あかり

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第二十四話 事後の休息

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 二人はぼさぼさの髪のままキスをする。
 目が覚めて行動する前、いつもだらだらとしていた。
 お互いの髪を指で流し、全裸のままいちゃいちゃとしながらキスをしたり、お互いの体に触れあっているのだ。
 自分よりも少し低めの体温に触れ、自分の体との違いを比較する。
 時間こそ確認しているものの、行動を開始する気にはならなかったのである。

 二人の体に残るのは疲労感、倦怠感、──そして幸福感。
 やらなければならないことがあっても、二人で過ごすこの時間を終わりにしようとはどうしても思えない。

「喉、乾いたな……」

「色々な液体を出しちゃったものね」

「言い方……」

 サクヤの言い方にユウは苦笑する。
 それでも不快に思ったりしないのは、サクヤはそういう人間だと今は再認識しているからだ。

 ユウの元々の認識では、サクヤは真面目な、読書の好きな女の子だった。
 毎日しっかりと勉強をしていて、見た目通りの真面目な幼馴染だったのだ。
 男女の関係になるまでは一切下ネタなど言わなかったし、基本的にはガードも硬い印象だった。
 恋愛にも興味なさげで、だからこそユウはいつも焦っていた。
 唐突に、突然に自分から離れてしまうのではと。
 実際にはユウが気づいていなかっただけでサクヤはアピールをしていたつもりではあった。
 パジャマの下に何もつけていなかったり、ユウの好物をユウの母に聞いて一緒に練習したりだ。
 だがユウは鈍感だった。サクヤが自分のことを好きだと、期待していても信じてはいなかった。

 ほかにいくらでも選択肢がある。その中で自分が選ばれることはないと、ずっと思っていたのだ。

 今、サクヤは自分への愛を毎日声に出してくれている。
 ユウも毎日口にしていた。恥ずかしい気持ちは今もなお存在するが、それでも口にする。素直でなくても、それが本心で、サクヤが喜んでくれるからだ。
 ただ、それも行為中だけ、普段は恥ずかしくて言えずにいた。

 体を、心を重ねるたびに愛情が深まっていくのを二人は感じている。単純な性欲だけではない、そういうものを。
 それでも長きにわたる関係性をいまいち崩せないでいた。

「二人とも! お隣行ってくるから、いない間に片付けしなさいよ!」

 階段の下、一階からユウの母が声をかける。
 まるで見ていたようにタイミングよく言われ、二人は驚きで顔を見合わせた。

「ホントに監視してるとか……?」

 実際の所、二人は声が大きい。
 普段はそうではないものの、行為中はお互いが声を抑えられていないのである。
 静かにしているつもりでも、ベッドのきしむ音や肉のぶつかり合う音、喘ぎ声は下に小さく響いているのだ。
 ユウの母はそういったことから予想しているのである。

「でも、今の私たちには朗報よ。色々とぐっちょりしているし、お腹も空いたでしょう? 何か食べましょ? 許可は貰っているから私が作るわ」

「え、許可って? 何の?」

「食材の使用について、よ。あらかじめ許可を取っているのよ?」

「そんなことしてたのか」

「当たり前じゃない。私は空き巣でも強盗でもないのよ? 勝手に冷蔵庫を開けたりはしないわ」

「いや、サクヤなら別にいいと思うけど……」

 幼少期からずっと一緒なのだ。それくらいで怒ったりすることはまずない。
 気にしすぎだろうとユウは思ったが、そういうところをきっちりとしているのがサクヤという人格だと納得した。

 二人は全裸のまま着替えをもって下に降りる。
 風呂の準備を終えて、リビングの方へユウが向かうと、サクヤは何か料理を作っていた。
 さすがに服を着たユウと違い、サクヤは全裸のままだった。

「服着ないの……?」

「着てるじゃない?」

 着ていると言い張ったサクヤの格好はエプロン一枚だけだ。
 ユウの家に置かれているサクヤ自身のものである。

「それは服じゃない!」

「肌を隠している以上は服だと思うけれど? ユウは裸エプロンは好みじゃないの? こういうのって定番だと思うんだけれど」

 服の定義が違いすぎる。ユウは諦めた。

「いや、嫌いじゃないけどさ……隠せてはいないと思うぞ」

 普段は何も思わないエプロン姿だが、その下に何も纏っていないと思うと妙に扇情的に見える。
 数時間までひたすらに行為にふけっていたというのにむらむらとしたものを感じていた。
 エプロンの隙間からは上も下も自分にはない膨らみがその存在を主張し続けている。

「視線がいやらしいわよ? ユウは本当にコスプレが好きね」

「ちょっとエロいなと思ってさ……」

「結婚したら毎日見られるわよ。──そして毎晩ユウの好きな格好でえっちするの。気絶するくらい気持ちいいことをずっとするのよ」

 そんな毎日を想像してしまう。
 ユウが何よりうれしく思ったのは、サクヤが当然のように自分のいる未来を想像してくれているということだった。

 少しだけにやけながらも食卓につく。
 料理を作る後姿を眺め、結婚生活を考える。
 元から望んでいたが最近はもっと強い気持ちになってきていた。

 真っ白な背中を舐めるように上から下まで見つめる。
 背中の半分ほどまで黒い髪が垂れていて、何か動くたびに左右になびく。
 お互い汗だくの状態になっていて、自慢の黒髪はいつもよりぼさぼさだ。

 腰の辺りはしっかりくびれていて、エロい体だとユウは改めて思う。
 視線に気づいたらしいサクヤは振り向くことはしないまま声を発した。

「ユウ、何を見ているの?」

「えっ!? いや、別に何も?」

「隠してもわかるわよ。──あんなにしたのに、もうおまんこ欲しくなっちゃったの?」

「お、おまんこって……」

 セックス中はともかく、そうでない時の下ネタには若干の抵抗があった。単純な照れの感情だ。

 サクヤの言葉のせいで視線が股間の方へ向かってしまう。
 真っ白な桃のような尻の間、今のユウの角度では見えない場所。
 冷静に考えれば今もまだ精液がたまっているであろう場所。
 毎晩必死にチンポを突き立てている場所の感触、温度を思い出し、自分が興奮し始めていることに気づく。
 服の下のチンポはむくむくと膨らみ始めてしまった。
 なんでこんなに元気なのか、と自分でも軽く引いた気持ちになる。

「今は調理中だから、終わった後にえっちする?」

「母さん帰ってきちゃうから飯食って風呂入らないと。あと洗濯もだな」

「──意外に冷静ね」

 サクヤは膨れた様子で調理に戻る。
 横から見ると頬を少し膨らませていた。
 トントンと軽妙な音を立て、包丁がまな板に落ちる音が響く。

 ユウは自分以上に底なしの性欲を持つサクヤに苦笑いしてしまう。
 行為中は意識を失いかけたり、自分がイッてしまっても腰を動かすユウにしがみついて、半泣きになりながら何度も絶頂しているというのに、どうして体力が持つのか不思議だった。

 終わった後の憔悴具合はサクヤのほうが激しく、肩で息をしているという表現がぴったりなほどなのだ。
 うつろな表情で、うつぶせのまま、よだれを垂らしながら全身を痙攣させる。
 全身が熱を持ったように熱く、真っ白な肌はピンク色に染まっている。
 そんなサクヤを見ていると、疲れと倦怠感のほか、表現しがたい充実感に包まれるのだった。

「その、夜は限界まで相手して欲しい、かな」

 よどみなく流れていた音──包丁の音がリズムを崩し、消える。

「え、あ、痛っ!」

 動揺のあまり、サクヤは包丁を指にぶつけてしまう。
 それほどの勢いではなかったものの、サクヤの柔らかい肌には十分すぎるほどの衝撃。ほんの少しだけ赤いものが流れ出していた。

 想定していない言葉だったのだ。
 ユウは普段そんなことを言わない。

「だ、大丈夫か!?」

 思わず立ち上がり、そばに近寄る。
 手元を見ると左人差し指から小さく血が流れていた。
 血が苦手なユウは動揺し、なぜかその指を口に含んだ。

「ユ、ユウ、何をっ!」

 口の中に広がるのはすこししょっぱい血の味。
 自分の知らなかったサクヤの味。

 頭がぼんやりする味だった。
 ──体が熱くなってくる。

 吸血鬼。そんな言葉が頭に流れるも、自分はやはり人間だ。
 生まれてこの方血を吸いたいと思ったことはないのだ。

 それでもサクヤの血を舐めていると体が興奮しているのがわかる。
 股間は痛いほどパンパンに膨らみ、発情し始めていた。

「ユウ……そんなに大した傷ではないと思うんだけれど……」

「わ、悪い、つい……」

「血、苦手じゃなかったかしら?」

「サクヤの……だからかな。──なんかむらむらした」

「変態……? 血で興奮するのは少しレベルが高いわね。私の幼馴染は思っていたより変態かもしれないわ」

「俺も俺がわからない……」

 ユウは自分の異常性癖に少し戸惑っていた。
 そしてサクヤに普段の状態で変態と言われると少しへこむことにも気づいた。

 その後二人は食事をして、用意のできた風呂に二人で入る。
 子供の頃のように二人で入ることには慣れつつある。
 ユウの母に「どうせなら一緒に入っちゃいなさい。ガス代ちょっとは変わるから」と言われているのもある。
 実際別々でも変わらないのでは? と思ったが、変に口を挟むと口うるさいのでユウは黙っていた。

「ユウ、髪を洗って欲しいの」

「お、俺が? なんで?」

「ほら、さっき指に怪我をしたでしょう? 少し染みるのよ」

「上手くやれるかわからないぞ?」

「大丈夫よ。そんなに難しいものでもないから」

 少しの不安を持ちながら浴室内部に向かう。
 人の髪を洗うというのは未体験領域だった。

「そう、そんな感じよ。上手ね」

「そうか……?」

 洗い場でサクヤは椅子に、ユウはその後ろに立って髪を洗っていた。
 サクヤは指を痛めているというほどではなく、単にユウに髪を洗ってほしかっただけだった。
 ぎこちなく気を遣った手つきに、サクヤは思わずにやけそうになるのをこらえる。

「上手上手。気持ちいいわ」

 サクヤが言う気持ちいいは別な意味に聞こえてしまう。
 まして今は二人とも全裸だ。
 意識しないようにしても意識してしまうユウであった。

「そ、それにしても綺麗な髪してるよな! こんなに長くて大変じゃないか!?」

 気恥ずかしくなったユウはごまかすように話題を変える。
 思わず目が行ってしまう鏡越しの股間や胸から目をそらし、なるべく見ないようにするのだった。

「覚えていないでしょうけれど、ユウが好きだと言ったから伸ばしているのよ? 小さい頃の話だから覚えていなくても無理はないけれど」

「そんなこと言った──言った! まさかそんなことを覚えて……」

「言われた方は意外と覚えているものよ。──それに、そうじゃなくてもこれで行こうとは思っているわ」

「面倒くさがりなのに?」

「だって、好きでしょう? ──えっちの時よく触っているじゃない」

「う、それは……」

 美容師以外誰も触れない場所。
 サクヤのトレードマークを独占しているということ、指を抜ける柔らかな細い感触、すべてがユウの心を侵食していた。
 ただ、バレているのは恥ずかしい。

「ね? だから続けるのよ」

 鏡越しにサクヤはユウの顔の方を見る。角度的に見えていないはずだが、色々見透かされているような気がした。
 ユウは何も言えず顔を赤くする。
 自分の性癖が相手に伝わっているというのは思いのほか恥ずかしかったのである。

 長く黒い髪が水を含み膨らむ。
 ユウは掌にそれを乗せ、ゆっくり綺麗に流していく。

 面倒くさがりなサクヤが自分の為にこれを管理してくれている。
 そう思うだけで愛おしさが胸に刺さる。

「さぁ、次はユウの番。私が洗ってあげる」

 洗い終えた後、サクヤは髪を後ろに流して言う。
 普段隠れているオデコが見えて、少し新鮮な気持ちだ。
 と言っても行為中は前髪を上げてみたりするので結構見ているものでもある。

「え、指は?」

 怪我をしているから洗って、という話だったはず。

「ええと……もう治ったわっ!」

「治るかい!」

「ちゃんと痛かったのよ、──一瞬だけ」

「──まぁいいや。じゃあお願いしようかな」

「骨抜きにしてあげる。自分では洗いたくなくなるくらい」

「それは困るな……」

 自分以外の手で現れるというのは不思議な感覚だった。
 小さな頃から通っている美容院──サクヤも同じ店だ──とはまた違う感覚。
 おそらくはプロじゃないから余計なんだろうな、とユウは推測する。

「──なんか変な感じ。自分でやるのと違って優しいっていうか、──変な感じ」

「ふふっ、ユウ、変な感じしか言ってないわよ?」

「うまく言えないんだよ。どうにもこういうの苦手なんだよな。言葉にするのがさ」

「理系だからかしらね? 私はどちらかというと文系だから、言葉にしたい方ね」

 嬉しい。ユウはそんな気持ちを持っていたが、口にはしない。
 言葉にするのが苦手、というのは文章としてではなく、単に恥ずかしい気持ちもあるのだ。

 ユウの背中に柔らかい感触が押し付けられる。
 二つの大きなふくらみ。

「──サクヤ、何してんの」

「押し付けてるのよ。大丈夫、ユウは素直だもの、こっちは」

「ちょ、なんで触って、やめ、あっ」

「こんなにおっきくして。洗って欲しいのはこっち?」

 背中から抱き着くように、サクヤはユウのチンポを撫でまわす。
 手に着いたシャンプーのせいでぬるぬると絡みつき、自然に声が漏れてしまう。

「だ、だめだって、母さん戻ってきちゃうから!」

「一回くらい大丈夫よ。お風呂えっちしましょ? 後ろからぱんぱん、ぱんぱんって激しく突いて……?♡」

 耳元で囁かれるかすれたような声に、背筋がぞくぞくと震える。
 蜘蛛の巣にからめとられた虫はこんな気持ちなのかもしれない、ユウはいつもそう思っていた。

「そろそろ戻ってくるかもしれないし、洗濯もしなきゃ! 夜、夜に何回でもするから!」

「今したいのに……約束よ、いっぱい可愛がってね」

 これは珍しく泊まりになるか?
 ユウはそんなことを考えた。

 普段サクヤが泊まるのは金曜日と土曜日だけだ。
 翌日に学校がある日は家に戻るのである。
 日曜日は日中だらだらと過ごしていることが多く、夜は早めに帰るのだ。


 洗濯を終え、外にシーツやら何やらを干して二人は部屋に戻る。
 ちょうど終わったタイミングで母親が戻り、改めて風呂場で行為に励まなくてよかったとユウは考える。

「さてさて、宿探しをしますか」

「あまり高いところはダメよ? 高校生なんだから」

「そこは常識的だな……」

「失礼ね。私はいつも常識的よ」

 四六時中情事にふけっている自分たちが常識的かどうかは怪しいと思う。ユウは思ったが口には出さない。

「愛し合う二人が体を求めあうのは常識的なことよ」

「心を……読んだ!?」

「ユウの考えそうなことくらいわかるわ。経験に基づく推測にすぎないのよ」

 そんなことを話しながら宿を探す。
 といっても二人の予算、移動の仕方を考えると選択肢はほとんどない。
 予約したのはバス送迎があるホテルだ。
 観光地であり、二人だけではないが何度か行ったことがある場所。
 二人の小学校の修学旅行もこの観光地だ。

「楽しみね」

「ワクワクするな。なんというか……冒険みたいな感じ!」

「子供ね、といいつつ私もワクワクしているわ。初めてだもの。新婚旅行の前借、といったところかしら」

「──新婚旅行はもっといいところに連れてくよ。海外とかさ」

「ふふっ、これからは交通事故には気をつけなきゃいけなくなったわね」

「そこは普段から気を付けてくれよ」


 予約を終えた後、ユウは勉強机、サクヤはベッドに寝そべりながら話す。
 ユウの部屋には椅子が一つしかないため、いつもこの配置だ。
 朝起こされるときなどは逆のパターンである。

 少し先の未来から遠い未来の話をする。
 二人はお互いの未来を疑うことをしない。

「早く二人とも結婚できるようになればいいのに」

「もう少しゆっくりでいいよ。結果は変わらないし、今こうしてるのも俺は好きだ」

「そうかもしれないけれど……でもそうね、もう少しゆっくりでもいいかもしれないわ。今すごく幸せだもの」

 ぼんやりとした目をしながら、サクヤはにっこりと微笑む。
 そして──唐突に寝た。

「え、サクヤ? ──もしかして寝た? え、どういうこと?」

 小さく寝息を立て、サクヤは寝た。
 ユウの知る限り本気の寝方だ。
 枕に顔をぺったりつけて、眼鏡をしたままユウの方を向いている。
 横向きのままの寝姿で、サクヤはこれが一番多い。

 時間はまだ夕方、寝るにはあまりにも早い。

「マジか……」

 あまりに唐突の事過ぎて頭が追い付かない。

「おーい、おーい。──ホントに寝てんのな……」

 顔の前で手をかざしてみても反応はない。

「また眼鏡したまま……顔の一部じゃないんだぞ……」

 小声で文句を言いながらゆっくり眼鏡をはずす。
 思ったより疲れてたんだなとユウは納得する。
 サクヤは表に出さない。そういうタイプだ。
 ユウと比べれば細い肩。こんな体のどこに体力があるのかと思っていたが、案の定残っていなかったらしい。
 子供みたいだとユウは苦笑する。

 電池が切れたかのように唐突に寝る子供。
 やっていることの違いはあれど、サクヤはまるで子供のようだった。
 しっかりもののイメージとはかけ離れた本当の姿。

「ユウ……結婚して……」

「寝言、だよな? ──俺のセリフだ、それは」

 面と向かっては恥ずかしくて言えない。
 ゆっくりと頭を撫で、ユウはにやけてしまう。
 化粧なしでも長い睫毛、白い肌。

「ホント、かわいいよな……」

 平常時ではとても言えないような歯の浮いたセリフ。
 寝ているサクヤにしか言えない自分のヘタレさに笑ってしまう。

 いつかは言えるようにならなきゃな、と思いながら、布団をかぶせて部屋を出る。


「ユウ。サクヤちゃんは?」

「寝た」

「寝たって……あんたが疲れさせたんでしょうが。──ほどほどにしなさいよ。あの子そんなに体強くないんだから」

「え? むしろ俺より強そうだけど……?」

「今はそうかもしれないけど、昔は病気がちだったのよ。何度か入院もしてるし。あんたは覚えてないだろうけどね」

「そんな大変な病気……!?」

「肺炎とか、そういうのよ。風邪をこじらせると小さい頃はよくあることでもあるんだけどね」

「もしかして後遺症とか、そういうのはあるの?」

「ないない。──ただ免疫があんまり強くないみたいね。今はあんたより元気そうではあるけど。でも女の子だからね、気を遣ってあげなさいよ」

 ユウは一安心した後、煙草は吸わないようにしようと決心した。
 どちらにせよそんなに興味はなかったが。

 その日、ユウは夕食を食べたが、サクヤはそのまま寝ていた。
 わざわざ起こさなくてもいいだろうと思ったのだ。
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