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本編
マリアンヌ様の罠(後)
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わたくしが、ボランティアで行っている孤児院で、その事件を起こりましたの。
迂闊でしたわ。
わたくしとしたことが、お友達だとすっかり油断していました。
リチャード様は、わたくしの知らないところでマリアンヌ様とあっていらっしゃったみたい。
長かった黒髪を肩のあたりまでお切りになり、赤い瞳にも光が戻ってきていて、最近元気が出てきたのは失恋が癒えたせいだと誤解しておりました。
相談があるということで、呼び出された孤児院のリビング。
サラスも連れて行くべきだったのでしょうけれど、公共の場だし、と考えていたわたくしが迂闊でした。
「相談って、なんでしょう?」
子供達の食事時間の間に呼び出されたから、時間はあったのですけれど。
「うん。マリアンヌのことなんだ」
「マリアンヌ様の?」
「僕は彼女に幸せになって欲しいんだ」
「ええ」
「で、僕ができることを色々考えてみたんだ。でも全くわからなかった。殿下との幸せを祝福するぐらいしか」
「ええ」
「夜会での彼女は麗しかったと聞いている」
あの日の夜会にはリチャード様のお父様が出席しておられました。
「あれから、彼女と少し話した。彼女はフィリップ様を愛している。だから2人は一緒になるべきだと思う」
「それはフィリップ様がお決めになることですわ」
部屋は沈黙に包まれましたわ。
その頃、孤児院の院長達がその頃、慌てふためいて、孤児院をマリアンヌ様とサプライズ訪問したフィリップ様をお迎えしているなんて、知らずに。
リチャード様は沈黙を破ると小さな箱を取り出されました。
「これ、は?」
「今まで、君とこの孤児院のおかげで、少し気分が楽になった。だからその礼だ」
「その箱にはみたこともない美しいビー玉みたいな飴が入っていましたわ。
「異国の菓子で、とても評判がいいらしい」
じっと見つめられて、そのまま箱を閉めるわけにもいかず、はしたないけれどその飴を食することにしましたの。
口の中に広がる甘い風味と花の香り。
その飴を舐めた瞬間、体に熱を帯びて、気がつけば、リチャード様の腕の中に抱きしめられていましたの。
「あなたはそういう顔で男を惑わすのか?」
リチャード様にファーストキスを奪われた瞬間、リビングのドアが開いて目の前にはフィリップ様、マリアンヌ様そして、護衛のために付き添われたアリステア様が立っておられました。
一生懸命抗おうとしても、令嬢であるわたくしと細くても男であるリチャード様の力の差は歴然としていて、その腕にすっぼりと収まって、口の中を蹂躙されてしまっている。
傍目には熱烈なラブシーンにしか見えない。
子供達もいたらしく、院長が子供達を別の部屋に移動させようとしたけれど、
「おねーちゃんと、おにーちゃんやっぱり恋人同士!」
「あつあつー」
「えー、おねーちゃんはおうじさまとじゃないの?」
と口々にコメントした為、変に静まり返ったリビングに子供達の声が響いた。
「レティシア…」
フィリップ様の声と共にわたくしから離れたリチャード様は、わたくしが申し開きをする暇もないスピードで、
「すみません、殿下!レティシア様とのことは責任を取ります!」
と宣言されました。
真っ赤になったわたくしを勝ち誇ったように見上げるマリアンヌ様の瞳と目が合って、これが罠だったことに気づきましたの。
迂闊でしたわ。
わたくしとしたことが、お友達だとすっかり油断していました。
リチャード様は、わたくしの知らないところでマリアンヌ様とあっていらっしゃったみたい。
長かった黒髪を肩のあたりまでお切りになり、赤い瞳にも光が戻ってきていて、最近元気が出てきたのは失恋が癒えたせいだと誤解しておりました。
相談があるということで、呼び出された孤児院のリビング。
サラスも連れて行くべきだったのでしょうけれど、公共の場だし、と考えていたわたくしが迂闊でした。
「相談って、なんでしょう?」
子供達の食事時間の間に呼び出されたから、時間はあったのですけれど。
「うん。マリアンヌのことなんだ」
「マリアンヌ様の?」
「僕は彼女に幸せになって欲しいんだ」
「ええ」
「で、僕ができることを色々考えてみたんだ。でも全くわからなかった。殿下との幸せを祝福するぐらいしか」
「ええ」
「夜会での彼女は麗しかったと聞いている」
あの日の夜会にはリチャード様のお父様が出席しておられました。
「あれから、彼女と少し話した。彼女はフィリップ様を愛している。だから2人は一緒になるべきだと思う」
「それはフィリップ様がお決めになることですわ」
部屋は沈黙に包まれましたわ。
その頃、孤児院の院長達がその頃、慌てふためいて、孤児院をマリアンヌ様とサプライズ訪問したフィリップ様をお迎えしているなんて、知らずに。
リチャード様は沈黙を破ると小さな箱を取り出されました。
「これ、は?」
「今まで、君とこの孤児院のおかげで、少し気分が楽になった。だからその礼だ」
「その箱にはみたこともない美しいビー玉みたいな飴が入っていましたわ。
「異国の菓子で、とても評判がいいらしい」
じっと見つめられて、そのまま箱を閉めるわけにもいかず、はしたないけれどその飴を食することにしましたの。
口の中に広がる甘い風味と花の香り。
その飴を舐めた瞬間、体に熱を帯びて、気がつけば、リチャード様の腕の中に抱きしめられていましたの。
「あなたはそういう顔で男を惑わすのか?」
リチャード様にファーストキスを奪われた瞬間、リビングのドアが開いて目の前にはフィリップ様、マリアンヌ様そして、護衛のために付き添われたアリステア様が立っておられました。
一生懸命抗おうとしても、令嬢であるわたくしと細くても男であるリチャード様の力の差は歴然としていて、その腕にすっぼりと収まって、口の中を蹂躙されてしまっている。
傍目には熱烈なラブシーンにしか見えない。
子供達もいたらしく、院長が子供達を別の部屋に移動させようとしたけれど、
「おねーちゃんと、おにーちゃんやっぱり恋人同士!」
「あつあつー」
「えー、おねーちゃんはおうじさまとじゃないの?」
と口々にコメントした為、変に静まり返ったリビングに子供達の声が響いた。
「レティシア…」
フィリップ様の声と共にわたくしから離れたリチャード様は、わたくしが申し開きをする暇もないスピードで、
「すみません、殿下!レティシア様とのことは責任を取ります!」
と宣言されました。
真っ赤になったわたくしを勝ち誇ったように見上げるマリアンヌ様の瞳と目が合って、これが罠だったことに気づきましたの。
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