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SSの置き場&番外編
転生王女の新婚旅行4
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翌日エリアスはセシリアをリード伯爵領の観光に連れて行った。トールに女の子が好みそうな場所をあらかじめ聞いておいたので、これから数日の間愛しい妻を連れていく場所はすでに決まっている。
「まあ!本当に異国にいるような気持ちになりますのね!」
セシリアは蒼い瞳をキラキラと輝かせて、東洋風味溢れる市民街を見渡した。ティールザードの領地はどこも基本的に平和な場所が多いが、ここはその典型で、女子供が夜にウロウロしていても人攫いにさらわれたりしないというところだった。
「ええ。数日の休みでは外国への旅行はできませんから、ここが我が国で最も異国情緒あふれるところです」
「ここまで、オリエントの方達の文化が根付いているのはやはりリード伯爵夫人のせいかしら?」
「ええ。1度嫁ぐと滅多なことでは祖国に帰れませんから、自領で作ることを伯爵は考えたのだと思いますよ?ちょうどたくさんの商人たちもこちらに出向いてきますし、小規模なオリエントタウンみたいなものにしようと思いついてのではないでしょうか?」
「まあ、素敵ね」
セシリアは周りの黒髪黒目の異国人たちを見て、羨ましそうに呟いた。
のちにエリアスも自領にガートランドを思わせるものを作ろうと決意し、それを達成させたきっかけがこのことだとはセシリアは気づいていなかったのだが。
「ええ。やはり祖国はの味や文化は馴染みがあるものですからねえ」
「まあ!エリアス、あれは何?」
見ると屋台型が並んでいる。
セシリアが屋台の鉄板で作っている料理を珍しそうに眺めていると、
「おお、お嬢ちゃん、どうだい?美味しいよ?」
と屋台の人懐っこそうなガタイの良いオヤジが声をかけた。
見ると、丸い物体にソース、その上に緑のトッピングが振り掛けられている。茶色の薄いペラペラしたものが動いて、少し不気味だが、セシリアは平気な顔をして、オヤジがクルクルとその丸い物体をピックで回すのを一心不乱に見つめている。
「上手ですのね?」
「おう!これは素人じゃあ、上手くできないねえ。周りは少しカリッと、中身はふんわりと仕上げることが大切なんでね!」
「何が入ってますの?」
「タコさ。これはオリエントの庶民の味、たこ焼きという食べ物で、人気があるんで、こちらでも作ることにしたのさ!」
「一つください」
エリアスはセシリアのために1船たこ焼きをオーダーした。
「あいよ!アツアツだから口の中火傷しないようにしなよ!毎度あり!」
どこかに座るところはないかと見渡すと、所々にベンチがあった。セシリアとエリアスはベンチに座り、ピックが刺さったたこ焼きを見つめた。
「これはこの突き刺したものをフォークがわりにするのかしら?」
「これをこのまま使って、突き刺したまま食べるのではないですか?」
「まあ、難しそう。落としてしまいそうだわ」
セシリアの言葉にエリアスが微笑む。
「私の方が器用ですので、食べさせてあげましょう」
そして、公衆の面前でラブラブ餌付けが開始されることになった。
救いなのはエリアスの膝の上でないことだけだ。
まずはエリアスが毒味してみると、
「なかなかいけますね」
と合格点が出た。
「店主が火傷するといってましたからね」
「やだ、恥ずかしいわ」
「それより、あなたの口の中が火傷したらどうするのですか?妻の健康管理も夫の務めです」
とエリアスに押し切られてしまい、たこ焼きを自分で食べるという選択肢は選ばせてもらえないようだった。
「さあ、セシリア、あーんしてください」
とたこ焼きをふーふーしてもらってから食べさせてもらうというお子様みたいな餌付けだったが、美しいセシリアとエリアスが仲睦まじくたこ焼きを食べる光景を目にした平民の若い男女たちが、そのたこ焼きを買いに来たので、いつもより店じまいが数時間早くなり、異常な儲けをもたらしたことを知らないまま、たこ焼きを食べ終えた二人は、トールのオススメのカフェに向かうのだった。
「まあ!本当に異国にいるような気持ちになりますのね!」
セシリアは蒼い瞳をキラキラと輝かせて、東洋風味溢れる市民街を見渡した。ティールザードの領地はどこも基本的に平和な場所が多いが、ここはその典型で、女子供が夜にウロウロしていても人攫いにさらわれたりしないというところだった。
「ええ。数日の休みでは外国への旅行はできませんから、ここが我が国で最も異国情緒あふれるところです」
「ここまで、オリエントの方達の文化が根付いているのはやはりリード伯爵夫人のせいかしら?」
「ええ。1度嫁ぐと滅多なことでは祖国に帰れませんから、自領で作ることを伯爵は考えたのだと思いますよ?ちょうどたくさんの商人たちもこちらに出向いてきますし、小規模なオリエントタウンみたいなものにしようと思いついてのではないでしょうか?」
「まあ、素敵ね」
セシリアは周りの黒髪黒目の異国人たちを見て、羨ましそうに呟いた。
のちにエリアスも自領にガートランドを思わせるものを作ろうと決意し、それを達成させたきっかけがこのことだとはセシリアは気づいていなかったのだが。
「ええ。やはり祖国はの味や文化は馴染みがあるものですからねえ」
「まあ!エリアス、あれは何?」
見ると屋台型が並んでいる。
セシリアが屋台の鉄板で作っている料理を珍しそうに眺めていると、
「おお、お嬢ちゃん、どうだい?美味しいよ?」
と屋台の人懐っこそうなガタイの良いオヤジが声をかけた。
見ると、丸い物体にソース、その上に緑のトッピングが振り掛けられている。茶色の薄いペラペラしたものが動いて、少し不気味だが、セシリアは平気な顔をして、オヤジがクルクルとその丸い物体をピックで回すのを一心不乱に見つめている。
「上手ですのね?」
「おう!これは素人じゃあ、上手くできないねえ。周りは少しカリッと、中身はふんわりと仕上げることが大切なんでね!」
「何が入ってますの?」
「タコさ。これはオリエントの庶民の味、たこ焼きという食べ物で、人気があるんで、こちらでも作ることにしたのさ!」
「一つください」
エリアスはセシリアのために1船たこ焼きをオーダーした。
「あいよ!アツアツだから口の中火傷しないようにしなよ!毎度あり!」
どこかに座るところはないかと見渡すと、所々にベンチがあった。セシリアとエリアスはベンチに座り、ピックが刺さったたこ焼きを見つめた。
「これはこの突き刺したものをフォークがわりにするのかしら?」
「これをこのまま使って、突き刺したまま食べるのではないですか?」
「まあ、難しそう。落としてしまいそうだわ」
セシリアの言葉にエリアスが微笑む。
「私の方が器用ですので、食べさせてあげましょう」
そして、公衆の面前でラブラブ餌付けが開始されることになった。
救いなのはエリアスの膝の上でないことだけだ。
まずはエリアスが毒味してみると、
「なかなかいけますね」
と合格点が出た。
「店主が火傷するといってましたからね」
「やだ、恥ずかしいわ」
「それより、あなたの口の中が火傷したらどうするのですか?妻の健康管理も夫の務めです」
とエリアスに押し切られてしまい、たこ焼きを自分で食べるという選択肢は選ばせてもらえないようだった。
「さあ、セシリア、あーんしてください」
とたこ焼きをふーふーしてもらってから食べさせてもらうというお子様みたいな餌付けだったが、美しいセシリアとエリアスが仲睦まじくたこ焼きを食べる光景を目にした平民の若い男女たちが、そのたこ焼きを買いに来たので、いつもより店じまいが数時間早くなり、異常な儲けをもたらしたことを知らないまま、たこ焼きを食べ終えた二人は、トールのオススメのカフェに向かうのだった。
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