転生した俺YOEEEけど、何故か勇者やってます〜スキル習得が運ゲーガチャの鬼畜世界で俺はしぶとく生きていく〜

ゴシ

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第7話 冒険前夜

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 夕食を取り合えた俺は、アリスと話をするため、コロネに用意してもらった部屋に戻り、天界に意識を飛ばす。

「アリス、話がある、ってあれ?」

 俺は螺旋階段上の畳の部屋に行く。
 だがそこにはアリスの姿はなかった。
 姿が見えないのでアリス、アリースとアリスの名前を大声で連呼してみるが、何の反応もない。
 24時間ここにいるわけじゃないのか。
 そういえば飯の時、1回も話しかけてこなかったな。
 アリスにスラ高原の話を詳しく聞いて対策を練ろうと思っていたのだが……なんだこれ、パンフレットか?
 俺は前に見た畳の部屋と少し雰囲気が違うことに気づいた。
 ちゃぶ台の上に、前回は置いてなかったカラフルな雑誌とパンフレットを発見する。
 雑誌には付箋ふせんがかなり貼られてあり、パンフレットには赤ペンでグルグルに印がついていた。
 気になって、そのパンフレットを手に取って見てみる。赤のグルグルにはこう書かれている。

『あなたに癒しを!サタン島マグマ温泉ツアー4泊5日の旅!!』

「………え?」

 驚きのあまり、声が漏れてしまう。
 あいつもしかして旅行行ってる?
 俺が転生したばっかなのに?
 え、え、え、まじ?
 現実を受け止めきれず、パニックを起こす。
 異世界転生した直後の大事な時期に、監視を放棄されるなど考えてもみなかったからだ。

「は~、ダメだ。アイツは、マジでダメだ」

 頭を抱えずにはいられなかった。
 ハートの女神というぐらいだから、回復の補助とか生き残るのに必要な知恵を貰えると、少しは期待してたのに。
 ごめん、寝ちゃってた!とか明日にでも言ってくるなら全然許そう。
 でも、もし本当に4泊5日の旅に出かけてるなら、あいつはシバこう。女だろうが関係ない。ちゃんとシバく。
 俺は初めて女に手を挙げるかもしれないと覚悟して、アスティーナ城の自室に意識を戻した。
 そして明日に備えて眠りにつくのであった。


◇◇◇◇◇


 次の日の朝、俺はユウリと2人で朝食を取る。
 食事をしながらユウリに、自分の故郷である地球について話す。

「シエロの世界にはアニメやゲームというものがあるんですね!」
「はい。だから平和な地球でも魔法や魔物などの知識は多少あるんです」
「魔法も魔物もいない世界。それを想像で作るクリエイター。とてもすごいことです! 我が国の魔法騎士団に是非入れたい人材ですね!」
「え、えぇ、まぁ。新しい魔法とか生み出すかもしれないですね、は、ははは」

 俺の話を楽しそうに聞いてくれるユウリはとても可愛く、喜んで欲しくて、どんどん話を広げてしまう。

 話していてわかったことだが、この世界には娯楽という概念がほとんど無いらしい。
 そのため、ユウリは地球の話に興味深々。
 中でもかなり興味を示したのはアニメの話だった。
 アニメクリエイターを召喚士のように捉えてるのは笑える。
 貧弱なイメージしかないアニメクリエイターを、騎士団に入れても戦うとかは無理だろうに。

 そんなカンジでユウリと楽しい時間を過ごしていると、王の側近であるコロネがやってきた。

「シエロ様。スラ高原に行くゲートの準備が終わりました。お食事が終わり次第、地下の『転送の間』にお越しください」

 コロネはそう言うと、すぐに転送の間へと戻っていったのだ。

 初のLv上げは戦時中のアスティーナ王国近辺ではかなり難しいらしく、アーツの無い俺でも戦えそうなスラ高原に行くのが良いということで、コロネたちは俺をスラ高原に転送できるようにゲートを用意してくれたのだ。
 アニメやゲームなどが無い世界。
 だが転送装置がある世界。
 まだまだウレールのことを知らない。
 初の冒険先であるスラ高原とは、一体どんなところなのか。

「もう行ってしまうのですか?もっとお話しを聞きたかったのですが」

 ユウリは悲しげに見つめてくる。
 親バカリュードではないが、そんな綺麗な目で見つめられたら行けないじゃないか!
 ユウリと話したいのは俺も同じ。
 でもLvを上げて魔王軍と戦い、魔王フミヤ・マチーノを倒すことが、ユウリともっと仲良くする時間が出来ると自分に言い聞かせる。

「俺は勇者として召喚されたんです。立派な勇者になって、魔王を倒せば、話す時間はゆっくり取れますよ。そうだ、戦争が終わったらユウリのためにラノベを書きましょう」
「ラノベ?」
「ああ、ラノベっていうのは、アニメを文字だけで読めるようになった本のことです。アニメみたいな映像は作れませんが、本を書いて地球の娯楽を知ってもらいたいです」
「ラノベですか。はい、是非お願いしたいです!」

 戦争を終わらせて、地球の文化をユウリに教えると約束した。

「約束したからには無事に帰ってこなきゃですね。まずはスラ高原で鍛えてきます。3、4日で帰ってくるとは思いますが……お元気で」

 俺はユウリに一時の別れを告げ、コロネが言っていたアスティーナ城地下にある転送の間へと向かった。


◇◇◇◇◇


「ねぇ、コロネさん」
「なんでしょうか、シエロ様?」
「スラ高原ってどんなとこなの?」

 俺は昨日聞けなかったスラ高原について、転送目前で聞くことにした。
 行く場所の名前だけは聞いていたが、誰にもスラ高原について詳しいことは聞けず、ここまで来てしまったのだ。

「スラ高原ですか。実は私も知らないのです。ウレールの中で1番安全と言われる『ラック村』近辺の高原らしいのですが。すいません。いかんせん、私もアスティーナ王国から出たことが無いものですから」

 コロネもスラ高原については何もわからないと言う。
 ただ、スラ高原近くのラック村は魔族領土とは1番離れた場所にあるため、強い魔族と出くわすことがないと言う。
 ラック村が安全であるという話だけは聞いたことがあるから、近くのスラ高原なら大丈夫だろう、というのがリュードやコロネの見解なのだ。

 知らないけど安全っぽいで俺は行かされるのか。不安しかないわ。
 ……じゃあコロネさんはどうやってLv25まで行ったんだろ?
 話を聞く限り、スラ高原は低いLvの者にとって経験を積む良い場所。
 アスティーナ城の転送装置を使えばすぐ行けただろうに。なんで誰も知らないんだ?
 コロネにそのことを聞いてみる。

「私たちがスラ高原を知らないのは、アスティーナ王国から遠い国にある場所だからです。転送装置は王族の方々しか使う権限がありませんから。それに私たちアスティーナ出身の者は、皆親に連れられて、バルチアナ平原などで経験を積むのが普通でしたので」
「そ、そうですか」

 コロネはスラ高原をみんなが知らない理由を教えてくれた。
 転送装置は自由に使えないのか。
 それはスラ高原に行ったことがないのも納得だ、なるほどなるほど……って、ん?親に連れられてってことはパーティーを組めば楽にLv上がるってことじゃないか?
 俺はすぐさまコロネに、パーティーを組んだらLv上げが早くならないかと提案してみると

「本当ですね!気づきませんでした!」

 コロネは、「流石は勇者様!よく気づきましたね」と目を輝かせる。
 ………この人、大丈夫なのだろうか?
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