転生王女は隣国の冷酷皇太子から逃れて美形騎士と結ばれたい!

Erie

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深窓の婚約者

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王家から正式な婚約の承認の書類と結婚許可証が届いて、エリアスは6ヶ月後に式をすることに決めた。

「まあ、では式は6月になりますのね?」

「ええ、初夏なので良い式ができるでしょう。アルザス領の他の領地が海辺にもありますから、式の後は、そこへ旅行へ出かけましょう」

「では、準備に忙しくなるわね?」

「ええ」

エリアスは愛しいセシリアに優しい笑みを浮かべているが、心の中は穏やかではなかった。アルザス公爵家のお庭番からアルザス領で殺した筈のハインリッヒの死体が、隣国のエミレーツで発見されたという報告を聞いたからだ。

「公爵家なので、すぐに挙式できなくて、すみません」

「いいのよ?侍女たちも大喜びだと思うわ」

エリアスが不在時には、公爵家を切り盛りするだけで華やかな行事はなく、公爵家の侍女達はセシリアが来てから、着飾ったり、お手入れの仕事ができると張り切っていた。

「お義母様からも一緒に素敵なウエディングドレスを考えましょう?といわれているの。ドレスの採寸から作成まで、半年かかるというし、丁度いいわ」

「ええ」

「セシリア様、公爵様、お茶のおかわりはいかがですか?」

「ありがとう、エミリア」

セシリアがエミリアにお菓子の追加をお願いして、たわいのない話をしだすと、エリアスは先ほどの考えに頭を戻した。エミレーツで自国の皇太子が殺害されたと聞けば、好戦的なルーレシアは攻め込んでくるだろう。陸を通じて、隣国であるティールザードも危険になる。だが、現在エミレーツはルーレシアと同等の軍事国家であるパラディア国との同盟を結んでおり、エミレーツ出身の姫を妃に迎えて、目の中に入れても痛くないほど可愛がっている若き王が後ろ盾にいるエミレーツにすぐには攻め込んでこないだろう。国の基盤が弱った時やパラディアの隙を突いて攻めるには綿密な計画と準備が必要であったので、攻め込むにしても早くて、1年後だろう。そして、ルーレシアの第2皇子はハインリッヒを嫌っていたという。王位継承権を持つ王弟の宰相もこの突然の出来事に笑みを浮かべていることだろう。なので、ルーレシアの国内はしばらく揺れることになる。


今から半年は大丈夫でしょう。

それまではセシリアを大切に公爵家に保護するつもりだ。自慢の婚約者を見せびらかしたい気持ちもあったが、彼女の安全のために、式までは公式の夜会などは出ないことにする。

どうしてもという場合はエリアスのみで出席したため、アルザス公爵の異国からの異国の婚約者は大変な美人で、公爵が溺愛しており、片時もそばから離さないのだ、という噂が社交界に流れ始めていた。

それに、アルザス公爵夫人としての教育することもたくさんあるのだ。

王女であるセシリアは外交やマナーは一流だが、ティールザードのことを知らない。夫婦で王家を支えていくためにたくさん学んでもらうことがあった。

「エリアス?」どうしたの?」

「これからのことを考えてたですよ。色々忙しくなりますね」

「ええ。お式に招待する方達のリストも作って招待状も送らないと」

「ええ」

そして、エリアスはセシリアの両親も式に招待するつもりでいた。それを内密に揉めずにどう実行するのか?

考えることはたくさんあった。

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