転生したら、まさかの脇役モブでした～能力値ゼロからの成り上がり、世界を覆すは俺の役目？～

水無月いい人(minazuki)

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第五章：禁書庫の深淵、解き放たれる真実

EX章：青い瞳に映る、私だけの彼

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夜の王都は、静けさの中に微かな息遣いを感じさせた。
王城の自室で、エルヴィーナは窓辺に立ち、瞬く街の灯りを見下ろしていた。

その青い瞳には、微かに月の光が宿る。

（アルスさん……）

彼の名が、そっと唇の端にのぼる。
初めて彼の存在を知ってから、どれほどの月日が流れただろうか。

王女としての日常は、決められた型の中で緩やかに流れていくものだったはずなのに、彼が現れてからというもの、世界の色彩は一変した。

王都に招かれてからの彼の活躍は、噂となって城内にも届いていた。

魔物討伐の報告書、騎士団からの推薦状、そして市井で囁かれる彼の逸話。

どれもが彼の非凡さを物語っていたが、エルヴィーナにとって、それらは彼の一面に過ぎなかった。

彼の本質。彼の持つ、他者には見えない輝き。
それを最初に捉えたのは、この自分の青い瞳だったのだ。

彼のことを知るたび、彼の行動を見るたび、胸の奥で熱いものが込み上げてくる。

彼が聖女セレナと共に任務に就くたび、遠くから見守ることしかできない自分の無力さに、歯がゆさを感じた。

同時に、セレナと並び立つ彼の姿に、甘く、そして苦しい感情が募っていく。

（私も、あの人の隣に立ちたい……）

エルヴィーナは、そっと自らの胸に手を当てた。

王女としての務めを果たす傍ら、彼女は密かに武術や魔法の研鑽を積んでいたのだ。
全ては、いつか彼に追いつき、彼の力になりたいという、ただ一つの願いのため。

その夜もまた、彼のことを想い、未来への決意を固めていた。

その時、隣の部屋から微かな声が聞こえてきた。王城の自室は、隣の部屋との間が薄い。隣は、今夜アルスが休むことになった部屋だ。

「アルス様、少しよろしいでしょうか……？」

聖女セレナの声だった。エルヴィーナは思わず、扉へと近づいた。小さな隙間から覗くと、セレナがアルスの部屋に入っていくのが見える。

そして二人の声が、はっきりと聞こえてくる。

「貴方が、いつも私を守ってくださること……私が囚われていた時、貴方が助け出してくださったこと……」

セレナの切羽詰まったような、しかし純粋な声。エルヴィーナの心臓が、ドクン、と大きく鳴った。

「私は、アルス様を……愛して、います……」

その言葉に、エルヴィーナは息を呑んだ。全身の血の気が引いていくのがわかる。

そして、アルスの声が聞こえた。

「……俺はまだ子供です。……ただのガキなんですよ。それにまだ、勇者と決まった訳でもありません。だからそういうのはまだ……」

エルヴィーナの胸に、安堵と、そして言いようのない激しい感情が渦巻いた。アルスは、セレナの告白を、受け入れなかったのだ。

しかし、その後のアルスの言葉、そしてセレナの返事まで、エルヴィーナの耳には、すべてが鮮明に届いていた。

「……俺は、必ず魔王を倒します。そして、この世界を救う。この世界だけじゃありません。俺は貴方だって救いたいんです。それが、俺に与えられた使命だと思っていますから」

「そして……もしその時。俺が大人になって、それでもまだ、俺を好きでいてくれたなら。俺もそれに応えます。だから……待っていてくれますか？」

「はい……はい……！待っています！どこまでも、いつまでも、貴方を信じて待っています……！」

二人の、未来への誓い。固く結ばれた絆の音が、エルヴィーナの胸を締め付けた。

エルヴィーナは、そっとドアの隙間から目を離し、冷たくなった指先で自分の唇をきつく噛んだ。

（……アルスさん。貴方は、私の運命の人なのに……まさか、そんな誓いを、他の女と……）

その青い瞳の奥に、王女としての気品とは裏腹の、激しい独占欲と、そして深淵のような執着の光が、静かに燃え上がっていた。

（……聖女セレナ。アルスさんの隣に立つのはこの私です）

エルヴィーナは小さな拳を握りしめ、自室に戻ると再び決意する。

「私は必ず強くなります。いつか貴方の隣に立つために」

──王家の血を持つ者は生まれた時から並外れたステータスを持つ。
彼女もその一人。そしてまた、彼女は努力家でもあった。

アルスの隣に立ちたい。その一心で武術や魔法の研鑽を積んでいた。

（彼は私だけの……）

彼女が魔物に襲われた時、一人で蹴散らす事など造作もない事だった。

ただ単に精神が追いついていなかったのだ。

まだアルスと変わらない容姿。

追いつかないのも無理もない。

しかしたった今、彼女は確固たる精神力を手に入れた。

嫉妬という力を──。

【名前：エルヴィーナ・フォン・グラナティア】
【種族：人間】
【職業：王女】
【体力：２５．０】
【魔力：３０．０】
【筋力：２２．０】
【敏捷：２８．０】
【器用：２３．０】
【知力：２９．０】
【幸運：２７．０】

【スキル】

王家の威厳: 周囲の人間、特に臣下の士気を高め、畏敬の念を抱かせる。魔物にも微弱な威圧効果あり。

魔力操作（王族）: 王族特有の膨大な魔力を精密に操作する。魔法の効果と威力を飛躍的に向上させる。

高速詠唱: 魔法の発動時間を大幅に短縮する。

未来予知（微弱）: 稀に、未来の断片を夢や直感として垣間見ることがある。

洞察の瞳: 相手の本質や隠された感情、微細な変化を見抜く。

精神統一: 極度の緊張下でも冷静さを保ち、精神的な動揺を抑え込む。

狂愛（パトス）: 特定の対象への強い執着と愛情が、身体能力と魔力を一時的に大幅に増幅させる。その反面、理性が一部欠落する危険性あり。

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