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アルザス公爵家にて
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「エリアス!エリアス!しっかりして!」
エリアスの体には肩の剣の傷の他は刺し傷はない。だが、隣で事切れているルーレシアの皇太子と同じぐらい青ざめた顔はただ気を失っているのではないことは、戦いの場に出たこともなく、死体を目撃したことのないセシリアでもわかった。
「とにかくここから出なくてはならないわ」
セシリアはエリアスの体を引きずって馬車に載せると、自ら、馬の手綱をとって、森を抜けた。
「ここを通り抜ければエリアスのお家があるのよね?」
森を通り抜けると、アルザス公爵家の門が見えた。
門は当たり前だが閉まったままだ。門の周りは四方が高い緑の柵で囲まれており、仲が見えない。
「お願いです!誰か助けて!エリアスが!エリアスが死んじゃう!」
セシリアはありったけの声で助けを呼んだ。
公爵領とは彼女が知る由もないが、立派な作りの家の為、誰か警備の者が近くにいるのではないかと考えたからだ。
しばらくして、バタバタとした足音が聞こえて、門が開いた。顔を覗かせた少年は胸前を合わせて腰紐で結ぶという変わった服を身につけていた。
身のこなしから見て、お庭番のようだった。
「私は、ガードランドの王女、セシリア・ガードランドです。エリアスが、大変なんです。この家はエリアスの物だと聞きました。早く助けてください!」
お庭番の少年はセシリアを一瞥すると、馬車のドアを開けて、エリアスを見た。
「ご領主様!これは一体?」
「森の中で戦いになって…」
「馬車に乗ってください。とりあえず、屋敷に運びましょう」
お庭番の少年が手綱を握り馬車を運転する。セシリアも馬車に乗り込んで、エリアス抱きながら座った。
公爵の屋敷に着いた瞬間、扉が開いて、執事のカールが出てきた。
「ご主様が大変なんだ!」
少年の言葉に馬車のドアを開けて、執事は言葉に詰まった。
「これは…」
「早くお医者様を呼んでください!エリアスが死んじゃう!」
◇ ◇ ◇
公爵領に医者が来たのはそれからすぐのことだった。
「肩の傷の他はどこも致命傷が見当たりません」
医者は体の傷を手当てしたが、あとはすることがないと告げる。
「それなのに命が尽きそうな程、脈も心臓も弱くなっています」
「なんとかならないのですか?」
カールの言葉に医者は首を振った。
公爵の部屋ではなく客室に通されていたセシリアは、カールが出てくるのを今か今かと待っていた。
「どうでしたの?」
「医学の力でできることはしましたが、今夜が峠だそうです」
「えっ?」
「深い傷を負っていないのに瀕死の状態だそうです。何があったのですか?」
セシリアは馬車の中で聞いた音を頼りにわかることやこれまでに経緯を初老の執事に説明した。
「ルーレシアの皇太子と決闘を?」
「ええ。私を守るために、エリアスがあんな事に」
「というとあなた様は?」
「ガートランドの王女セシリアです」
セシリアは優雅に淑女の礼をした。
「やはり、あなた様が、我が主が騎士の誓いを立てられたセシリア様でしたか」
「ええ。でもそのせいでこんな事に」
「エリアス様はあなた様をルーレシアの皇太子から守りきったことを誇りに思っている筈です」
「でも、死んでしまったら何にもならないわ。エリアスが死んだら、私も生きていけない!」
「セシリア様…」
目の前で泣き出す王女を見てエリアスが子供の頃から可愛がって来た執事のカールは胸を痛ませた。
エリアスの体には肩の剣の傷の他は刺し傷はない。だが、隣で事切れているルーレシアの皇太子と同じぐらい青ざめた顔はただ気を失っているのではないことは、戦いの場に出たこともなく、死体を目撃したことのないセシリアでもわかった。
「とにかくここから出なくてはならないわ」
セシリアはエリアスの体を引きずって馬車に載せると、自ら、馬の手綱をとって、森を抜けた。
「ここを通り抜ければエリアスのお家があるのよね?」
森を通り抜けると、アルザス公爵家の門が見えた。
門は当たり前だが閉まったままだ。門の周りは四方が高い緑の柵で囲まれており、仲が見えない。
「お願いです!誰か助けて!エリアスが!エリアスが死んじゃう!」
セシリアはありったけの声で助けを呼んだ。
公爵領とは彼女が知る由もないが、立派な作りの家の為、誰か警備の者が近くにいるのではないかと考えたからだ。
しばらくして、バタバタとした足音が聞こえて、門が開いた。顔を覗かせた少年は胸前を合わせて腰紐で結ぶという変わった服を身につけていた。
身のこなしから見て、お庭番のようだった。
「私は、ガードランドの王女、セシリア・ガードランドです。エリアスが、大変なんです。この家はエリアスの物だと聞きました。早く助けてください!」
お庭番の少年はセシリアを一瞥すると、馬車のドアを開けて、エリアスを見た。
「ご領主様!これは一体?」
「森の中で戦いになって…」
「馬車に乗ってください。とりあえず、屋敷に運びましょう」
お庭番の少年が手綱を握り馬車を運転する。セシリアも馬車に乗り込んで、エリアス抱きながら座った。
公爵の屋敷に着いた瞬間、扉が開いて、執事のカールが出てきた。
「ご主様が大変なんだ!」
少年の言葉に馬車のドアを開けて、執事は言葉に詰まった。
「これは…」
「早くお医者様を呼んでください!エリアスが死んじゃう!」
◇ ◇ ◇
公爵領に医者が来たのはそれからすぐのことだった。
「肩の傷の他はどこも致命傷が見当たりません」
医者は体の傷を手当てしたが、あとはすることがないと告げる。
「それなのに命が尽きそうな程、脈も心臓も弱くなっています」
「なんとかならないのですか?」
カールの言葉に医者は首を振った。
公爵の部屋ではなく客室に通されていたセシリアは、カールが出てくるのを今か今かと待っていた。
「どうでしたの?」
「医学の力でできることはしましたが、今夜が峠だそうです」
「えっ?」
「深い傷を負っていないのに瀕死の状態だそうです。何があったのですか?」
セシリアは馬車の中で聞いた音を頼りにわかることやこれまでに経緯を初老の執事に説明した。
「ルーレシアの皇太子と決闘を?」
「ええ。私を守るために、エリアスがあんな事に」
「というとあなた様は?」
「ガートランドの王女セシリアです」
セシリアは優雅に淑女の礼をした。
「やはり、あなた様が、我が主が騎士の誓いを立てられたセシリア様でしたか」
「ええ。でもそのせいでこんな事に」
「エリアス様はあなた様をルーレシアの皇太子から守りきったことを誇りに思っている筈です」
「でも、死んでしまったら何にもならないわ。エリアスが死んだら、私も生きていけない!」
「セシリア様…」
目の前で泣き出す王女を見てエリアスが子供の頃から可愛がって来た執事のカールは胸を痛ませた。
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