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中編
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あれから一週間後。今日は我が家でガーデンパーティです。卒業間近のお兄様とルシンダ様のご友人を中心にお招きして、卒業したら家門を背負ってのお付き合いをよろしく、という親睦のパーティー。お兄様とルシンダ様が皆をもてなします。
皆さん身分も進路もバラバラなので、意外な組み合わせで話が盛り上がってたりしてますわ。
今日の私はホストのお兄様の身内なので、地味な装い。そして何故か隣にアンジェロ様が。
「……何でいるんです」
「俺も身内だろう?」
「本音は?」
「せっかく『当たり年』と言われた王立学園の秀才が一堂に集まるんだ。面を通すチャンスだ」
そう、お兄様だけじゃなくルシンダ様も優秀なのよね……。今日お招きした方々も。これから私とアンジェロ様が入学したら、『ハズレ年』と言われるのかなぁ……。い、いや、お兄様たちが優秀過ぎるのよね!
と、思っていたら、複数の女性の悲鳴が聞こえた。
見ると、痩せた男がルシンダ様を羽交い絞めにして、ケーキ用のフォークをまとめて握りしめた物を首に突き付けている。同じテーブルだった女性たちが悲鳴をあげて逃げてくる。
近くに立つお兄様も、ルシンダ様の安全のために手を出せないようだ。
「こいつはな! 人の事をその気にさせる、とんだ悪女だ!」
と、男が叫んだ。
「へ?」
というのが、失礼ながら周りの人たちの感想だろう。
華やかなお兄様の容姿に比べて、はっきり言ってルシンダ様は地味だ。趣味もハーブティーのブレンドと地味だ。男を誘惑とか、ナイナイ。
だが、男はヒートアップしていくようだ。
「他の男に渡さない! 渡すくらいなら……!」
目が血走ってる。
「……『凶暴な女』と噂になったら、婚約破棄していいですからね」
と、アンジェロ様に言って、騎士たちに合図を送る。
先週、アンジェロ様相手に成功した陽動作戦。騎士たちはわざと剣を抜いて、男との距離を縮めるふり。男の目線が騎士たちに釘付けになっているその隙に、手近なティーカップを手に人の間をすり抜けて男の横に移動し、男に思いっきりティーカップを投げつけた。
ティーカップが男の側頭部にパコーン!と……のはずだったのに、バキャッ!という音がしてカップが砕けた。あ、あれぇ…?
男が頭を押さえ蹲る隙に、騎士たちが男を拘束し、地面に叩きつける。
ルシンダ様はお兄様に抱き寄せられ、腕の中へ。くそぅ……。
お兄様とルシンダ様のイチャラブイベントを開催しやがったお前、許せん!
近くのティーポットを手に男に近付くと、じゃぼじゃぼと頭にお茶を降り注ぐ。
「だぁれが悪女ですって?」
悪女じゃ無いから破談に出来なくて苦労してんだよ!
「相手を自分のレベルに引きずり落としてないで、自分がレベルを上げてお兄様からルシンダ様を奪って見せなさいよ!」
むしろ奪え! 奪ってくれ!
「マルティーナ! やり過ぎです!」
母が止めに入った。
「でもこれ冷めてますよ」
「そう言う意味じゃ無く!」
ちぇっ、あと、ゲシゲシと踏んづけてやりたかったのに。
男は、家の者が呼んだ町の警備兵に連れて行かれた。
皆さん身分も進路もバラバラなので、意外な組み合わせで話が盛り上がってたりしてますわ。
今日の私はホストのお兄様の身内なので、地味な装い。そして何故か隣にアンジェロ様が。
「……何でいるんです」
「俺も身内だろう?」
「本音は?」
「せっかく『当たり年』と言われた王立学園の秀才が一堂に集まるんだ。面を通すチャンスだ」
そう、お兄様だけじゃなくルシンダ様も優秀なのよね……。今日お招きした方々も。これから私とアンジェロ様が入学したら、『ハズレ年』と言われるのかなぁ……。い、いや、お兄様たちが優秀過ぎるのよね!
と、思っていたら、複数の女性の悲鳴が聞こえた。
見ると、痩せた男がルシンダ様を羽交い絞めにして、ケーキ用のフォークをまとめて握りしめた物を首に突き付けている。同じテーブルだった女性たちが悲鳴をあげて逃げてくる。
近くに立つお兄様も、ルシンダ様の安全のために手を出せないようだ。
「こいつはな! 人の事をその気にさせる、とんだ悪女だ!」
と、男が叫んだ。
「へ?」
というのが、失礼ながら周りの人たちの感想だろう。
華やかなお兄様の容姿に比べて、はっきり言ってルシンダ様は地味だ。趣味もハーブティーのブレンドと地味だ。男を誘惑とか、ナイナイ。
だが、男はヒートアップしていくようだ。
「他の男に渡さない! 渡すくらいなら……!」
目が血走ってる。
「……『凶暴な女』と噂になったら、婚約破棄していいですからね」
と、アンジェロ様に言って、騎士たちに合図を送る。
先週、アンジェロ様相手に成功した陽動作戦。騎士たちはわざと剣を抜いて、男との距離を縮めるふり。男の目線が騎士たちに釘付けになっているその隙に、手近なティーカップを手に人の間をすり抜けて男の横に移動し、男に思いっきりティーカップを投げつけた。
ティーカップが男の側頭部にパコーン!と……のはずだったのに、バキャッ!という音がしてカップが砕けた。あ、あれぇ…?
男が頭を押さえ蹲る隙に、騎士たちが男を拘束し、地面に叩きつける。
ルシンダ様はお兄様に抱き寄せられ、腕の中へ。くそぅ……。
お兄様とルシンダ様のイチャラブイベントを開催しやがったお前、許せん!
近くのティーポットを手に男に近付くと、じゃぼじゃぼと頭にお茶を降り注ぐ。
「だぁれが悪女ですって?」
悪女じゃ無いから破談に出来なくて苦労してんだよ!
「相手を自分のレベルに引きずり落としてないで、自分がレベルを上げてお兄様からルシンダ様を奪って見せなさいよ!」
むしろ奪え! 奪ってくれ!
「マルティーナ! やり過ぎです!」
母が止めに入った。
「でもこれ冷めてますよ」
「そう言う意味じゃ無く!」
ちぇっ、あと、ゲシゲシと踏んづけてやりたかったのに。
男は、家の者が呼んだ町の警備兵に連れて行かれた。
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