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1章
4話 身近の人の大切さ
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???&千都世side一一一一一
「……そうだったのか」
「あぁ、会ってみてよかったよ。一応カマかけるだけのつもりだったんだけど…さすが僕と同じ存在だ。随分楽しかった」
「そりゃ、よかったね…俺も見に行きたかったな」
「やめとけ、君今彼女の担任なんだろう?よけい混乱するだけじゃないか」
「っはは、それが楽しいとか言ってそうな奴が何を」
そう言いながら目の前にいる、僕より背が高く、和やかそうなオーラがある先生が黄色の髪をなびかせて、笑う。彼はさっき会ってきた彼女の担任だ。
先生としてはとても人気があるらしく、特に女子生徒から。
なんでも、悩みを聞いたり、真摯に生徒に向き合う姿がかっこいいだとか…
まぁ、どうでもいいが。
「…で、本題に入ろう。近づいたという事は今日、なのか」
彼は真面目な顔になり紅に染まるその瞳を向けてきた。
(真面目な顔も一応はイケメンだよなー)
「ああ、行動を起こすとしたら今日だ。放課後にでも、何かやんなきゃな」
「何かって…どうせあの方のお守りは、絶対警戒心むき出しにしてるよ」
「は~あ…面倒な…」
「そこをなんとかするのがあなたの役目でしょう?」
「まあ…な」
一一一一一一一一一一
「大丈夫?落ち着いた?」
「うん…ごめ…」
「なんでまた1人で背負い込もうとする!?そんなに俺らが頼りないか!…どうして…相談してくれなかったんだ…信用してくれないのか…?」
「ちょ、刹那!」
「…ごめん……」
「依舞も!?…あ~もう!」
「…………」
刹那はとても苛立っている様子だったが、最後はすがるような目で見てきた。
(怒られるのは…当然…なのに…刹那の言ってることは…間違っていないのに…)
「…わかった。じゃこうしよう。っていうかどっちも一旦落ち着いて」
そう言って零那は私達2人の頭にチョップした。結構痛い。痛みで泣きそ。
刹那も痛そうだとすぐにわかった。
「…落ち着いた?」
「…う、うん…」
「…お、おう…」
「じゃ、まずは冷静になった所で…依舞!」
「…はっはい!」
急に呼ばれたので姿勢を正す。
「何があったか、話してくれる?え~無理には聞かないから…」
「………」
戸惑いながらも私は今日の出来事をほとんど話した。
ほとんどって言うのは、あのペンダントを見た時に感じたものの正体がよくわからなかったので言わなかった為だ。
不確定要素のことを言って不安にさせるのは良くない。
「…そっか…」
「零那も…怒ってる…?」
「怒ってないよ…でも、頼りにしてくれなかったのは…少し…くるなぁ…」
「…ごめん」
「いいよ、今度気をつけてくれれば…」
「…………」
「え、なんで?なんでそこで黙るの…?」
「だって…」
「…ん~、そこが依舞のいいところ、なのかな…?」
「いや、そんなわけないだろう」
「あ、復活した」
「お前がやったんだろうが…」
やっと痛みから復活したのか、刹那が会話に混ざった。
「じゃ、次は刹那ね…オブラートに包んで、気を使って、依舞の立場になって、親身に、話して…大丈夫だよね…?」
「…っおっおう!…あったりまえよ!」
「……刹那…?」
(やっぱ怒られるよね…刹那だし…)
「一応…オブラート、に…」
(なんか呟いてる…?)
「…依舞」
「うん…」
「俺こそ…ごめんな…依舞も怖かったんだろう…?1人で…」
「…今は、刹那達がいるから…もう、大丈夫」
「………」
(いいな…私がまとめたのに…除け者扱い…)
「……零那…ありがとう…!元気、出た…!」
「っ…ううん…当然だよ…だって…私達…親友でしょ!」
笑顔で私達を抱きしめた。暖かい…これが…人のぬくもりだったのか…安心する。
「ふふっ」
「…これ…はずいわ…」
「我慢しろ~、刹那め~」
楽しい。こんなのが続けばいいと思うのは我儘だろうか…?
空を見上げようとすると、まだ明るい日差しが私に上へ向かせることを拒んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「…じゃ、そろそろ戻んないと…依舞、刹那、行こ~」
「ああ」
「うん」
零那が立ち上がり声をかける。それに返事をして私達も立ち上がる。
一瞬グラッとよろめいてしまったが、たぶん疲れているのだろう。寝たい。
…時間は…と、確認してみた。あと5分ほどあるようだ。
(はぁ~…午後やだなぁ~…めんどくさいなぁ~…)
あんなことが起きても学校があることに多少怒りなどを覚えてしまう。
少しはこちらの気持ちも汲み取って…いや、仕方ないか…
そうこう考えていると、後ろにいた2人がついてきていないことに気づいた。
だいぶ先に進んでしまった…もう先に帰ってようかな…と新たに考えを巡らせることになった私は結局先に帰ってしまった。
ーーーーーーーーーーー
依舞……お嬢様が教室から出て行くところを見て、隣にいる人の顔を見上げる。
「…刹那」
「…あちらが直接接触してきたということは…」
「今日…なのかな…」
「こちらのことも考えていない奴らじゃない……俺らに対抗する術が…必ず…」
「でも、それだったら1つ、思い当たることがあるよ」
「ああ、奇遇だな。俺もだ」
「お嬢様が自ら封印した記憶…それを盾にしてくる可能性が高い」
刹那は急に責任を感じたように顔を顰めた。
「……だが、俺がアレを奪われていたことにもっと早く気づけていたら…」
「ばか。自分ばっか責めるなよ~…それを言うなら私だって…………だ・か・ら!
今度は絶対助けるよ。私が命をかけて…確実に」
「それだとお嬢や、俺だって怒る。お前にいなくなっては欲しくない」
「…刹那……やっと君の辞書に優しさという言葉が載ったね…」
「俺をなんだと思ってるんだ!だいたい、優しさなんて言葉もう載ってる…!」
「………え」
「なんでそんなに引くんだ…」
ちょっとショックだったみたいだ。慰めてやらないけど。
「とりま警戒するにこしたことはないよね~?」
「だが、行動を起こせるとしたらあちらも自由になれる放課後…っていうか、他にも危険分子がいるじゃないか…」
「…ん?だれ?」
「さっきも話したが、お嬢が夢を見た件の…」
「あー…んー…ともかく、あれの正体がわからない今はどうすることも…」
「表…裏…か…ただの二重人格って訳ではなさそうだ」
「目的ははっきりしていても…殺すってどうやるんだろ?」
「さぁ…もしかしたらあれは夢じゃないのかもしれないな」
「…というと?」
「あれは誰にでもある精神世界じゃないか…と…思った…夢でもう一人の自分が殺しにくるってのはおかしいだろ。どう考えても」
「…ふむぅ…精神世界か…なくはない…だけどなぁ…」
「なんだよ…?」
「いやね?私はそこじゃ助けらんないなと…精神世界にまでいっちゃうと我々じゃ、関与できない。自分だけの場所だからね…だからぁ~」
「そうだった…こればっかりは仕方ない、とは言いたくないが…」
「お嬢様の判断に任せるよ…ま…ここまでくれば記憶が戻ってしまうのもそれこそ仕方がないから…私達は帰りを待ちつつ…全力で護る」
「…だ~な…」
それじゃあ…と言って私達の教室へ帰ろうと歩き出す。
私達の心は決心が決まり実に凛々しい様に思えた。
ーーーーーーーーーーーーー
「…あ、また2人でなんか話してたの?」
私は教室へ入ってきた零那と刹那に声をかける。
2人は何故か晴々とした顔になっていた。
…また、除け者じゃんか…
「うん。気になることがあってね…ごめんね依舞…」
「いや、いいよ…こっちこそ長い間ごめん」
「…え…?…今…なんて…」
「どうして、長い間って言って…」
2人が困惑した様な顔を浮かべている。
(…ん?長い間…?普通に喋ったつもりだったんだけど…なんで?)
「あー、なんか咄嗟に出ちゃったみたい…だ、ね?」
「…零那」
「…うん、さっきあったらしいのがきっかけで…」
(…?どして2人は何か悟ったような感じになってるの?)
チャイムが鳴る。零那達は準備をしていないからこれ以上引き止めてはいけない。
「あ、依舞。また後でね…」
「依舞…無理はするなよ…」
「うん?うん」
(なんか心配された…もう子供じゃ…いや子供だけど子供じゃないのに…というか2人の方が隠し事してるし、人のこと言えんし…ばかかよ…)
それにしても…さっきのはなんだったのだろう、と、頭をひねるが、ヒントがない上に難問なことにわかるはずもなく…
集中出来ない時間だけが過ぎ去っていった。
「……そうだったのか」
「あぁ、会ってみてよかったよ。一応カマかけるだけのつもりだったんだけど…さすが僕と同じ存在だ。随分楽しかった」
「そりゃ、よかったね…俺も見に行きたかったな」
「やめとけ、君今彼女の担任なんだろう?よけい混乱するだけじゃないか」
「っはは、それが楽しいとか言ってそうな奴が何を」
そう言いながら目の前にいる、僕より背が高く、和やかそうなオーラがある先生が黄色の髪をなびかせて、笑う。彼はさっき会ってきた彼女の担任だ。
先生としてはとても人気があるらしく、特に女子生徒から。
なんでも、悩みを聞いたり、真摯に生徒に向き合う姿がかっこいいだとか…
まぁ、どうでもいいが。
「…で、本題に入ろう。近づいたという事は今日、なのか」
彼は真面目な顔になり紅に染まるその瞳を向けてきた。
(真面目な顔も一応はイケメンだよなー)
「ああ、行動を起こすとしたら今日だ。放課後にでも、何かやんなきゃな」
「何かって…どうせあの方のお守りは、絶対警戒心むき出しにしてるよ」
「は~あ…面倒な…」
「そこをなんとかするのがあなたの役目でしょう?」
「まあ…な」
一一一一一一一一一一
「大丈夫?落ち着いた?」
「うん…ごめ…」
「なんでまた1人で背負い込もうとする!?そんなに俺らが頼りないか!…どうして…相談してくれなかったんだ…信用してくれないのか…?」
「ちょ、刹那!」
「…ごめん……」
「依舞も!?…あ~もう!」
「…………」
刹那はとても苛立っている様子だったが、最後はすがるような目で見てきた。
(怒られるのは…当然…なのに…刹那の言ってることは…間違っていないのに…)
「…わかった。じゃこうしよう。っていうかどっちも一旦落ち着いて」
そう言って零那は私達2人の頭にチョップした。結構痛い。痛みで泣きそ。
刹那も痛そうだとすぐにわかった。
「…落ち着いた?」
「…う、うん…」
「…お、おう…」
「じゃ、まずは冷静になった所で…依舞!」
「…はっはい!」
急に呼ばれたので姿勢を正す。
「何があったか、話してくれる?え~無理には聞かないから…」
「………」
戸惑いながらも私は今日の出来事をほとんど話した。
ほとんどって言うのは、あのペンダントを見た時に感じたものの正体がよくわからなかったので言わなかった為だ。
不確定要素のことを言って不安にさせるのは良くない。
「…そっか…」
「零那も…怒ってる…?」
「怒ってないよ…でも、頼りにしてくれなかったのは…少し…くるなぁ…」
「…ごめん」
「いいよ、今度気をつけてくれれば…」
「…………」
「え、なんで?なんでそこで黙るの…?」
「だって…」
「…ん~、そこが依舞のいいところ、なのかな…?」
「いや、そんなわけないだろう」
「あ、復活した」
「お前がやったんだろうが…」
やっと痛みから復活したのか、刹那が会話に混ざった。
「じゃ、次は刹那ね…オブラートに包んで、気を使って、依舞の立場になって、親身に、話して…大丈夫だよね…?」
「…っおっおう!…あったりまえよ!」
「……刹那…?」
(やっぱ怒られるよね…刹那だし…)
「一応…オブラート、に…」
(なんか呟いてる…?)
「…依舞」
「うん…」
「俺こそ…ごめんな…依舞も怖かったんだろう…?1人で…」
「…今は、刹那達がいるから…もう、大丈夫」
「………」
(いいな…私がまとめたのに…除け者扱い…)
「……零那…ありがとう…!元気、出た…!」
「っ…ううん…当然だよ…だって…私達…親友でしょ!」
笑顔で私達を抱きしめた。暖かい…これが…人のぬくもりだったのか…安心する。
「ふふっ」
「…これ…はずいわ…」
「我慢しろ~、刹那め~」
楽しい。こんなのが続けばいいと思うのは我儘だろうか…?
空を見上げようとすると、まだ明るい日差しが私に上へ向かせることを拒んだ。
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「…じゃ、そろそろ戻んないと…依舞、刹那、行こ~」
「ああ」
「うん」
零那が立ち上がり声をかける。それに返事をして私達も立ち上がる。
一瞬グラッとよろめいてしまったが、たぶん疲れているのだろう。寝たい。
…時間は…と、確認してみた。あと5分ほどあるようだ。
(はぁ~…午後やだなぁ~…めんどくさいなぁ~…)
あんなことが起きても学校があることに多少怒りなどを覚えてしまう。
少しはこちらの気持ちも汲み取って…いや、仕方ないか…
そうこう考えていると、後ろにいた2人がついてきていないことに気づいた。
だいぶ先に進んでしまった…もう先に帰ってようかな…と新たに考えを巡らせることになった私は結局先に帰ってしまった。
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依舞……お嬢様が教室から出て行くところを見て、隣にいる人の顔を見上げる。
「…刹那」
「…あちらが直接接触してきたということは…」
「今日…なのかな…」
「こちらのことも考えていない奴らじゃない……俺らに対抗する術が…必ず…」
「でも、それだったら1つ、思い当たることがあるよ」
「ああ、奇遇だな。俺もだ」
「お嬢様が自ら封印した記憶…それを盾にしてくる可能性が高い」
刹那は急に責任を感じたように顔を顰めた。
「……だが、俺がアレを奪われていたことにもっと早く気づけていたら…」
「ばか。自分ばっか責めるなよ~…それを言うなら私だって…………だ・か・ら!
今度は絶対助けるよ。私が命をかけて…確実に」
「それだとお嬢や、俺だって怒る。お前にいなくなっては欲しくない」
「…刹那……やっと君の辞書に優しさという言葉が載ったね…」
「俺をなんだと思ってるんだ!だいたい、優しさなんて言葉もう載ってる…!」
「………え」
「なんでそんなに引くんだ…」
ちょっとショックだったみたいだ。慰めてやらないけど。
「とりま警戒するにこしたことはないよね~?」
「だが、行動を起こせるとしたらあちらも自由になれる放課後…っていうか、他にも危険分子がいるじゃないか…」
「…ん?だれ?」
「さっきも話したが、お嬢が夢を見た件の…」
「あー…んー…ともかく、あれの正体がわからない今はどうすることも…」
「表…裏…か…ただの二重人格って訳ではなさそうだ」
「目的ははっきりしていても…殺すってどうやるんだろ?」
「さぁ…もしかしたらあれは夢じゃないのかもしれないな」
「…というと?」
「あれは誰にでもある精神世界じゃないか…と…思った…夢でもう一人の自分が殺しにくるってのはおかしいだろ。どう考えても」
「…ふむぅ…精神世界か…なくはない…だけどなぁ…」
「なんだよ…?」
「いやね?私はそこじゃ助けらんないなと…精神世界にまでいっちゃうと我々じゃ、関与できない。自分だけの場所だからね…だからぁ~」
「そうだった…こればっかりは仕方ない、とは言いたくないが…」
「お嬢様の判断に任せるよ…ま…ここまでくれば記憶が戻ってしまうのもそれこそ仕方がないから…私達は帰りを待ちつつ…全力で護る」
「…だ~な…」
それじゃあ…と言って私達の教室へ帰ろうと歩き出す。
私達の心は決心が決まり実に凛々しい様に思えた。
ーーーーーーーーーーーーー
「…あ、また2人でなんか話してたの?」
私は教室へ入ってきた零那と刹那に声をかける。
2人は何故か晴々とした顔になっていた。
…また、除け者じゃんか…
「うん。気になることがあってね…ごめんね依舞…」
「いや、いいよ…こっちこそ長い間ごめん」
「…え…?…今…なんて…」
「どうして、長い間って言って…」
2人が困惑した様な顔を浮かべている。
(…ん?長い間…?普通に喋ったつもりだったんだけど…なんで?)
「あー、なんか咄嗟に出ちゃったみたい…だ、ね?」
「…零那」
「…うん、さっきあったらしいのがきっかけで…」
(…?どして2人は何か悟ったような感じになってるの?)
チャイムが鳴る。零那達は準備をしていないからこれ以上引き止めてはいけない。
「あ、依舞。また後でね…」
「依舞…無理はするなよ…」
「うん?うん」
(なんか心配された…もう子供じゃ…いや子供だけど子供じゃないのに…というか2人の方が隠し事してるし、人のこと言えんし…ばかかよ…)
それにしても…さっきのはなんだったのだろう、と、頭をひねるが、ヒントがない上に難問なことにわかるはずもなく…
集中出来ない時間だけが過ぎ去っていった。
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