転生した俺YOEEEけど、何故か勇者やってます〜スキル習得が運ゲーガチャの鬼畜世界で俺はしぶとく生きていく〜

ゴシ

文字の大きさ
13 / 23

第13話 医療って何?

しおりを挟む
「しゃあー、あと3体だ!」

 5体目のスライムを倒し終え、最初8体いたスライムは残り3体。
 少しずつ戦いに慣れてきた俺にとって、残る3体のスライムなど造作もない。
 3体のスライムは横並びで石を投げてくるが、同じ方向から一直線に飛んでくる石ころなど、もう怖くない。
 ジャンプで石をかわし、3体並びの真ん中にいるスライム目掛けて距離を詰める。そしてスライムの頭から足元に向かって鍬を振り下ろす。
 スライムは俺の攻撃で一瞬にして粉々に砕け散る。

「これでラストぉぉー!」

 周りに陣取る2体のスライムを横薙ぎで一掃。
 俺は8体のスライム討伐を成し遂げたのだ。

「ヨヨ様ー、やりました!」
「……シエロ」

 8体のスライムを無事に倒し、ヨヨにやったーと喜びを露わにして近づいて行くが、ヨヨは俺からどんどん遠ざかって行く。

「なんで逃げるんですかー?」

 何故逃げる? ここはおめでとうとハグしてきてもおかしくない展開のはずなのだが?
 俺は不思議に思いながらもヨヨを追いかけ続ける。
 するとヨヨから意外な言葉を投げられる。

「こっちくんなよブス」
「ブス?」

 ブスというのは俺のことを言っているのだろうか?
 俺の顔がブスだからヨヨは逃げて行くということだろうか?
 えっ、嘘、俺ってブサイクなの?
 ヨヨの言葉で胸をえぐられる。
 最大の強みになるかもしれない俺の魅力って、同性からブサイクと言われる程度のものだったのかと思うと、辛くて仕方がなかった。
 ショックで落ち込んでるとヨヨは遠くから、自分の顔見てみろーと笑いながら叫んでいた。
 そんな笑うほどなのか?、失礼なヤツだな。
 普通にそれ、いじめレベルの暴言だからな!
 ……まぁ、気になるし、一応見とくか。
 ヨヨに言う通りに、近くの小川で自分の顔を確かめることにする。
 水面は透き通っており、まるで鏡かのように自分の顔をハッキリと写す。

「………」
「どうだ。笑える顔だろー」

 笑える顔だろと言われるが……確かにひどい顔だ。
 アリスがキャラメイクしたシエロ・ギュンターくんの顔がひどいのでは無い。というか今は分からない。
 顔の原型が分からないぐらい、コブったく顔がパンパンに腫れあがっていたのだ。
 おそらくスライムの投げる魔鉱石を受けまくっていたのが原因だろう。

 残り3体になった時は、倒すのがかなり楽勝だったスライム。だが最初に8体相手するのは、とても大変だったのだ。
 8体のスライムが投げてくる大量の石を、俺はヨヨのように、鍬を扇風機の羽根みたく回転させて石を弾いていた。
 でもそんな鍬を素早くグルグル回すなんて芸当を、最初から簡単にできる訳が無い。
 回転させていた鍬の隙間から石がすり抜けて顔面に直撃なんてことも多かったのだ。
 戦う興奮でアドレナリン出まくりだったのか、俺は自分が傷だらけであることに今やっと気づいた。

「初回から8体相手なんて、やっぱ無理ゲーだったんですよ」
「まぁまぁまぁ。でもお前やり遂げたじゃん。すげー弱気だったのに。見直したよ!」
「褒めるなら近くで褒めてくださいよー」

 このままだと次の修行にいけないと思い、俺はヨヨに傷を癒したいと提案する。
 するとヨヨは傷の癒える温泉があると言い出し、まだ遠いところから着いてこいと指示してくるのだ。
 傷の癒える温泉。効能だけ書いてあるパチもん温泉じゃなければいいが。
 またヨヨに逃げられてもメンタルがやられそうなので、ある程度の距離を保って着いて行くことにした。


◇◇◇◇◇


 ヨヨが言っていた温泉に到着し、俺はヨヨと共に湯に浸かっていた。
 その温泉は元の世界でよくある、効能が書いてあるけど効果出てるか分からないみたいな温泉とはまるで違う。
 お湯に浸かるとみるみるうちに顔の腫れは引き、体にできた傷やアザも消えて行くのであった。
 すごいな、この世界の温泉。お湯に浸かるだけでこんなに早く傷が治るなんて。
 ウレールの世界ではこれが当たり前なのだろうか?
 俺は温泉の効果の絶大さをヨヨに熱弁するが、ヨヨはそんな良いものじゃ無いと、俺の意見を一蹴する。
 理由はステータスプレートを見てみれば分かると言われたので、確認してみる。


名前:シエロ・ギュンター
役職:勇者
Lv:3
体力:12
MP:0
攻撃力:8
防御力:4
すばやさ:4
魅力:38
幸運:0
スキルポイント:4
スキル:勇者の加護/ハートの加護/ウレールの加護


「あれ、MPが無い?」

 スライムを倒し終えてから初めてステータスプレートを開くと、Lvが一気に3に上がっていた。
 体力や攻撃力などもLv1の時のシエロより、ちゃんと強くなっていた。
 だがおかしなことにMPだけは元より下がって、というより無くなっていた。
 確かLv1のシエロでもMPは4だったはず。
 なのにLv3になった途端MP0とはどういうことか?
 下がっているMPについてヨヨに追求すると、すぐに答えが返ってくる。

 MPが0なのは温泉に持っていかれたからであり、Lvが上がって減ったわけでは無いんだと。
 温泉に持っていかれるという表現にはかなり恐怖を覚えたが、ヨヨの説明で一応の納得はした。
 今浸かってる温泉は魔鉱石によって出来たもので、MPを消費する代わりに傷を癒してくれるのだという。
 だから実際今のステータスは0/最大MPというのが正しい表記なのだ。
 この世界のステータス表記は曖昧過ぎて困る。

「MPを使ったら傷は治るんですか?」
「治るぞ。というかそれでしか治らん」
「それでしか? えっと、薬とか……あと医者とかは?」
「なんじゃそれは? 魔鉱液と回復術士のことを言っておるのか?」

 確認を取る意味でMPについて聞き返したつもりだったが、返ってきた返答はかなり驚愕の話であった。

 詳しく聞いてみると、この世界には江口軍太がいた世界でいうところの医療という概念が全く無かったのだ。
 あるのは魔鉱石から抽出された魔鉱液を飲んで自分のMPを回復に回すか、ハートの加護のような回復に属したアーツを持つ回復術士に治してもらうかだけ。
 傷を縫合したり、薬を飲んで菌を殺すというようなことをヨヨに言っても全く理解されなかったのだ。

「傷口をヒモで結ぶって、怖いことをするんだな、お前のいた世界は。それに菌とはなんじゃ?魔物か?」

 この発言はヨヨが無知だからというわけでは無いだろう。
 多分だが、ヨヨの考えはウレールの住人を代表して言われている物だと俺は受け止める。
 さっきの体力やスライムの話同様、このウレールという世界は俺のいた世界とは全く違う概念が存在しているのだ。
 回復はMPを消費する。これだけがウレール共通の回復理論なのだろう。
 そのせいか、ヨヨには医療の話が狂言としか考えられないらしい。
 そう、この世界は剣や魔法、そして魔物もいるファンタジー世界だが、科学という理論に基づいたものが全くの皆無なのかもしれない。

「アリスのヤツは帰ってきたら説教してやらないと。アイツ、何の説明も無しに送り出しやがって」

 俺は女神アリスについての悪口を止めどなく口にする。
 それを聞いたヨヨは俺をなだめる。

「シエロよ。アリスというのは女神なんだろ? 役職が守護神なだけの俺とは違って、世界を作ってる本物の神様なんだから。そこまでにしないと、バチが当たるぞ」

 ヨヨは自分を下げるような発言を混ぜながら、女神を罵倒するのは良くないと俺にに言う。
 確かにヨヨの言う通りかもしれない。
 クソな女神だが、命を救ってくれたのは、他でもないアリスだ。
 でも対応がな~……あれ、そういえば?

 ヨヨの意見に納得しかけていたが、そんなことよりも気になったことがあった。

「そういえばヨヨ様って何者なんですか?」

 ヨヨが村で神様として慕われているというのは、ラック村の人たちから聞いていた。
 皆がヨヨ様ヨヨ様と口にしていたから、なんとなくで俺もヨヨ様と言っていたが、実際はどんな神なのかも知らないまま一緒に行動していたのだ。

「お、ジル達から聞いたらんかったのか?聞いて驚くなよ。俺は『雨の守護神』なんだぞ」

 ヨヨは自分を雨の守護神と宣言し、自分の存在や守護神について話し始めるのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

処理中です...